第25回 問題32【令和4年度 ケアマネ試験 保健医療サービス分野】

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問題32 認知症について適切なものはどれか。2つ選べ。
1.BPSD(認知症の行動・心理症状)は、住環境などの環境因子の影響は受けない。
2.若年性認知症は、うつ病など、他の精神疾患と疑われることがある。
3.前頭側頭型認知症では、リアルな幻視やパーキンソニズムが特徴である。
4.パーソン・センタード・ケアは、介護者本位で効率よく行うケアである。
5.介護支援専門員が、利用者本人の同意を得て、心身の変化などを主治医に伝えることは、よりよい医療につながる。

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解答

2、5

解説

1.BPSD(認知症の行動・心理症状)は、住環境などの環境因子の影響は受けない。
→×

 BPSD(認知症の行動・心理症状)は、環境因子の影響を受ける症状です(2024ユーキャン速習レッスンP247、十訂基本テキスト下巻P232)。そのため、解答は×になります。

 なお、認知症の症状は、下表のように中核症状とBPSD(認知症の行動・心理症状)に分けられます。

認知症の症状
中核症状 脳のダメージに直接起因する症状
注意障害、記憶障害、見当識障害、言語障害、遂行機能障害、認知障害(空間認知・視覚認知・社会的認知〔社会脳〕)
BPSD(認知症の行動・心理症状) 脳のダメージだけでなく、個人因子(生い立ち、職歴など)や環境因子(住環境、ケアの状況など)の影響を強く受ける症状
・行動症状:徘徊、暴力・暴言、収集、拒否、脱抑制、執拗な質問など
・心理症状:幻覚、妄想、うつ、意欲や自発性などの低下(アパシー)、不安など
2.若年性認知症は、うつ病など、他の精神疾患と疑われることがある。
→◯

 設問のとおりです(2024ユーキャン速習レッスンP249、十訂基本テキスト下巻P210)。

 なお、若年性認知症は、うつ病や統合失調症などの精神疾患と思われて、診断が遅れることがあります。

3.前頭側頭型認知症では、リアルな幻視やパーキンソニズムが特徴である。
→×

 リアルな幻視やパーキンソニズム(パーキンソン症状)は、レビー小体型認知症の特徴的な症状です(2024ユーキャン速習レッスンP248、十訂基本テキスト下巻P226)。そのため、解答は×になります。

レビー小体型認知症と前頭側頭型認知症の症状の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
各認知症の特徴と若年性認知症について、◯か×で答えなさい Q1 アルツハイマー型認知症の初期症状としては、近時記憶の障害が著し...
4.パーソン・センタード・ケアは、介護者本位で効率よく行うケアである。
→×

 従来の認知症に対するケアは、介護者の効率を優先したものでした。

 これに対し、イギリスのトム・キットウッドが提唱したパーソン・センタード・ケア(PCC)は、「その人らしさをケアの中心として、本人の意向に沿い、本人の尊厳を傷つけないようなケア(一方的な「与えるケア」ではなく、双方向の「心の通うケア」)」というものです(2024ユーキャン速習レッスンP252、十訂基本テキスト下巻P242・P243)。そのため、解答は×になります。

5.介護支援専門員が、利用者本人の同意を得て、心身の変化などを主治医に伝えることは、よりよい医療につながる。
→◯

 設問のとおりです。

 なお、介護支援専門員が、利用者の心身状態などの情報を主治医に提供するには、利用者本人の同意を得る必要があります(2024ユーキャン速習レッスンP157、十訂基本テキスト上巻P336・P337)。

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