在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法【一問一答 ケアマネ試験対策】

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在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法について、◯か×で答えなさい

Q1 在宅酸素療法は、入院しなければ導入できない。
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A ×
 一般的には、短期間の入院をして在宅酸素療法(HOT)の導入の判断をする。ただし、必ず入院しなくてはならないわけではなく、入院せずに導入の判断をすることもあり得る。
Q2 酸素マスクによる在宅酸素療法は、鼻カニューレによるものに比べて、食事や会話がしやすいのが特徴である。
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A ×
 在宅酸素療法で、食事や会話がしやすいのは、鼻カニューレによるもの(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
Q3 呼吸同調型酸素供給装置を使用することで、酸素ボンベの消費を減らすことができる。
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A ◯
 呼吸同調型のものは、吸気時にのみ酸素を流出させるため、酸素ボンベの消費を減らすことが可能。
Q4 在宅酸素療法の利用者が呼吸苦を訴えた場合は、ただちに酸素流量を増やす。
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A ×
 低酸素血症により在宅酸素療法を行っている患者に、医師の指示を超えて酸素流量を増やすと、CO2ナルコーシスとなる危険があるため、注意が必要。

関連Q&A
CO2ナルコーシスとは、炭酸ガス(CO2)が体内にたまり、高炭酸ガス血症によって中枢神経や呼吸中枢が抑制され、中枢神経障害や意識障害を起こすものです。  

呼吸中枢は、O2とCO2に刺激されて呼吸をコントロールしている

 呼吸中枢は、血中の酸素(O2)とCO2に刺激されて呼吸をコントロールしています。健康な人の場合、血中のCO2が上昇またはO2が低下すると呼吸が促進され、逆にCO2が低下またはO2が上昇すると呼吸が抑制されます。  

低酸素血症の場合、酸素流量を増やすと呼吸中枢は呼吸を抑制してしまう

 しかし、低酸素血症の患者の場合、高CO2に慣れているため、CO2が上昇しても呼吸が促進されず、もっぱらO2によって呼吸がコントロールされるようになります。このような状態の患者に対して酸素流量を増やすと、血中のO2が上昇し、呼吸中枢は呼吸を抑制してしまうことに…。すると、CO2が体内にたまっていって、CO2ナルコーシスとなってしまいます。
Q5 パルスオキシメータは、指先から血液を針で採取して測定する。
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A ×
 パルスオキシメーターとは、採血することなく、指先や耳などに検知器(プローブ)を装着するだけで、血中酸素飽和度(SpO2、血液中のヘモグロビンのうち酸素と結びついているヘモグロビンの割合)を測定できる機器のこと。呼吸器疾患や心疾患など、低酸素血症を引き起こしやすい疾患の患者に用いられる。

関連Q&A
 パルスオキシメーターのプローブには、LEDと光センサーが内蔵されています。LEDからは赤色光と赤外光が照射され、それが指先や耳などを透過・反射したものを光センサーで受けるという仕組み。  血液中のヘモグロビンは、酸素と結合している場合と、結合していない場合として、赤色光と赤外光の吸光度が異なります。この性質を利用し、光センサーで受けた透過光・反射光を分析することで、血中酸素飽和度を測定しています。  

静脈血・軟部組織との区別には、脈動を利用している

 ただし、上記のような仕組みだけだと、動脈血だけではなく、静脈血や軟部組織を透過・反射した光も測定してしまうことに…。そこで、動脈血を区別するために、脈動が用いられます。  心臓から送り出された動脈血には、脈動があります。一方、静脈血は緩やかに流れ、脈動はありません。もちろん、軟部組織にも脈動はありません。ですので、透過光・反射光のうち、脈動による変化成分のあるものだけをピックアップすることで、動脈血だけの血中酸素飽和度を測定することが可能になります。  また、この仕組みによって、前述のように脈拍数を測定することもできるというわけです。
Q6 在宅酸素療法では、機器の周囲2m以内に火気を置かないようにする。
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A ◯
 在宅酸素療法では高濃度の酸素を扱うため、火気から2m以上離すなど、十分に注意する必要がある。
 また、ガスコンロを電磁調理器に変えたり、暖房機器はエアコンにするなど、なるべく電気機器を使用することが望ましい。
Q7 在宅酸素療法を実施している場合には、定期的にバッテリーの充電状態を確認する。
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A ◯
 電源を必要とする医療機器については、災害や停電時に備えて、内蔵バッテリーが搭載されているか、バッテリーは十分かなどについて、あらかじめ関係者と話し合って確認しておく必要がある。
Q8 侵襲的陽圧換気法(IPPV)による人工呼吸は、マスクを装着して行われる。
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A ×
 侵襲的陽圧換気法(IPPV)は、気管切開などによって行う方法(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。

 マスクを装着して行われるのは、非侵襲的陽圧換気法(NPPV)。

Q9 気管切開をしている場合でも、スピーチカニューレの使用により発声は可能である。
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A ◯
 スピーチカニューレは、吸気は通常のカニューレと同様に気管切開孔から入るが、呼気が声帯を通って口に抜ける構造になっているので、発声が可能となる(自発呼吸ができる患者に限られます)。
Q10 気管切開を伴った人工呼吸療法では、気管切開部の管理が必要である。
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A ◯
 気管切開を伴った人工呼吸療法の場合、感染対策として気管カニューレや吸引チューブの扱い、期気管切開部の管理、手洗い、手袋の使用について理解しておく必要がある。


ポイント解説

在宅酸素療法の機器

鼻カニューレ 両側の鼻腔から酸素を投与するもの。簡便であり、食事や会話がしやすい。
ただし、口呼吸の場合は効果が乏しくなる。

「鼻カニューレ」を画像検索

簡易酸素マスク 主に酸素流量の多い場合や鼻カニューレでは効果が不十分な場合に用いられる。
さらに酸素が必要な場合は、リザーバー付きマスクを使用することもある。

「簡易酸素マスク」を画像検索

トラキマスク 気管切開をしている場合に使用する。

「トラキマスク」を画像検索

人工呼吸療法の方法

非侵襲的陽圧換気法(NPPV) 専用のマスクを使用して行う方法。

※「非侵襲的」は「生体を傷つけないような」という意味。NPPV:non-invasive positive pressure ventilation
侵襲的陽圧換気法(IPPV) 気管切開などによって行う方法。

※IPPV:invasive positive pressure ventilation。特に、気管切開によって行う方法を「TPPV:tracheostomy positive pressure ventilation」という。
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