第22回 問題39【令和元年度10月 ケアマネ試験 保健医療サービス分野】

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問題39 感染症について適切なものはどれか。2つ選べ。
1.標準予防策(スタンダード・プリコーション)は、すべての人の体液や排泄物等に感染性があると考えて取り扱うことである。
2.インフルエンザに罹患した者が職場に復帰する場合は、治癒証明書を提出する法的な義務がある。
3.ウイルス性肝炎は、飛沫感染する。
4.ノロウイルス感染者の便や吐物には、ノロウイルスが排出される。
5.高齢者は、肺炎球菌ワクチンを毎年接種しなければならない。

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解答

1、4

解説

1.標準予防策(スタンダード・プリコーション)は、すべての人の体液や排泄物等に感染性があると考えて取り扱うことである。
→◯

 標準予防策(スタンダード・プリコーション)は、すべての人に対して実施する感染対策です。基盤となる考え方は、「あらゆる人の血液、体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚、粘膜には感染症があると考えて取り扱う」というものです(2023ユーキャン速習レッスンP279、九訂基本テキスト下巻P189)。そのため、解答は◯になります。

2.インフルエンザに罹患した者が職場に復帰する場合は、治癒証明書を提出する法的な義務がある。
→×

 設問のような法的な義務はありません(2023ユーキャン速習レッスンP280、九訂基本テキスト下巻P198)。そのため、解答は×になります。

 なお、事業者は、職員に対して定期健康診断を行う義務があります(労働安全衛生法第66条第1項)。

3.ウイルス性肝炎は、飛沫感染する。
→×

 ウイルス性肝炎は、注射針による外傷などによって血液を媒介して感染します(2023ユーキャン速習レッスンP280、九訂基本テキスト下巻P191)。そのため、解答は×になります。

感染経路別の主な感染症と予防策
感染経路 主な感染症と予防策
接触感染 主な感染症
ノロウイルス感染症(吐物などの処理時は飛沫感染)、腸管出血性大腸菌感染症、疥癬、多剤耐性菌感染症など
感染対策
 物品などとの接触で、手指を介して伝播。
職員の手指衛生を徹底する。
嘔吐物や排泄物などと接触する可能性のある場面では、手袋、ガウンまたはエプロンなどを着用し、ケア後は速やかに破棄する。
飛沫感染 主な感染症
ノロウイルス感染症の吐物などの処理時、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、風疹など
感染対策
 咳、くしゃみ、会話などで飛散した飛沫粒子で伝播(飛沫粒子は1m程度で落下)。
感染症をもつ利用者の2m以内でケアを行う場合は、使い捨てマスクを着用する。
感染症をもつ利用者に咳エチケット(口と鼻をティッシュやハンカチで押さえる、マスクの着用)への協力を求める。
空気感染 主な感染症
結核、麻疹、水痘(帯状疱疹)など
感染対策
 咳などで飛散した飛沫粒子が空中を浮遊して伝播。
結核の場合は、専門病院へ入院。
麻疹、水痘の場合は、免疫をもつ職員がケアを行う。免疫のない職員の場合は、高性能マスクを着用し、利用者にも使い捨てマスクの着用を求める。個室管理が原則。
血液感染 主な感染症
B型肝炎、C型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)など
感染対策
 注射針による外傷などによって血液を媒介して伝搬。
注射針や鋭利な器材を取り扱う際に、安全を徹底する。
4.ノロウイルス感染者の便や吐物には、ノロウイルスが排出される。
→◯

 設問のとおりです(2023ユーキャン速習レッスンP281、九訂基本テキスト下巻P191・P192)。

 なお、ノロウイルスはアルコールに対する抵抗性が高く、アルコール消毒では効果がありません。アルコールではなく、0.5%次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。
 その際には、使い捨てのマスク、ガウン、手袋を着用し、窓を開けて換気します。なお、マスクについては、ノロウイルス感染者の嘔吐物から飛沫感染することもあるため、その予防の意味もあります。

5.高齢者は、肺炎球菌ワクチンを毎年接種しなければならない。
→×

 肺炎球菌ワクチンは、65際以上の高齢者の定期接種ワクチンです。この定期接種の機会は1回のみとされています(2023ユーキャン速習レッスンP280・P281、九訂基本テキスト下巻P194)。そのため、解答は×になります。

 なお、肺炎球菌感染症は、重い合併症(気管支炎、肺炎、敗血症など)を起こすことがあります。

 また、高齢者にはインフルエンザワクチンも推奨されています。
 インフルエンザウイルスは、慢性疾患のある高齢者が感染すると、肺炎などを伴って重症化する可能性があります。インフルエンザワクチンにより、高齢者の死亡のリスクが5分の1、入院のリスクが3分の1から2分の1に減少することが期待されています。

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