第28回 問題30【令和7年度 ケアマネ試験 保健医療サービス分野】

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問題30 認知症やそのケアについて適切なものはどれか。2つ選べ。
1.軽度認知障害(MCI)は、認知症に移行することがある。
2.記憶障害や見当識障害は、認知症の中核症状である。
3.パーソン・センタード・ケアとは、介護者本位で効率を優先して行うケアである。
4.認知症初期集中支援チームは、行方不明の認知症の人を捜索する仕組みである。
5.認知症カフェは、介護保険の給付対象のサービスである。

猫の写真

解答

1、2

解説

1.軽度認知障害(MCI)は、認知症に移行することがある。
→◯

 軽度認知障害(MCI)は、いずれかの認知機能(注意、記憶学習、実行、言語、運動-感覚、社会脳)が以前よりも低下しているが、認知症とは言えない状態です。そして、MCIから認知症に移行することもあります(20254ユーキャン速習レッスンP251、十訂基本テキスト下巻P213)。そのため、解答は◯になります。

 ただし、健常に戻ることもあり、すべてが認知症に移行するわけではありません。

2.記憶障害や見当識障害は、認知症の中核症状である。
→◯

 設問のとおりです(2025ユーキャン速習レッスンP249、十訂基本テキスト下巻P232)。

 なお、認知症の症状は、下表のように中核症状とBPSD(認知症の行動・心理症状)に分けられます。

認知症の症状
中核症状 脳のダメージに直接起因する症状
注意障害、記憶障害、見当識障害、言語障害、遂行機能障害、認知障害(空間認知・視覚認知・社会的認知〔社会脳〕)
BPSD(認知症の行動・心理症状) 脳のダメージだけでなく、個人因子(生い立ち、職歴など)や環境因子(住環境、ケアの状況など)の影響を強く受ける症状
・行動症状:徘徊、暴力・暴言、収集、拒否、脱抑制、執拗な質問など
・心理症状:幻覚、妄想、うつ、意欲や自発性などの低下(アパシー)、不安など
3.パーソン・センタード・ケアとは、介護者本位で効率を優先して行うケアである。
→×

 従来の認知症に対するケアは、介護者の効率を優先したものでした。

 これに対し、イギリスのトム・キットウッドが提唱したパーソン・センタード・ケア(PCC)は、「その人らしさをケアの中心として、本人の意向に沿い、本人の尊厳を傷つけないようなケア(一方的な「与えるケア」ではなく、双方向の「心の通うケア」)」というものです(2025ユーキャン速習レッスンP253、十訂基本テキスト下巻P242・P243)。そのため、解答は×になります。

4.認知症初期集中支援チームは、行方不明の認知症の人を捜索する仕組みである。
→×

 認知症初期集中支援チームは、認知症の人(疑われる人も含む)やその家族を、複数の専門家が訪問し、アセスメントや家族支援などの初期の支援を包括的・集中的に行うチームです(2025ユーキャン速習レッスンP256、十訂基本テキスト下巻P253)。そのため、解答は×になります。

 なお、この場合の「初期」は、「認知症の発症初期」だけでなく、かかわりにおける初期(ファーストタッチ)の意味も含まれるため、認知症がある程度まで進行した段階で顕在化したケースも対象となります。

 また、地域支援事業の包括的支援事業の認知症総合支援事業において、認知症初期集中支援チームの設置が進められています(2025ユーキャン速習レッスンP114、十訂基本テキスト上巻P161)。

包括的支援事業の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
包括的支援事業について、◯か×で答えなさい Q1 包括的支援事業は、第1号被保険者と第2号被保険者を対象とする。 解答を...
5.認知症カフェは、介護保険の給付対象のサービスである。
→×

 認知症カフェは、介護保険の給付対象ではありません(2025ユーキャン速習レッスンP62・P257、十訂基本テキスト上巻P91・下巻P256)。そのため、解答は×になります。

 なお、認知症カフェは、認知症の人の家族に対する支援の取り組みのひとつであり、専門職にとっては認知症の人やその家族の状況を把握できる場となります(2025ユーキャン速習レッスンP257、十訂基本テキスト下巻P256)。

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