第18回 問題59

問題59 成年後見制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1.成年後見人は、成年被後見人の財産管理等の事務を行うに当たっては、成年後見人の意見を尊重し、心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
2.2014(平成26)年最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」によれば、家族が成年後見人等に選任された割合は、全体の半数を超えている。
3.法定後見制度は、判断能力の程度に応じて、後見及び補佐の2種類に分かれている。
4.任意後見制度とは、判断能力が不十分になったときのために、後見人になってくれる者と後見事務の内容をあらかじめ契約によって決めておく制度である。
5.市町村長は、高齢者の福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見開始の審判を請求することができる。

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解答

1、4、5

解説

1.成年後見人は、成年被後見人の財産管理等の事務を行うに当たっては、成年後見人の意見を尊重し、心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
 →◯

 民法において、「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産の管理に関する事務を行うにあたっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない」と規定されています。そのため、解答は◯になります。

2.2014(平成26)年最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」によれば、家族が成年後見人等に選任された割合は、全体の半数を超えている。
 →×

 2014(平成26)年「成年後見関係事件の概況」によると、親族(配偶者、親、子、兄弟姉妹、その他親族)が成年後見人等に選任された割合は約35.0%であり、半数を超えていません(2018中央法規ワークブックP382)。そのため、解答は×になります。

 ちなみに、2017(平成29)年「成年後見関係事件の概況」では、親族が成年後見人等に選任された割合は約26.2%となっています。

3.法定後見制度は、判断能力の程度に応じて、後見及び補佐の2種類に分かれている。
 →×

 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
 このうち法定後見制度は、本人の判断能力が低下してから申し立てるもので、その低下の程度に応じて後見類型、補佐類型、補助類型の3種類があります(2018中央法規ワークブックP380、八訂基本テキスト3巻P549)。そのため、解答は×になります。

関連Q&A↓
成年後見制度の後見類型、保佐類型、補助類型は、どのように分かれるのですか?
後見類型、保佐類型、補助類型は本人の判断能力によって分かれる  本人の判断能力によって分かれており、判断能力を欠く人(=判断能力が全くない人)に対応するのが「後見類型」、判断能力が著しく不十分な人に対応するのが「保佐類型」、判断能力が不十分な人に対応するのが「補助類型」です。
成年後見制度の3類型
低い ↑ 判断能力 ↓ 高い判断能力を欠く人後見類型(成年後見人の選任)
判断能力が著しく不十分な人保佐類型(保佐人の選任)
判断能力が不十分な人補助類型(補助人の選任)
※用語 代理権……本人に代わって行うことができる権利。 同意権……本人が行おうとしている行為について同意を与える権利。 取消権……本人が行った行為でも、本人に不利益な場合には、取り消すことができる権利。  

後見類型


代理権

 成年後見人に、本人の財産に関する法律行為(預金の管理、重要な財産の売買、入退院・施設入退所の手続きと費用の支払い、介護サービスの契約など)について包括的な代理権が与えられます。  ただし、本人の居住用の建物または敷地を処分(売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定など)するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。  

取消権

 成年後見人に、本人が行った行為について取消権が与えられます(日常生活に関する行為を除く)。  後見類型では、本人の判断能力が全くないので、成年後見人に与えられる代理権と取消権の及ぶ範囲が広くなっています。 ※成年後見人には、同意権は与えられません。後見類型の場合、本人の判断能力が全くなく、同意を与えたとしても、そのとおりに行為をする可能性が限りなく低いため、同意権は不要とされています。  

保佐類型


同意権・取消権

 保佐人に、民法第13条で規定された重要な法律行為(金銭の借り入れ、重要な財産の処分、訴訟など)についてのみ、同意権と取消権が与えられます。  

代理権

 本人の同意のもと、保佐人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、保佐人に特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられます。  保佐類型では、本人に少し判断能力が残っているので、後見類型よりも保佐人の同意権と取消権の及ぶ範囲が狭く、保佐人が代理権を持つことに対してより厳しくなっています。  

補助類型


同意権・取消権

 本人の同意のもと、家庭裁判所の審判を経て、補助人に民法第13条で規定された重要な法律行為のうちの特定の行為についてのみ、同意権と取消権が与えられます(同意権と取消権の範囲が、保佐人よりも限定されています)。  

代理権

 本人の同意のもと、補助人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、補助人に特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられます。  補助類型では、本人にある程度の判断能力が残っているので、補助人が同意権、取消権、代理権を持つことに対してより厳しく、同意権と取消権の範囲がより限定されています。

4.任意後見制度とは、判断能力が不十分になったときのために、後見人になってくれる者と後見事務の内容をあらかじめ契約によって決めておく制度である。
 →◯

 選択肢3の解説にあるように、成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度があります。
 このうち任意後見制度は、判断能力が不十分になったときのために、あらかじめ本人が契約によって任意後見人と後見事務の内容を決めておくものです(2018中央法規ワークブックP381、八訂基本テキスト3巻P552)。そのため、解答は◯になります。

5.市町村長は、高齢者の福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見開始の審判を請求することができる。
 →◯

 法定後見制度の申し立ては、本人または4親等以内の親族が行います。
 ただし、本人の福祉を図るため特に必要があると認めるときは、市町村長が申し立てることもできます(2018中央法規ワークブックP380、八訂基本テキスト3巻P550)。そのため、解答は◯になります。

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