法定後見制度における取消権・同意権・代理権【一問一答 ケアマネ試験対策】

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法定後見制度における取消権・同意権・代理権について、◯か×で答えなさい

Q1 成年後見人は、被後見人の居住用の不動産を家庭裁判所の許可なく処分することができる。
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A ×
 成年後見人が成年被後見人(本人)に代わって、本人の居住用の不動産(建物または敷地)の処分(売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定など)をする場合は、家庭裁判所の許可を得なければならない
Q2 成年被後見人が行った法律行為は、原則として、取り消すことができる。
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A ◯
 成年被後見人(本人)の法律行為(預貯金の管理、重要な財産の売買など)について、本人にとって不利益なものは、原則として取り消すことができる(日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く)。
Q3 成年被後見人による法律行為を、当該成年被後見人が自らこれを取り消すことはできない。
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A ×
 成年被後見人(本人)の法律行為は、本人が自ら取り消すことができる。また、成年後見人も取り消すことができる。
Q4 保佐人は、本人の同意のもと、家庭裁判所の審判を経て、本人に代わって様々なことを行う代理権を得ることができる。
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A ◯
 設問のとおり(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
Q5 保佐人は、重要な財産を処分するなどの本人が行おうとしている一定の行為に対して、同意権をもっている。
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A ◯
 設問のとおり。
Q6 補助人には、被補助人の同意のもと、四親等内の親族の請求により、家庭裁判所の審判によって、同意権を与えることができる。
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A ◯
 設問のとおり。


ポイント解説

代理権・取消権・同意権と3類型

 代理権・取消権・同意権は、それぞれ次のようなものです。

代理権・取消権・同意権
代理権
本人に代わって行うことができる権利。
 
例)認知症で判断能力が全くない人が施設に入る場合に、本人の代わりに成年後見人が(代理で)入所契約をする、など。
取消権
本人が行った行為でも、本人に不利益な場合には、取り消すことができる権利。
 
例)認知症で判断能力が衰えている人が、訪問販売で不必要な高額商品を買わされてしまった場合に(売買契約が成立してしまった場合に)、保佐人がその売買契約を取り消すことができる、など。
同意権
本人が行おうとしている行為について同意を与える権利。
 
例)認知症で判断能力が衰えているものの少しはある人が施設に入る場合に、契約するのは本人で、保佐人が契約内容を確認して、それに同意をした場合に契約が成立する、など。


 これらの権利のうち、法定後見制度の3類型における成年後見人などに与えられるのは、次のものになります。

法定後見制度の3類型と与えられる権利
類型 与えられる権利
後見類型 成年後見人に対して、次の権利が与えられる。

代理権
 成年被後見人(本人)の財産に関する法律行為(預金の管理、重要な財産の売買、入退院・施設入退所の手続きと費用の支払い、介護サービスの契約など)について、包括的な代理権が与えられる。
 ただし、本人の居住用の不動産(建物または敷地)を処分(売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定など)するには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

取消権
 本人の法律行為(預貯金の管理、重要な財産の売買など)に関し、本人にとって不利益なものについて取消権が与えられる(日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く)。

※後見類型では、本人の判断能力が全くないので、成年後見人に与えられる代理権と取消権の及ぶ範囲が広い。
※成年後見人には、同意権は与えられない。後見類型の場合、本人の判断能力が全くなく、同意を与えたとしても、そのとおりに行為をする可能性が限りなく低いため、同意権は不要とされている。
保佐類型 保佐人に対して、次の権利が与えられる。

代理権
 被保佐人(本人)の同意のもと、保佐人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられる。

取消権・同意権
 民法第13条で規定された重要な法律行為(金銭の借り入れ、重要な財産の処分、訴訟など)についてのみ、取消権と同意権が与えられる。

※保佐類型では、本人に少し判断能力が残っているので、後見類型よりも保佐人が代理権を持つことに対して厳しく、また、保佐人の取消権と同意権の及ぶ範囲が狭くなっている。
補助類型 補助人に対して、次の権利が与えられる。

代理権
 被補助人(本人)の同意のもと、補助人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられる。

取消権・同意権
 本人の同意のもと、家庭裁判所の審判を経て、民法第13条で規定された重要な法律行為のうちの特定の行為についてのみ、取消権と同意権が与えられる(取消権と同意権の及ぶ範囲が、保佐人よりも限定されている)。

※補助類型では、本人にある程度の判断能力が残っているので、本人の同意が必要とされ、補助人が代理権、取消権、同意権を持つことに対してより厳しく、補助人の取消権と同意権の及ぶ範囲がより限定されている。
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