
高齢者の精神障害について、◯か×で答えなさい
うつ病の発生要因としては、脳内神経伝達物質の異常、脳の血流障害などがある。
設問のとおり(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
うつ病では、妄想の症状が現れることがある。
設問のとおり(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
うつ病の症状が進むと、希死念慮(死んでしまいたいと思う気持ち)が強まり、自殺企図もあるため、自殺予防が重要。
設問のとおり(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
老年発症型のアルコール依存症は、身体的老化、喪失体験や社会的孤立などの環境変化によって発症する。
なお、アルコール依存の家族歴や遺伝的要因を有することが多いのは、若年発症型のアルコール依存症。
設問のとおり(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
アルコール依存症は「精神障害者」に含まれ、精神障害者保健福祉手帳の交付対象とされている。
設問のとおり(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
ポイント解説
うつ病
うつ病の発症要因
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●脳の血流障害、脳内神経伝達物質の異常、身体疾患
●喪失体験(配偶者や友人などとの死別、仕事からの引退など)
●孤独
など
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うつ病の症状
抑うつ気分(気分の落ち込み)、意欲の低下、自分に価値がないと感じる、必要以上に自分を責める(罪業妄想など)、行動できなくなるなどの症状があります。
また、さまざまな身体症状(食欲減退、睡眠障害、頭痛や肩こり、便秘、口の渇き、体のほてり、動悸など)も出やすくなります。
症状が進むと、希死念慮(死んでしまいたいと思う気持ち)が強まり、自殺企図もあるため、自殺予防が重要となります。
高齢者のうつ病では、集中力や判断力の低下だけが目立つこともあり、認知症と判断されて、診断が遅れることがあります。逆に、認知症の初期に抑うつ気分や意欲の低下が目立って、うつ病と間違えられることもあるため注意が必要です。
統合失調症
統合失調症の大半は思春期から中年期以前に発症します。
症状には、次のようなものがあります。
| 陽性症状 (派手な症状) |
幻聴や幻覚、滅裂思考、緊張病症状(興奮と無動)、奇異な行動など |
| 陰性症状 (精神機能の減退を反映する症状) |
感情鈍麻、無気力、自発性の低下など |
また、加齢に伴い、寛解(症状の軽減)、欠陥治癒(心的エネルギーが低い状態での安定)、認知症化など、さまざまな経過をたどります。
経過が順調でも、配偶者や近親者の死、生活環境の変化などにより、高齢になって再発することもあります。
アルコール依存症
老年発症型のアルコール依存症は、身体的老化、喪失体験や社会的孤立などの環境変化によって発症します。
老年期のアルコール依存症の特徴は、次のようなものです。
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●離脱症状が遷延しやすい(アルコールの効果が減っても、不快な気分や自律神経症状などが長く続く)
●糖尿病、高血圧などの身体合併症が高い確率で出現する。
●認知症やうつ病を合併する割合が高い。
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また、アルコール依存症は「精神障害者」に含まれ、精神障害者保健福祉手帳の交付対象とされています。
遅発パラフレニー
パラフレニーとは、人格と感情反応は保たれるが、著しい妄想を主症状とする精神疾患です。高齢者にみられるものを遅発パラフレニーといい、老年期の妄想性障害の代表的な疾患とされています。
高齢者の遅発パラフレニーでは、妄想に幻覚や錯覚を伴うことが多くあり、若年者と比べて、妄想と幻覚、幻覚と錯覚の区別があいまいなことがあります。
発症には、老年期の喪失体験、社会的状況の変化、性格、難聴(聴力低下によるコミュニケーション不足が不確実感や孤立感などを強くする)などが関係していると言われています。



