問題12 介護保険における第2号被保険者の保険料について正しいものはどれか。3つ選べ。
1.介護予防・日常生活支援総合事業の費用にも充てられる。
2.所得段階別定額保険料である。
3.被用者保険の被保険者の場合には、事業主負担がある。
4.被用者保険の被保険者である生活保護受給者は、保険料を支払う。
5.被用者保険の被保険者の保険料は、市町村が条例で定める。
解答
1、3、4
解説
1.介護予防・日常生活支援総合事業の費用にも充てられる。
→◯
第2号保険料は、総合事業の費用に充てられます(2025ユーキャン速習レッスンP128、十訂基本テキスト上巻P153)。そのため、解答は◯になります。
財源の負担割合
|
介護給付費
|
居宅給付費 |
施設等給付費 |
公
費 |
国 |
25%★ |
20%★ |
都道府県 |
12.5% |
17.5% |
市町村 |
12.5% |
12.5% |
保
険
料 |
第1号保険料 |
23% |
23% |
第2号保険料 |
27% |
27% |
|
地域支援事業
|
総合事業 |
総合事業以外 |
公
費 |
国 |
25%★ |
38.5% |
都道府県 |
12.5% |
19.25% |
市町村 |
12.5% |
19.25% |
保
険
料 |
第1号保険料 |
23% |
23% |
第2号保険料 |
27% |
なし |
※施設等給付費は、都道府県知事に指定権限のある介護保険施設と(介護予防)特定施設入居者生活介護にかかる給付費。それ以外の給付費が、居宅給付費。
※総合事業以外とは、包括的支援事業と任意事業のこと。
※(★のある)国が負担する居宅給付費25%、施設等給付費20%、総合事業25%には、5%相当の調整交付金が含まれる。
▼財政構造の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
財政構造について、◯か×で答えなさい
Q1 国は、介護給付及び予防給付に要する費用の30%を負担する。
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2.所得段階別定額保険料である。
→×
所得段階別定額保険料となっているのは、第1号保険料です(2025ユーキャン速習レッスンP129、十訂基本テキスト上巻P66)。そのため、解答は×になります。
なお、第2号保険料については、健康保険の場合は、基本的には、被保険者の報酬額に医療保険者が設定した保険料率を掛けて(×0.8、×1.2など)算出します。
ただし、一定の要件を満たし、厚生労働大臣の承認を受けた健康保険組合は、所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)を設定することができます(2025ユーキャン速習レッスンP131、十訂基本テキスト上巻P71)。
国民健康保険の場合は、所得割額(所得に応じた保険料)、被保険者均等割額(世帯に属する被保険者の人数に応じた保険料)などを合計して、世帯単位で保険料額が決まります(十訂基本テキスト上巻P72)。
3.被用者保険の被保険者の場合には、事業主負担がある。
→◯
設問のとおりです(2025ユーキャン速習レッスンP131、十訂基本テキスト上巻P71)。
なお、国民健康保険の場合は、国庫負担があります(十訂基本テキスト上巻P72)。
4.被用者保険の被保険者である生活保護受給者は、保険料を支払う。
→◯
生活保護受給者であっても、介護保険の被保険者であれば、保険料を支払う必要があります(2025ユーキャン速習レッスンP428、十訂基本テキスト下巻P475)。そのため、解答は◯になります。
▼関連Q&A
介護保険料(介護保険の被保険者)
生活扶助での対応になります。詳細は、以下のとおりです。
■第1号被保険者
年額18万円(月額1万5,000円)以上の老齢基礎年金等受給者は特別徴収(年金から天引き)されます。この場合、介護保険料の分が年金収入から控除されます。
※「年金収入から控除」というのは、受け取る年金のうち、保険料の分は収入とはみなされず、その分を生活扶助として増やしてくれるということです。ですので、結果的には「生活扶助に上乗せして支給される」と言うことができます。
上記以外の場合は普通徴収(納入通知書による納付)になります。この場合は、生活扶助に介護保険料加算がされます。
■第2号被保険者
勤労(被用)収入から控除されます。
※生活保護受給者は、国民健康保険の適用除外になります(必要な医療は、生活保護の医療扶助から給付される)。そのため、国民健康保険に加入していた第2号被保険者が生活保護を受けるようになると、医療保険未加入となり、第2号被保険者の資格要件のうち「医療保険に加入していること」を満たさなくなって、介護保険の被保険者ではなくなります。
