第27回 問題37【令和6年度 ケアマネ試験 保健医療サービス分野】

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問題37 次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1.後期高齢者に対する健康診査では、フレイル状態のチェックも重要である。
2.握力の低下は、サルコペニア(筋肉減弱症)の目安となる。
3.慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する高齢者では、禁煙が重要である。
4.喫煙は、心筋梗塞の危険因子ではない。
5.多量の飲酒習慣は、脳卒中のリスクとは無関係である。

猫の写真

解答

1、2、3

解説

1.後期高齢者に対する健康診査では、フレイル状態のチェックも重要である。
→◯

 フレイル(虚弱)とは、高齢になって筋力や活動が低下している状態であり、健康と要介護状態の中間的な段階です。次の5項目のうち、3項目以上に該当すればフレイルとみなされます(2025ユーキャン速習レッスンP182、十訂基本テキスト下巻P11・P83~)。そのため、解答は◯になります。

フレイルの診断基準(改定日本版CHS基準)
体重減少:6か月で2kg以上の(意図しない)体重減少
筋力低下:握力 男性<28kg、女性<18kg
疲労感:(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度:通常歩行速度:1.0m/秒
身体活動:「軽い運動・体操をしていますか?」「定期的な運動・スポーツをしていますか?」の2ついずれも「週に1回もしていない」と回答
2.握力の低下は、サルコペニア(筋肉減弱症)の目安となる。
→◯

 サルコペニア(筋肉減少症)とは、①加齢に伴う骨格筋(筋肉)の減少に加えて、②筋力の低下、③身体機能の低下のいずれかを伴う場合のことをいいます(2025ユーキャン速習レッスンP182、十訂基本テキスト下巻P11・P86~)。

 なお、サルコペニアの簡便なスクリーニング指標として「指輪っかテスト」という方法があります。これは、両手の親指と人差し指で輪っかをつくり、それを物差しとして、ふくらはぎの最大部分を締め付けない程度に囲うというものです。これにより、ふくらはぎの骨格筋量を「囲めない」、「ちょうど囲める」、「隙間ができる」という3段階で評価します。「隙間ができる」となった人は、サルコペニアの危険度が高いと言えます。

3.慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する高齢者では、禁煙が重要である。
→◯

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主たる原因は喫煙であるため、治療では、まず禁煙が基本となります(2025ユーキャン速習レッスンP211、十訂基本テキスト下巻P147・P148)。そのため、解答は◯になります。

 禁煙したうえで、薬物療法(気管支拡張薬の吸入が中心、重症の場合は吸入ステロイド薬)や呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸など)が行われます。低酸素血症が進行し、ADLが低下した場合は在宅酸素療法(HOT)が行われます。

4.喫煙は、心筋梗塞の危険因子ではない。
→×

 喫煙習慣は、心筋梗塞、狭心症、高血圧症、心不全、不整脈、下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)などの危険因子となるため、留意する必要があります(2025ユーキャン速習レッスンP197、十訂基本テキスト下巻P123)。そのため、解答は×になります。

5.多量の飲酒習慣は、脳卒中のリスクとは無関係である。
→×

 脳血管障害(脳卒中)の予防には、食事、運動、嗜好(飲酒、喫煙)に留意する必要があります(2025ユーキャン速習レッスンP187、十訂基本テキスト下巻P97)。そのため、解答は×になります。

 また、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満など)の管理(適度な運動、適正な体重、塩分摂取の制限、十分な睡眠、便秘予防)なども大切です。

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