第27回 問題11【令和6年度 ケアマネ試験 介護支援分野】

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問題11 介護保険の財政について正しいものはどれか。3つ選べ。
1.施設等給付の公費負担割合は、国30%、都道府県10%、市町村10%である。
2.調整交付金の総額は、介護給付及び予防給付に要する費用の総額の5%に相当する額である。
3.介護給付及び予防給付に要する費用は、公費と保険料によりそれぞれ50%ずつ賄われる。
4.第1号被保険者と第2号被保険者の保険料負担の按分割合は、制度施行以来変わっていない。
5.市町村特別給付に要する費用は、その市町村の第1号被保険者の保険料により賄われる。

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解答

2、3、5

解説

1.施設等給付の公費負担割合は、国30%、都道府県10%、市町村10%である。
→×

 施設等給付の公費負担割合は、国20%都道府県17.5%市町村12.5%です(2025ユーキャン速習レッスンP128、十訂基本テキスト上巻P64)。そのため、解答は×になります。

財源の負担割合
介護給付費
居宅給付費 施設等給付費

25% 20%
都道府県 12.5% 17.5%
市町村 12.5% 12.5%


第1号保険料 23% 23%
第2号保険料 27% 27%
地域支援事業
総合事業 総合事業以外

25% 38.5%
都道府県 12.5% 19.25%
市町村 12.5% 19.25%


第1号保険料 23% 23%
第2号保険料 27% なし
※施設等給付費は、都道府県知事に指定権限のある介護保険施設と(介護予防)特定施設入居者生活介護にかかる給付費。それ以外の給付費が、居宅給付費。
※総合事業以外とは、包括的支援事業と任意事業のこと。
※(のある)国が負担する居宅給付費25%、施設等給付費20%、総合事業25%には、5%相当の調整交付金が含まれる。

財政構造の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
財政構造について、◯か×で答えなさい Q1 国は、介護給付及び予防給付に要する費用の30%を負担する。 解答を見る > ...
2.調整交付金の総額は、介護給付及び予防給付に要する費用の総額の5%に相当する額である。
→◯

 設問のとおりです(2025ユーキャン速習レッスンP128・P129、十訂基本テキスト上巻P63)。

調整交付金の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
財政構造について、◯か×で答えなさい Q1 国は、介護給付及び予防給付に要する費用の30%を負担する。 解答を見る > ...
関連Q&A
 国は調整交付金の%を調整して交付することにより、以下の①~③による市町村間の財政力の格差を是正しています。
調整交付金の内訳
普通調整交付金給付対象となる可能性の高い後期高齢者(75歳以上)の加入割合の違い。 第1号被保険者の所得(保険料負担能力)の格差。
特別調整交付金災害時の保険料減免など、保険者の責によらない事由。
 ①と②は予測可能なので、まずはこれらに応じて調整交付金が算出されます。そして、残額が生じた場合に、③に応じた調整が行われます。  

調整交付金の仕組み:調整交付金の%と、1号保険料の%は連動する

 調整交付金によって市町村間の財政力の格差を是正する仕組みは、次のようなものです。  

後期高齢者(給付対象となる可能性の高い人)の比率が低く、第1号被保険者の所得水準の高い市町村

 この場合、調整交付金を5%より少なくし(国の負担を少なくし)、1号保険料の負担割合を増やします。  たとえば、上記のように「居宅給付費」における国の負担(25%)には調整交付金(5%相当)が含まれています。そして、調整交付金が4%の場合、国の負担は24%となり、1号保険料の負担は23%に増えます。  つまり、後期高齢者の比率が低く、第1号被保険者の所得水準の高い市町村では、第1号被保険者により多く費用を負担してもらいましょう、ということです。  

後期高齢者の比率が高く、第1号被保険者の所得水準の低い市町村

 この場合、調整交付金を5%より多くし(国の負担を多くし)、1号保険料の負担割合を減らします。  たとえば「居宅給付費」において、調整交付金が6%の場合、国の負担は26%となり、1号保険料の負担は21%に減ります。  つまり、後期高齢者の比率が高く、所得水準の低い市町村では、第1号被保険者の費用負担を少なくしましょう、ということです。
3.介護給付及び予防給付に要する費用は、公費と保険料によりそれぞれ50%ずつ賄われる。
→◯

 介護給付と予防給付に要する費用は、財政構造においては「介護給付費」という名称です。これは、設問にあるとおり、公費50%と保険料50%により賄われます(選択肢1の解説を参照)。そのため、解答は◯になります。

4.第1号被保険者と第2号被保険者の保険料負担の按分割合は、制度施行以来変わっていない。
→×

 第1号保険料と第2号保険料の按分割合(それぞれの%)は、これまでに何度も変更されています。そのため、解答は×になります。

 ちなみに、以前は第1号保険料22%、第2号保険料28%だったのが、現在は第1号保険料23%、第2号保険料27%となっています。これは、第1号被保険者(65歳以上)の方が、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)よりも人口比率が高くなったためです。

関連Q&A

1人当たりの平均的な保険料が同水準になるよう、人口比に応じて%を設定している

 保険料の負担割合は、全国の第1号被保険者と第2号被保険者の人口比に応じて設定されています。こうすることで、1人当たりの平均的な保険料がほぼ同じ水準になるようになっています。  以下に簡単な例をあげて考えてみます。 例)日本の第1号被保険者が25人、第2号被保険者が25人、居宅給付費(上の表を参照)が100万円です。居宅給付費における保険料の負担割合は50%なので、第1号被保険者は25%、第2号被保険者も25%を負担することになります。  そして、第1号被保険者が25人で25%を負担するのですから、第1号被保険者1人当たり1%の負担となります。居給付費が100万円なので、つまり第1号被保険者1人当たり1万円の負担となります。同様に、第2号被保険者1人当たり1%で、1万円の負担となります。  では、上記の例において、日本の第1号被保険者が23人、第2号被保険者が27人の場合はどうでしょう。この場合、負担割合を第1号被保険者23%、第2号被保険者27%に設定すれば、1人当たり1万円の負担となります。  このように、第1号被保険者と第2号被保険者の人口比に応じて負担割合を変えて、1人当たりの負担額がほぼ同じ水準になるようにしています。
5.市町村特別給付に要する費用は、その市町村の第1号被保険者の保険料により賄われる。
→◯

 設問のとおりです(2025ユーキャン速習レッスンP66、十訂基本テキスト上巻P96)。

 なお、第1号保険料で賄われるのは、市町村特別給付、支給限度基準額の上乗せ、保健福祉事業、財政安定化基金への拠出金です。

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