第19回 問題59

問題59 成年後見制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1.成年後見人が成年被後見人の居住用の不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可が必要である。
2.家庭裁判所は、本人の同意がなくても、四親等内の親族の請求により、補助開始の審判をすることができる。
3.市町村は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成を図るために必要な研修を実施するよう努めなければならない。
4.市町村は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる者を家庭裁判所に推薦するよう努めなければならない。
5.任意後見人は、本人からの依頼により、市町村長が任命する。

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解答

1、3、4

解説

1.成年後見人が成年被後見人の居住用の不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可が必要である。
→◯

 民法において「成年後見人は、成年被後見人の居住用の建物または敷地を処分(売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定など)するには、家庭裁判所の許可を得なければならない」と規定されています(2018中央法規ワークブックP381、八訂基本テキスト3巻P550)。そのため、解答は×になります。

2.家庭裁判所は、本人の同意がなくても、四親等内の親族の請求により、補助開始の審判をすることができる。
→×

 民法において「家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族などの請求により、補助開始の審判をすることができる。本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない」と規定されています(2018中央法規ワークブックP380、八訂基本テキスト3巻P550)。そのため、解答は×になります。

3.市町村は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成を図るために必要な研修を実施するよう努めなければならない。
→◯

 老人福祉法において、「市町村は後見、保佐、補助の業務を適正に行うことができる人材の育成・活用を図るため、研修の実施、後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と規定されています(2018中央法規ワークブックP383、八訂基本テキスト3巻P556)。そのため、解答は◯になります。

4.市町村は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる者を家庭裁判所に推薦するよう努めなければならない。
→◯

 選択肢3の解説にあるとおりで、解答は◯になります。

5.任意後見人は、本人からの依頼により、市町村長が任命する。
→×

 任意後見制度は、判断能力が不十分になったときのために、あらかじめ本人が契約によって任意後見人と後見事務の内容を決めておくものです(2018中央法規ワークブックP381、八訂基本テキスト3巻P552)。そのため、解答は×になります。

関連Q&A
法定後見制度の後見類型、保佐類型、補助類型は、どのように分かれるのですか?
後見類型、保佐類型、補助類型は本人の判断能力によって分かれる  本人の事理を弁識する能力(判断能力)によって分かれており、判断能力を欠く人(=判断能力が全くない人)に対応するのが「後見類型」、判断能力が著しく不十分な人に対応するのが「保佐類型」、判断能力が不十分な人に対応するのが「補助類型」です。
法定後見制度の3類型
後見類型 (成年後見人の選任) 事理を弁識する能力(判断能力)を欠く人 低い ↑ 判断能力 ↓ 高い
保佐類型 (保佐人の選任) 事理を弁識する能力(判断能力)が著しく不十分な人
補助類型 (補助人の選任) 事理を弁識する能力(判断能力)が不十分な人
※用語
代理権……本人に代わって行うことができる権利。
同意権……本人が行おうとしている行為について同意を与える権利。
取消権……本人が行った行為でも、本人に不利益な場合には、取り消すことができる権利。
 

後見類型


代理権

 成年後見人に、本人の財産に関する法律行為(預金の管理、重要な財産の売買、入退院・施設入退所の手続きと費用の支払い、介護サービスの契約など)について包括的な代理権が与えられます。  ただし、本人の居住用の建物または敷地を処分(売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定など)するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。  

取消権

 成年後見人に、本人が行った行為について取消権が与えられます(日常生活に関する行為を除く)。  後見類型では、本人の判断能力が全くないので、成年後見人に与えられる代理権と取消権の及ぶ範囲が広くなっています。
※成年後見人には、同意権は与えられません。後見類型の場合、本人の判断能力が全くなく、同意を与えたとしても、そのとおりに行為をする可能性が限りなく低いため、同意権は不要とされています。
 

保佐類型


同意権・取消権

 保佐人に、民法第13条で規定された重要な法律行為(金銭の借り入れ、重要な財産の処分、訴訟など)についてのみ、同意権と取消権が与えられます。  

代理権

 本人の同意のもと、保佐人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、保佐人に特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられます。  保佐類型では、本人に少し判断能力が残っているので、後見類型よりも保佐人の同意権と取消権の及ぶ範囲が狭く、保佐人が代理権を持つことに対してより厳しくなっています。  

補助類型


同意権・取消権

 本人の同意のもと、家庭裁判所の審判を経て、補助人に民法第13条で規定された重要な法律行為のうちの特定の行為についてのみ、同意権と取消権が与えられます(同意権と取消権の範囲が、保佐人よりも限定されています)。  

代理権

 本人の同意のもと、補助人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、補助人に特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられます。  補助類型では、本人にある程度の判断能力が残っているので、補助人が同意権、取消権、代理権を持つことに対してより厳しく、同意権と取消権の範囲がより限定されています。
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