(2024ユーキャン速習レッスンP78、十訂基本テキスト上巻P98)
A サービス料金の割引をして、通常よりも安く提供している場合のこと
「実際のサービス価格が介護報酬の額より低かった場合」というのは、より具体的には「サービス料金の割引をして、通常よりも安く提供している」ということです。この場合、割引して安くした額の9割(一定以上の所得がある第1号被保険者は8割または7割)が保険給付され、残り1割(同じく2割または3割)が利用者負担になります。
これについて、通常の場合と比較して例をあげて考えてみます。
例1)通常の場合
アさんの利用者負担割合は1割で、9割が保険給付されます。そして、アさんに対して、A事業者が訪問介護を1,000単位分提供しました。1単位は10円です。
この場合、サービスの費用総額は、1,000単位×10円=1万円になります。
A事業者は1万円×90%=9,000円を国保連へ請求し、国保連から支払われます。
残りの1,000円が、利用者負担額になります。
例2)割引をしている場合
イさんの利用者負担は1割で、9割が保険給付されます。そして、B事業者では訪問介護を5%の割引料金で提供しています。ですので、通常なら1,000単位のところが、950単位になります。これを、イさんに提供しました。1単位は10円です。
この場合、サービスの費用総額は、950単位×10円=9,500円になります。
B事業者は9,500円×90%=8,550円を国保連へ請求し、国保連から支払われます。
残りの950円が利用者負担額になります。
この「例2」が「実際のサービス価格が介護報酬の額より低かった場合は、実際の値段に応じた額が支払われる」ということです。
なお、割引の設定は、事業所ごと・サービス種類ごとに「厚生労働大臣が定める基準」の単位数に対し、割引率(%)で設定することとされています。
割引が認められるサービス
割引は、福祉系サービスに認められており、医療系サービスについては認められません。
これは、訪問看護などの医療系サービスは、全国統一単価である診療報酬と一般的に価格差を設けることはないものと考えられる、ということです。
割引の目的
割引が可能とされているのには、次のような目的があります。
割引の実施(事業者の判断)
割引をするかどうかは、その事業者が自分で決めることができます。
たとえば「C事業者は、他の事業者との競争力をつけるために、サービスの料金を安くする」、「D事業者は平日の昼間が暇なので、その時間帯の料金を安くして、利用者の獲得を目指す」というようになります。
割引を実施する要件
割引を実施する際には、次の要件を満たす必要があります。
都道府県への事前の届出
サービスの費用額は、利用者や居宅介護支援事業者が居宅サービス計画を作成する際に必要で、大切な情報です。そのため、事業者が割引を実施する場合は、その旨を事前に都道府県へ届け出る必要があります。
届出を受けた都道府県は、割引の実施についてWAM NETへ掲載するなどして、周知を図る必要があることとされています。