第22回 問題50【令和元年度10月 ケアマネ試験 福祉サービス分野】

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問題50 介護保険における訪問介護について正しいものはどれか。3つ選べ。
1.自動血圧測定器により血圧を測定することは、医行為に当たらないため、訪問介護員が行うことができる。
2.利用者が大切にしている花木の水やりは、短時間であれば、生活援助として算定される。
3.ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別し、ゴミ出しのルールを理解してもらうよう援助することは、生活援助として算定される。
4.ボタン付け等の被服の補修は、生活援助として算定される。
5.配剤された薬をテーブルの上に出し、本人が薬を飲むのを手伝うことは、身体介護として算定される。

猫の写真

解答

1、4、5

解説

1.自動血圧測定器により血圧を測定することは、医行為に当たらないため、訪問介護員が行うことができる。
→◯

 血圧測定は医療行為でないものと認められており、訪問介護員が行うことができます(2023ユーキャン速習レッスンP359、九訂基本テキスト上巻P435)。そのため、解答は×になります。

 なお、以下に該当する行為は医療行為ではないため、訪問介護員が行うことが可能であり、身体介護として算定できます

医療行為でないもの
体温測定(水銀・電子体温計による腋下での測定、耳式電子体温計による外耳道での測定)
血圧測定
入院治療の必要がない者に対するパルスオキシメータの装着
軽微な切り傷、擦り傷、やけどなどについて、専門的な判断や技術を必要としない処置(汚物で汚れたガーゼの交換を含む)
一定条件下での医薬品の使用介助(軟膏の塗布〔褥瘡の処置を除く〕、湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服、肛門からの座薬挿入、鼻腔粘膜への薬剤噴霧)
爪を爪切りで切ること、爪ヤスリでやすりがけすること
歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れの除去
耳垢の除去(耳垢塞栓の除去を除く)
ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること(肌に接着したパウチの取り替えを除く)
自己導尿を補助するためのカテーテルの準備、体位の保持など
市販品の浣腸の使用
関連Q&A
 パルスオキシメーターのプローブには、LEDと光センサーが内蔵されています。LEDからは赤色光と赤外光が照射され、それが指先や耳などを透過・反射したものを光センサーで受けるという仕組み。  血液中のヘモグロビンは、酸素と結合している場合と、結合していない場合として、赤色光と赤外光の吸光度が異なります。この性質を利用し、光センサーで受けた透過光・反射光を分析することで、血中酸素飽和度を測定しています。  

静脈血・軟部組織との区別には、脈動を利用している

 ただし、上記のような仕組みだけだと、動脈血だけではなく、静脈血や軟部組織を透過・反射した光も測定してしまうことに…。そこで、動脈血を区別するために、脈動が用いられます。  心臓から送り出された動脈血には、脈動があります。一方、静脈血は緩やかに流れ、脈動はありません。もちろん、軟部組織にも脈動はありません。ですので、透過光・反射光のうち、脈動による変化成分のあるものだけをピックアップすることで、動脈血だけの血中酸素飽和度を測定することが可能になります。  また、この仕組みによって、前述のように脈拍数を測定することもできるというわけです。
2.利用者が大切にしている花木の水やりは、短時間であれば、生活援助として算定される。
→×

 「花木の水やり」は、生活援助についての不適切事例としてあげられており、生活援助として算定できません(2023ユーキャン速習レッスンP358、九訂基本テキスト上巻P436)。そのため、解答は×になります。

生活援助についての不適切事例
「直接本人の援助」に該当しない行為
主として家族の利便に供する行為、または家族が行うことが適切であると判断される行為
・利用者以外のものにかかわる洗濯、調理、買い物、布団干し
・主として利用者が使用する居室など以外の掃除
・来客の応接(お茶、食事の手配など)
・自家用車の洗車、清掃 など
「日常生活の援助」に該当しない行為
① 訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為
・草むしり
・花木の水やり
・犬の散歩などペットの世話 など

② 日常的に行われる家事の範囲を超える行為
・家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え
・大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ
・室内外家屋の修理、ペンキ塗り
・植木の剪定などの園芸
・正月、節句などのために特別な手間をかけて行う調理 など
3.ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別し、ゴミ出しのルールを理解してもらうよう援助することは、生活援助として算定される。
→×

 設問の内容は、身体介護の「自立支援のための見守り的援助」に該当します(2023ユーキャン速習レッスンP358、九訂基本テキスト上巻P433)。そのため、解答は×になります。

訪問介護のサービス内容
身体介護の内容
排泄介助(トイレ、ポータブルトイレ利用についての介助、おむつ交換など)
食事介助
特段の専門的配慮をもって行う調理(嚥下困難者のための流動食、糖尿病食などの調理)
清拭・入浴介助
身体整容
更衣介助
体位変換
移乗・移動介助
起床・就寝介助
服薬介助
自立支援のための見守り的援助(安全を確保しつつ、常時介助できる状態で行う見守りなど)
特別な医療的ケア
通院・外出介助
生活援助の内容
掃除(居室内やトイレ、卓上などの清掃、ゴミ出し、準備・後片づけ)
洗濯(洗濯機または手洗いによる洗濯、洗濯物の乾燥、取り入れ、収納、アイロンがけ)
ベッドメイク(利用者のいないベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換など)
衣類の整理・被服の補修
一般的な調理・配下膳(一般的な調理、配膳、後片づけ)
買い物・薬の受け取り
4.ボタン付け等の被服の補修は、生活援助として算定される。
→◯

 上表にあるとおりです。

5.配剤された薬をテーブルの上に出し、本人が薬を飲むのを手伝うことは、身体介護として算定される。
→◯

 設問の内容は、上表にある「服薬介助」に該当し、身体介護として算定できます。そのため、解答は◯になります。

関連Q&A
 訪問介護の身体介護と生活援助を区別するポイントは、「利用者の身体に直接触れるかどうか」ということです。  身体介護は利用者の身体に直接触れます(見守り時においても、いざというときに直接触れて助けられるようにします)。  生活援助は利用者の身体に直接触れないで行う内容です。
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