ただし、生活保護を受けていて、企業の健康保険に加入している人もわずかにいます(生活保護受給者が、企業の健康保険に加入することは可能)。この場合で、40歳以上65歳未満の人が第2号被保険者になります。つまり、生活保護受給者で第2号被保険者となるのは、企業の健康保険に加入している人であり、会社に勤務していて給与をもらっている、ということです。
この場合、給与から医療保険料と一緒に介護保険料が徴収されます。そのため、介護保険料の分は収入とはみなされず(「勤労(被用)収入から控除」)、その分を生活扶助として増やしてくれます。ですので、結果的には「生活扶助に上乗せして支給される」と言うことができます。
施設サービス(介護保険の被保険者)
■日常生活費
生活扶助での対応になります(介護施設入所者基本生活費)。
■食費
介護保険から特定入所者介護サービス費から給付されて、負担限度額の分が介護扶助の対応になります。
※特定入所者介護サービス費は、居住費・食費について、負担限度額までを利用者が負担し、それを超えて基準費用額までが介護保険から給付されるものです。
■居住費
生活保護受給者は、原則として多床室を利用することとされています。この場合の居住費は、全額が介護保険から特定入所者介護サービス費として給付されます。
※生活保護受給者が多床室を利用した場合は、特定入所者介護サービス費における負担限度額が0円とされているため、全額が特定入所者介護サービス費として給付されることになります。
ただし、居室の空き状況などによっては、例外的にユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室を利用することも認められます。この場合、介護保険から特定入所者介護サービス費が給付されて、負担限度額の分が介護扶助の対応になります。
短期入所サービス(介護保険の被保険者)
■食費
生活保護による新たな対応はありません。介護保険から特定入所者介護サービス費から給付されて、負担限度額の分を生活保護受給者が支払います。
※短期入所サービスを利用するというのは、生活保護受給者が自宅で生活しているということであり、生活費(食費を含む)として生活扶助が支給されています。そのため、負担限度額の分を既に支給されている中から支払うことになります。
■滞在費
生活保護受給者は、原則として多床室を利用することとされています。この場合の滞在費は、全額が介護保険から特定入所者介護サービス費として給付されます。
ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室を利用した場合は、生活保護による新たな対応はありません。介護保険から特定入所者介護サービス費が給付されて、負担限度額の分を生活保護受給者が支払います。
通所サービス(介護保険の被保険者)
■食費
生活保護による新たな対応はありません。食費の全額を生活保護受給者が支払います。
※通所サービスを利用するというのは、生活保護受給者が自宅で生活しているということであり、生活費(食費を含む)として生活扶助が支給されています。そのため、食費の全額を既に支給されている中から支払うことになります。
生活保護受給者(介護保険の被保険者でない場合)
介護保険料(介護保険の被保険者でない場合)
介護保険の被保険者でないので、そもそも介護保険料は発生しません。
施設サービス(介護保険の被保険者でない場合)
■日常生活費
生活扶助での対応になります(介護施設入所者基本生活費)。
■食費
介護扶助での対応になります。
■居住費
介護扶助での対応になります。
短期入所サービス(介護保険の被保険者でない場合)
■食費
介護保険の特定入所者介護サービス費相当額が介護扶助の対応になり、負担限度額相当額を生活保護受給者が既に支給されている中から支払います。
■滞在費
生活保護受給者は、原則として多床室を利用することとされています。この場合の滞在費は、全額が介護扶助の対応になります。
ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室を利用した場合は、介護保険の特定入所者介護サービス費相当額が介護扶助の対応になり、負担限度額相当額を生活保護受給者が既に支給されている中から支払います。
通所サービス(介護保険の被保険者でない場合)
■食費
食費の全額を生活保護受給者が既に支給されている中から支払います。
▼関連Q&A
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5.被用者保険の被保険者の保険料は、市町村が条例で定める。
→×
被用者保険の被保険者の保険料を定めるのは、医療保険者です(2025ユーキャン速習レッスンP40・P131、十訂基本テキスト上巻P71)。そのため、解答は×になります。
なお、保険料に関して市町村が条例で定めるのは、第1号被保険者の保険料率です(2025ユーキャン速習レッスンP36・P129、十訂基本テキスト上巻P65)。