法定後見制度の概要・審判請求【一問一答 ケアマネ試験対策】

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法定後見制度の概要・審判請求について、◯か×で答えなさい

Q1 法定後見制度は、判断能力の程度に応じて、後見、保佐及び補助の3類型に分かれている。
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A ◯
 設問のとおり(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
Q2 後見開始等の審判は本人も請求することができる。
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A ◯
 設問のとおり(Q3の解説も参照)。
Q3 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、配偶者も、後見開始の審判を請求することができる。
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A ◯
 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官などが、家庭裁判所へ後見開始、保佐開始、補助開始(以下、後見開始等)の審判を請求することができる。

※設問にある「事理を弁識する能力」は、一般的にいう「判断能力」のこと。
Q4 都道府県知事は、高齢者の福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見開始の審判を請求することができる。
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A ×
 Q3の解説にあるように、後見開始等の審判の請求は、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官などが行う。
 ただし、65歳以上の高齢者の福祉を図るため特に必要があると認めるときは(親族がいない場合など)、市町村長が後見開始の審判の請求をすることもできる。
Q5 家庭裁判所は、本人の同意がなくても、四親等内の親族の請求により、補助開始の審判をすることができる。
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A ×
 家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官などの請求により、補助開始の審判をすることができる。
 本人以外の者が補助開始の審判を請求する場合には、本人の同意が必要とされている(後見開始と保佐開始の審判については、本人の同意がなくても可)。
Q6 後見開始等の審判は、やむをえない事情がある場合は、市町村に請求することもできる。
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A ×
 設問のような規定はない。後見開始等の審判は、家庭裁判所に請求する。


ポイント解説

成年後見制度の概要

 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。

成年後見制度 法定後見制度 本人の判断能力が低下してから申し立てるもので、その低下の程度に応じて後見類型、保佐類型、補助類型の3類型がある(詳しくは後述の表参照)。
任意後見制度 判断能力が不十分になったときのために、あらかじめ本人が契約によって任意後見人と後見事務の内容を決めておくもの。

任意後見制度の仕組みについては、以下の「ポイント解説」を参照
任意後見制度・市町村の役割について、◯か×で答えなさい Q1 任意後見制度とは、判断能力が不十分になったときのために、後見人に...

法定後見制度

後見開始等の審判の請求

 家庭裁判所への後見開始、保佐開始、補助開始(以下、後見開始等)の審判の請求は、本人配偶者四親等内の親族検察官などが行います。

 なお、本人以外の者が補助開始の審判を請求するには、本人の同意が必要とされています(後見開始と保佐開始の審判については、本人の同意がなくても可)。

 65歳以上の高齢者の福祉を図るため特に必要があると認めるときは(親族がいない場合など)、市町村長が後見開始の審判の請求をすることもできます。

本人以外の者による“補助開始”の審判の請求
 成年後見制度の後見類型、補佐類型、補助類型は、後述の表にあるように、本人の判断能力によって分かれます。精神上の障害が最も重い人(判断能力が全くない人)に対応するのが「後見類型」です。その次に重いに人に対応するのが「保佐類型」で、その次が「補助類型」です。

 このうち、後見類型と補佐類型については、本人の判断能力の低下が一定以上なので、本人以外の者による審判の請求の際に、本人の同意は不要とされています。

 補助類型の場合は、本人の判断能力は低下しているものの、ある程度は残っているので、本人以外の者による審判の請求の際に、本人の同意が必要とされています。

法定後見制度の3類型

 法定後見制度は、本人の判断能力(事理を弁識する能力)の低下の程度により、次の3類型に分かれます。

法定後見制度の3類型
類型 対象者 判断能力
後見類型
(成年後見人の選任)
判断能力を欠く人(判断能力が全くない人) 低い

判断能力

高い
保佐類型
(保佐人の選任)
判断能力が著しく不十分な人
補助類型
(補助人の選任)
判断能力が不十分な人
関連Q&A

成年後見制度と日常生活自立支援事業は、対象者と実施する内容が異なる

 次のように、対象者と実施する内容が異なります。  

成年後見制度の対象者と実施内容


対象者は、判断能力の低下が一定以上の人

 成年後見制度の対象となるのは、判断能力の低下が一定以上の人です。  

実施する内容は、法律行為についての対象者の保護と権利擁護

 成年後見制度では、身上監護や財産管理に関する法律行為について、成年後見人などに代理権、取消権、同意権が与えられ、対象者を保護し、その権利を守ります。これらの権利は、本人に代わって契約をしたり、本人が交わした契約を破棄できるなど、かなり強い権限であると言えます。  

日常生活自立支援事業の対象者と実施内容


対象者は、断能力の低下が軽い人

 成年後見制度の対象となる人より、判断能力の低下がもっと軽い人が日常生活自立支援事業の対象となります。  

実施する内容は、日常生活に関する援助

 日常生活自立支援事業では、日常生活に関する援助(福祉サービスの利用援助、日常的な金銭等の管理、書類などの預かりサービス)を行います。これは、あくまで日常生活を送るうえで必要な援助であり、生活支援員に成年後見制度のような権限は与えられません。  

まとめ:成年後見制度は扱う事柄が重大で、日常生活自立支援事業は日常生活に密着している

 こうして比較すると、成年後見制度の方が扱う事柄が重大で、日常生活自立支援事業の方は日常生活に密着している、と言えます。
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