第21回 問題32【平成30年 ケアマネ試験 保健医療サービス分野】

問題32 認知症について適切なものはどれか。3つ選べ。
1.レビー小体型認知症では、便秘や立ちくらみなどの自律神経症状を伴うことがある。
2.うつ状態が続くと、認知症と診断されてしまうことがある。
3.認知症の初期では、ADLの低下がみられ、進行するとIADLの低下が起こってくる。
4.せん妄は意識障害であり、認知症と区別する必要がある。
5.認知症初期集中支援チームの訪問支援対象者は、初期の認知症患者に限られる。

猫の写真

解答

1、2、4

解説

1.レビー小体型認知症では、便秘や立ちくらみなどの自律神経症状を伴うことがある。
→◯

 レビー小体とは、神経細胞が脱落・変性したαシヌクレインというたんぱく質が蓄積して形成される、特殊なたんぱく質の塊です。
 レビー小体型認知症では、脳だけでなく抹消自律神経系の神経細胞にもレビー小体が異常沈着するため、次のようにさまざまな症状が現れます(2018中央法規ワークブックP247、八訂基本テキスト3巻P236)。ここには、選択肢にあるような内容も含まれるため、解答は◯になります。

レビー小体型認知症の症状
レム睡眠障害(夢を見て〔レム睡眠中〕大声を出したり、身体を激しく動かす。何年も前からみられる)
うつ症状(比較的早期から)
嗅覚の低下(比較的早期から)
リアルな幻視(幻視を払いのける、幻視から逃げようとするなど)、誤認妄想(家族を他人と言うなど)
認知機能の低下は全般的で、視覚認知障害がやや目立ち、(アルツハイマー型認知症ほどではないが)記憶障害も伴う。
パーキンソン症状
自律神経症状として、起立性低血圧(立ちくらみ)や失神(これらによる転倒)、血圧の変動、便秘。
嚥下障害
2.うつ状態が続くと、認知症と診断されてしまうことがある。
→◯

 うつ状態が続くと健忘を伴い、これによって認知テストが実力以下の点数となって、認知症と診断されてしまうことがあります(これを仮性認知症という。2018中央法規ワークブックP249、八訂基本テキスト3巻P224)。そのため、解答は◯になります。

 こうした仮性認知症は、見当識(時間・場所・人物などで状況を判断する機能)が保たれている点が、認知症とは異なります。

3.認知症の初期では、ADLの低下がみられ、進行するとIADLの低下が起こってくる。
→×

 認知症は、おおまかに①初期/軽度、②中期/中等度、③進行期/重度、④終末期という4ステージに分けられます。
 このうち、初期における症状は健忘が中心で、IADL(金銭管理、買い物、服薬管理など)に障害がみられますが、基本的ADLは保たれます(2018中央法規ワークブックP250、八訂基本テキスト3巻P244)。そのため、解答は×になります。

認知症のステージ
初期/軽度 健忘が中心。IADL(金銭管理、買い物、服薬管理など)に障害がみられるが、基本的ADLは保たれる。
中期/中等度 聞いたことをすぐ忘れる。基本的ADLに支援が必要になる(簡単な食事の用意ができない、服を順番に渡す必要があるなど)。
進行期/重度 認知機能障害が重度となる(着衣失効〔服の袖に腕を通すことが困難〕など)。失語症によりコミュニケーションが難しくなる。運動機能が衰える。排尿コントロールが難しくなる。
終末期 寝たきりになる。発語はほとんどない。尿便失禁。嚥下困難。
4.せん妄は意識障害であり、認知症と区別する必要がある。
→◯

 設問のとおりです(2018中央法規ワークブックP249、八訂基本テキスト3巻P222)。

 なお、認知症と区別する必要があるのは、せん妄にはせん妄の治療や対応があるためです。せん妄は、原因や誘因があるので、それを取り除くことが大切です。また、治療薬剤の投与も有効です。

せん妄の原因・誘因
 睡眠や覚醒リズムの障害、環境の変化(入院や施設入所など)、生活リズムの変化、不安(手術前など)、アルコールや薬剤の摂取、感覚遮断(社会的な隔離、眼鏡や補聴器が必要なのに使用できないなど)など。
5.認知症初期集中支援チームの訪問支援対象者は、初期の認知症患者に限られる。
→×

 認知症初期集中支援チームは、認知症の人(疑われる人も含む)やその家族を、複数の専門家が訪問し、アセスメントや家族支援などの“初期”の支援を包括的・集中的に行うチームで(2018中央法規ワークブックP253、八訂基本テキスト3巻P268)、市町村が地域包括支援センターや医療機関などに設置します。
 この場合の「初期」は、「認知症の発症初期」だけでなく、かかわりにおける初期(ファーストタッチ)の意味も含まれるため、認知症がある程度まで進行した段階で顕在化したケースも対象となります。そのため、解答は×になります。

 なお、地域支援事業の包括的支援事業の認知症総合支援事業において、認知症初期集中支援チームの設置が進められています(2018中央法規ワークブックP120、八訂基本テキスト1巻P172)。

トップへ戻る