第24回 問題31【令和3年度 ケアマネ試験 保健医療サービス分野】

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問題31 認知症のケアや支援について適切なものはどれか。3つ選べ。
1.認知症施策推進大綱では、医療従事者等の認知症対応力向上の促進を図ることとしている。
2.認知症疾患医療センターは、地域の介護関係者等への研修は行わない。
3.認知症ケアパスとは、認知症の人の状態に応じた適切な医療や介護サービスの提供の流れを示すものである。
4.認知症初期集中支援チームは、警察と介護事業者や地域の関係団体が協力して認
知症の人を捜索する仕組みである。
5.認知症地域支援推進員は、認知症の人やその家族を支援する相談支援や支援体制を構築するための取組を行う。

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解答

1、3、5

解説

1.認知症施策推進大綱では、医療従事者等の認知症対応力向上の促進を図ることとしている。
→◯

 認知症施策推進大綱の5つの柱のうちの「③医療・ケア・介護サービス・介護者への支援」に、設問の内容が含まれます(2024ユーキャン速習レッスンP253、十訂基本テキスト下巻P200)。そのため、解答は◯になります。

認知症施策推進大綱
 2019(令和元)年6月18日に、認知症施策推進関係閣僚会議において「認知症施策推進大綱」がとりまとめました。これまでの新オレンジプランの後継に当たるもので、新オレンジプランによる施策も含めて、新たな大綱に基づく施策が推進されます。

 大綱の基本的な考え方は、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していく、というものです。

※「共生」とは、認知症の人が尊厳と希望をもって認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でともに生きる、という意味です。
※「予防」とは、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味です。

 こうした基本的な考え方の下、次の5つの柱に沿って施策が推進されます。

普及啓発・本人発信支援
予防
医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
研究開発・産業促進・国際展開
2.認知症疾患医療センターは、地域の介護関係者等への研修は行わない。
→×

 認知症疾患医療センターとは、認知症に関し、地域の医療機関や介護サービス事業者等との連携を担う中核機関として、都道府県・指定都市による指定を受けた医療機関です。

 実施する内容としては、①認知症疾患に関する鑑別診断・初期対応、②周辺症状と身体合併症の急性期医療に関する対応、③専門医療相談、④地域保健医療・介護関係者への研修などがあげられます(2024ユーキャン速習レッスンP254、十訂基本テキスト下巻P254)。そのため、解答は×になります。

3.認知症ケアパスとは、認知症の人の状態に応じた適切な医療や介護サービスの提供の流れを示すものである。
→◯

 設問のとおりで、認知症ケアパス(care pathway)とは、認知症の進行状況に合わせて、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受ければよいか、ということを標準的に示したものです(2024ユーキャン速習レッスンP253、十訂基本テキスト下巻P253)。

 認知症ケアパスは、地域ごとに作成されて、その地域にある病院や介護サービス事業者、施設が盛り込まれます。現在、多くの市町村で作成されており、普及が進んでいます。

 認知症ケアパスは、たとえば次のようなものです(↓は、認知症の進行を示します)。

認知症ケアパスの例
認知症の気づきから診断まで……家族、主治医や認知症疾患医療センター※による診断
 ↓
日常在宅ケア……主治医による日常診察、介護支援専門員によるケアプラン、事業者による居宅サービス・地域密着型サービスなど
 ↓
急性増悪期ケア……精神科医療機関
 ↓
日常在宅ケア……主治医による日常診察、介護支援専門員によるケアプラン、事業者によるサービス、施設入所など

※認知症疾患医療センター:認知症に関して、地域の医療機関や介護サービス事業者等との連携を担う中核機関として、都道府県・指定都市による指定を受けた医療機関。
4.認知症初期集中支援チームは、警察と介護事業者や地域の関係団体が協力して認知症の人を捜索する仕組みである。
→×

 認知症初期集中支援チームは、認知症の人(疑われる人も含む)やその家族を、複数の専門家が訪問し、アセスメントや家族支援などの初期の支援を包括的・集中的に行うチームです(2024ユーキャン速習レッスンP254、十訂基本テキスト下巻P253)。そのため、解答は×になります。

 なお、この場合の「初期」は、「認知症の発症初期」だけでなく、かかわりにおける初期(ファーストタッチ)の意味も含まれるため、認知症がある程度まで進行した段階で顕在化したケースも対象となります。

 また、地域支援事業の包括的支援事業の認知症総合支援事業において、認知症初期集中支援チームの設置が進められています(2024ユーキャン速習レッスンP120、十訂基本テキスト上巻P161)。

包括的支援事業の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
包括的支援事業について、◯か×で答えなさい Q1 包括的支援事業は、第1号被保険者と第2号被保険者を対象とする。 解答を...
5.認知症地域支援推進員は、認知症の人やその家族を支援する相談支援や支援体制を構築するための取組を行う。
→◯

 認知症地域支援推進員は地域包括支援センター、市町村、認知症疾患医療センターなどに配置され、①地域での医療・介護等の支援ネットワークの構築、②認知症対応向上のための支援、③相談支援・支援体制の構築を行います(2024ユーキャン速習レッスンP255、十訂基本テキスト下巻P255)。ここに設問の内容が含まれるため、解答は◯になります。

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