第20回 問題38

問題38 高齢者のリハビリテーションについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1.安静臥床が続くと心肺機能などが低下するため、早期離床を図る。
2.左半側空間失認では、右半分に注意を向けるようなリハビリテーションの工夫をする。
3.リハビリテーションでは、低血糖発作の出現、痛みの増悪、転倒リスクの増大などに対する注意が必要である。
4.福祉用具の給付は、障害者総合支援法が介護保険法に優先する。
5.回復期リハビリテーションでは、機能回復、ADLの向上及び早期の社会復帰を目指す。

猫の写真

解答

1、3、5

解説

1.安静臥床が続くと心肺機能などが低下するため、早期離床を図る。
 →◯

 ベッド上での生活を続けるなど、過度に安静にしていると廃用症候群(日常生活の活動性の低下に伴って生じる身体的および精神機能の全般的な低下)になってしまう危険性があります。ですので、リハビリテーションを行うことにより、早期離床を目指すのは適切です(2018中央法規ワークブックP242、八訂基本テキスト3巻P300)。

2.左半側空間失認では、右半分に注意を向けるようなリハビリテーションの工夫をする。
 →×

 失認は、高次機能障害のひとつで、知覚機能(視力、聴力、触力など)に障害はないのに、対象を把握できなくなるものです。
 このうち、左片麻痺の人に多くみられるのが、左半側空間失認です。左半側空間失認では、左側から話しかけても気づきにくい、食事の際に左側に置かれたおかずを残す、歩行の際に左側の障害物によくぶつかる、といったことがあります。この場合、左側から話しかけたり、左側に目印を付けたりなど、失認のある側に注意を向けるリハビリテーションが有効です(2018中央法規ワークブックP244、八訂基本テキスト3巻P305)。

3.リハビリテーションでは、低血糖発作の出現、痛みの増悪、転倒リスクの増大などに対する注意が必要である。
 →◯

 リハビリテーション中に起こりやすいリスクには、次のようなものがあります(2018中央法規ワークブックP242、八訂基本テキスト3巻P298)。リハビリテーション中は、これらに対して注意が必要です。

リハビリテーション中に起こりやすいリスク
運動に伴うリスク……低血糖発作、胸痛、不整脈、呼吸困難、痛みの増悪、転倒リスクの増大、痙攣発作など
食事介助に伴うリスク……誤嚥、窒息
医療機器の取り扱いに伴うリスク……人工呼吸器、酸素吸入、中心静脈栄養など
リハビリテーション治療機器の取り扱いに伴うリスク……温熱療法、電気刺激療法、牽引療法、斜面台、平行棒など

4.福祉用具の給付は、障害者総合支援法が介護保険法に優先する。
 →×

 介護保険法と障害者総合支援法で内容が重なるものは、介護保険法が優先して適用されます。ですので、福祉用具で内容が重なるものは、介護保険法が優先します(2018中央法規ワークブックP50、八訂基本テキスト1巻P131・3巻P509)。

関連Q&A↓
介護保険と他の法令による給付との調整は、どのようになっているのですか?
介護保険と他の法令による給付との調整  これは、次のような関係になっています。 ①.災害補償関係各法との調整  下表の法令により介護保険の給付に相当する給付が受けられるときは、下表の法令による給付が優先します。
労働災害に対する補償(療養補償、介護補償など)の給付を行う法律・労働者災害補償保険法 ・船員保険法 ・労働基準法 など
公務災害に対する補償(療養補償、介護補償など)の給付を行う法律・国家公務員災害補償法 ・地方公務員災害補償法 ・警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律 など
国家補償的な給付(療養の給付など)を行う法律・戦傷病者特別援護法 ・原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 など
 これら以外でも、国・地方公共団体の負担で介護保険の給付に相当する給付が受けられるときは、国・地方公共団体の負担による給付が優先します。 ②.老人福祉法の措置との調整  介護保険の給付(契約に基づくサービス利用)が優先します。  ただし、やむを得ない事由(家族による虐待などのために、介護保険での契約に基づくサービス利用ができないなど)がある場合は、例外的に、老人福祉法の措置によってサービスが提供されます。 ③.医療保険との調整  重複するサービスについては、介護保険の給付が優先します。  ただし、歯科治療や介護保険施設の入所者に対する急性期治療など、一定の医療については医療保険から給付されます。 ④.生活保護との調整  生活保護法の「他法優先の原則」(保護の補足性)により、介護保険の給付が優先します。  そのうえで、利用者負担の部分は生活保護の介護扶助から給付され、第1号被保険者の保険料は生活保護の生活扶助から給付されます。 ⑤.障害者総合支援法の自立支援給付との調整  重複するサービスについては、介護保険の給付が優先します。  もちろん、重複しない障害者施策固有のサービスは、障害者総合支援法その他の障害者福祉制度から給付されます。 ⑥.保険優先の公費負担医療との調整  重複するサービスについては、介護保険の給付が優先します。  そのうえで、利用者負担の部分について、公費から給付されます。

5.回復期リハビリテーションでは、機能回復、ADLの向上及び早期の社会復帰を目指す。
 →◯

 回復期リハビリテーションは、急性期に続いて、機能回復、ADLの向上、早期の社会復帰を目的として行われます(2018中央法規ワークブックP241、八訂基本テキスト3巻P295)。

リハビリテーションの分類
予防的リハビリテーション 加齢による心身機能の低下が進んで要介護となるリスクが高い人に対して、介護予防として行われる。介護保険の地域支援事業においても行われている。
治療的リハビリテーション 急性期リハビリテーションと回復期リハビリテーションがあり、医療保険の給付対象となる。
急性期リハビリテーション……発症(手術)直後から、廃用症候群の予防を目的として行われる。
回復期リハビリテーション……急性期に続いて、機能回復、ADLの向上、早期の社会復帰を目的として行われる。
維持的リハビリテーション 治療的リハビリテーションで獲得された機能を維持・向上するために行われる。主に介護保険の給付対象となる。
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