第20回 問題58

問題58 成年後見制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1.法定後見制度は、判断能力の程度に応じて、後見、保佐及び補助の3類型に分かれている。
2.成年被後見人が行った法律行為は、いかなる場合でも取り消すことができない。
3.保佐人には、年金、障害手当金その他の社会保障給付を受領する代理権を与えることができる。
4.公正証書以外の方式で契約をしても、任意後見契約として有効である。
5.社会福祉協議会等の法人も、成年後見人に選任されることができる。

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解答

1、3、5

解説

1.法定後見制度は、判断能力の程度に応じて、後見、保佐及び補助の3類型に分かれている。
 →◯

 法定後見制度は本人の判断能力によって、次のように3類型に分かれています(2017中央法規ワークブックP355、七訂基本テキスト2巻P535)。そのため、解答は◯になります。

成年後見制度の3類型
低い

判断能力

高い
判断能力を欠く人 後見類型(成年後見人の選任)
判断能力が著しく不十分な人 保佐類型(保佐人の選任)
判断能力が不十分な人 補助類型(補助人の選任)
関連Q&A↓
成年後見制度の後見類型、保佐類型、補助類型は、どのように分かれるのですか?
後見類型、保佐類型、補助類型は本人の判断能力によって分かれる  本人の判断能力によって分かれており、判断能力を欠く人(=判断能力が全くない人)に対応するのが「後見類型」、判断能力が著しく不十分な人に対応するのが「保佐類型」、判断能力が不十分な人に対応するのが「補助類型」です。
成年後見制度の3類型
低い ↑ 判断能力 ↓ 高い判断能力を欠く人後見類型(成年後見人の選任)
判断能力が著しく不十分な人保佐類型(保佐人の選任)
判断能力が不十分な人補助類型(補助人の選任)
※用語 代理権……本人に代わって行うことができる権利。 同意権……本人が行おうとしている行為について同意を与える権利。 取消権……本人が行った行為でも、本人に不利益な場合には、取り消すことができる権利。  

後見類型


代理権

 成年後見人に、本人の財産に関する法律行為(預金の管理、重要な財産の売買、入退院・施設入退所の手続きと費用の支払い、介護サービスの契約など)について包括的な代理権が与えられます。  ただし、本人の居住用の建物または敷地を処分(売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定など)するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。  

取消権

 成年後見人に、本人が行った行為について取消権が与えられます(日常生活に関する行為を除く)。  後見類型では、本人の判断能力が全くないので、成年後見人に与えられる代理権と取消権の及ぶ範囲が広くなっています。 ※成年後見人には、同意権は与えられません。後見類型の場合、本人の判断能力が全くなく、同意を与えたとしても、そのとおりに行為をする可能性が限りなく低いため、同意権は不要とされています。  

保佐類型


同意権・取消権

 保佐人に、民法第13条で規定された重要な法律行為(金銭の借り入れ、重要な財産の処分、訴訟など)についてのみ、同意権と取消権が与えられます。  

代理権

 本人の同意のもと、保佐人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、保佐人に特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられます。  保佐類型では、本人に少し判断能力が残っているので、後見類型よりも保佐人の同意権と取消権の及ぶ範囲が狭く、保佐人が代理権を持つことに対してより厳しくなっています。  

補助類型


同意権・取消権

 本人の同意のもと、家庭裁判所の審判を経て、補助人に民法第13条で規定された重要な法律行為のうちの特定の行為についてのみ、同意権と取消権が与えられます(同意権と取消権の範囲が、保佐人よりも限定されています)。  

代理権

 本人の同意のもと、補助人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、補助人に特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられます。  補助類型では、本人にある程度の判断能力が残っているので、補助人が同意権、取消権、代理権を持つことに対してより厳しく、同意権と取消権の範囲がより限定されています。

2.成年被後見人が行った法律行為は、いかなる場合でも取り消すことができない。
 →×

 成年被後見人が行った法律行為でも、本人にとって不利益な場合は、取り消すことができます(2017中央法規ワークブックP356、七訂基本テキスト3巻P537)。そのため、解答は×になります。

3.保佐人には、年金、障害手当金その他の社会保障給付を受領する代理権を与えることができる。
 →◯

 保佐人には、次のような特定の事項に関して代理権が与えられ、そこに「年金、障害手当金その他の社会保障給付を受領」が含まれます(七訂基本テキスト2巻P538)。そのため、解答は◯になります。

保佐人に与えられる代理権は、次の事項に限られる
預貯金に関する取引
年金・障害年金手当その他の社会保障給付の受領
家賃・地代・公共料金・保険料・ローンの返済金の支払い
日用品以外の生活に必要な物品の購入
遺産分割
保険契約の締結・変更・解約および保険金の受領
権利証・実印・銀行印・印鑑登録カードの保管
介護契約の締結・変更・解約および費用の支払い
介護契約以外の福祉サービスの利用契約の締結・変更・解約および費用の支払い
福祉関係施設への入所に関する締結・変更・解約および費用の支払い
医療契約の締結・変更・解約および費用の支払い
病院への入院に関する締結・変更・解約および費用の支払い
住居等の新築・増改築・修繕に関する請負契約の締結・変更・解約および費用の支払い
居住用不動産の処分
借地契約の締結・変更・解約
借家契約の締結・変更・解約

4.公正証書以外の方式で契約をしても、任意後見契約として有効である。
 →×

 本人と任意後見人になる人(任意後見受任者)は、公正証書で任意後見契約を行うこととされています。公正証書以外の方式で契約しても、無効になります(2017中央法規ワークブックP356、七訂基本テキスト2巻P540)。そのため、解答は×になります。

5.社会福祉協議会等の法人も、成年後見人に選任されることができる。
 →◯

 社会福祉協議会等の法人が、成年後見人になることは可能です。そして、後見人になる親族などがいない場合などに、社会福祉協議会等の法人が成年後見人に選任されることがあります(2017中央法規ワークブックP357、七訂基本テキスト2巻P539)。そのため、解答は◯になります。

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