第26回 問題2【令和5年度 ケアマネ試験 介護支援分野】

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問題2 地域福祉や地域共生社会について正しいものはどれか。3つ選べ。
1.市町村は、包括的な支援体制を整備するため重層的支援体制整備事業を実施しなければならない。
2.市町村は、市町村地域福祉計画を策定するよう努めるものとする。
3.地域共生社会とは、子供・高齢者・障害者などすべての人々が地域、暮らし、生きがいをともに創り、高め合うことができる社会のことである。
4.介護保険法に基づく地域支援事業等を提供する事業者が解決が困難な地域生活課題を把握したときは、その事業者が自ら課題を解決しなければならない。
5.高齢者と障害児・者が同一の事業所でサービスを受けやすくするための共生型サービスは、介護保険制度と障害福祉制度の両方に位置付けられている。

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解答

2、3、5

解説

1.市町村は、包括的な支援体制を整備するため重層的支援体制整備事業を実施しなければならない。
→×

 重層的支援体制整備事業は、任意事業とされています(2024ユーキャン速習レッスンP33、九訂基本テキスト上巻P19・P20)。そのため、解答は×になります。

 なお、「重層的支援体制整備事業」の目的は、社会福祉法に基づく事業、介護保険制度、障害者福祉制度、子ども・子育て支援制度、生活困窮者自立支援制度にまたがる(共通する)内容である、「相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」を、制度ごとにバラバラで実施するのではなく、まとめて一体的に実施しましょう、というものです。

2.市町村は、市町村地域福祉計画を策定するよう努めるものとする。
→◯

 設問のとおりです(2024ユーキャン速習レッスンP130、九訂基本テキスト上巻P19)。

3.地域共生社会とは、子供・高齢者・障害者などすべての人々が地域、暮らし、生きがいをともに創り、高め合うことができる社会のことである。
→◯

 設問のとおりです(2024ユーキャン速習レッスンP25、九訂基本テキスト上巻P18)。

4.介護保険法に基づく地域支援事業等を提供する事業者が解決が困難な地域生活課題を把握したときは、その事業者が自ら課題を解決しなければならない。
→×

 設問のような場合、地域ケア会議において検討することができます(2024ユーキャン速習レッスンP123、九訂基本テキスト上巻P163)。そのため、解答は×になります。

地域ケア会議の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
地域包括支援センターの業務について、◯か×で答えなさい Q1 地域包括支援センターは、地域支援事業のうち、包括的支援事業を行う...
5.高齢者と障害児・者が同一の事業所でサービスを受けやすくするための共生型サービスは、介護保険制度と障害福祉制度の両方に位置付けられている。
→◯

 設問のとおりです(2024ユーキャン速習レッスンP95、九訂基本テキスト上巻P130)。

関連Q&A
 共生型サービスとは、介護保険のサービスと障害福祉サービスで、内容が共通しているサービスになります。具体的には、次のサービスです。
共生型サービス
介護保険のサービス 障害福祉サービス等
訪問介護
居宅介護
重度訪問介護
通所介護
地域密着型通所介護
生活介護(主として重症心身障害者を通わせる事業所を除く)
自立支援(機能訓練・生活訓練)
児童発達支援(主として重症心身障害者を通わせる事業所を除く)
放課後等デイサービス(同上)
療養通所介護
生活介護(主として重症心身障害者を通わせる事業所に限る)
児童発達支援(主として重症心身障害者を通わせる事業所に限る)
放課後等デイサービス(同上)
小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
通い
生活介護(主として重症心身障害者を通わせる事業所を除く)
自立支援(機能訓練・生活訓練)
児童発達支援(主として重症心身障害者を通わせる事業所を除く)
放課後等デイサービス(同上)
泊まり
短期入所
訪問
居宅介護
重度訪問介護
資料:共生型サービス(厚生労働省)をもとに作成  この「内容が共通しているサービス」について、「給付が介護保険に切り替わっても、引き続き同じ事業所のサービスを利用できる(事業所を変更する必要がない)」というのが、共生型サービスのメリットです。  以前は、介護保険法による事業所の指定と、障害者総合支援法・児童福祉法による事業所の指定は、完全に別でした。そのため、介護保法による指定のみを受けた事業所、障害者総合支援法による指定のみを受けた事業所、というのが多くありました。  こうした状況により、障害者が65歳になって給付が介護保険に切り替わるのと同時に、介護保険法による指定を受けたサービス事業所に変更する必要のあるケースがありました。これは、障害者にとっては「なじみのある事業所を変えなくてはならない」というデメリットでした。  これについて、以下に簡単な例をあげてみます。 例)障害者のアさんは長年、障害者総合支援法による指定を受けたA事業所による居宅介護(障害者の居宅を訪問して行う、入浴、排泄、食事などの介護)を利用していました。  その後、アさんは65歳となり、介護保険の第1号被保険者になりました。このタイミングで、介護保険からの給付に切り替わります。そのため、A事業所による居宅介護は終了して、サービス内容が同じ介護保険の訪問介護の利用を開始することになりました。そして、介護保険法による訪問介護の指定を受けたB事業所による訪問介護を利用し始めました。  これに関して、アさんは「サービス内容は同じなのに、長年利用してきたA事業所の利用をやめて、B事業所に変更しなくてはならないのは不便だ」という不満を抱きました。  こうしたデメリットを解消するために創設されたのが、共生型サービスです。  共生型サービスにより、上記の例の「A事業所」は、介護保険の訪問介護の指定を比較的容易に受けることができるようになりました。「A事業所」が介護保険の訪問介護の指定も受けると、アさんは65歳(介護保険の第1号被保険者)になってからも、引き続き「A事業所」を利用することができます。
第2号被保険者である障害者は、それだけでは介護保険の認定と給付は受けられない  障害者が40歳以上65歳未満の場合、介護保険の第2号被保険者になります。ただし、これだけでは介護保険の認定と給付は受けられません。第2号被保険者が認定を受けて給付を受けるためには、介護が必要になった原因が特定疾病の場合に限られるためです(2019ユーキャン速習レッスンP52、九訂基本テキスト上巻P71)。  この人が、65歳になって第1号被保険者になると、介護保険の認定と給付を受けられます。第1号被保険者の場合は、介護が必要になった原因は問われずに、心身状態からして必要であれば、認定と給付を受けられるからです。
 

共生型サービスの分類

 共生型サービスのうち、介護保険の居宅サービスに該当するものを「共生型居宅サービス」といいます。具体的には、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護になります。  同様に、介護保険の地域密着型サービスに該当するものを「共生型地域密着型サービス」といいます。具体的には、地域密着型通所介護(療養通所介護を含む)、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護になります。  地域密着型介護予防サービスに該当するものは「共生型地域密着型介護予防サービス」で、具体的には介護予防小規模多機能型居宅介護になります。  

共生型サービスの基準を定める者

 上記のように、共生型サービスのうち、介護保険の居宅サービスに該当するものを「共生型居宅サービス」といいます。これについての基準は、居宅サービスと同じく、都道府県の条例で定めます。  同様に、共生型地域密着型(介護予防)サービスについての基準は、域密着型(介護予防)サービスと同じく、市町村の条例で定めます。
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