老人福祉制度について、◯か×で答えなさい
Q1 特別養護老人ホームの入所に係る利用者負担(費用徴収)は、所得に応じたものとなっていた。
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A ◯
措置によってサービスが提供された場合、利用者負担は、利用者または扶養義務者の所得に応じた額を負担する応能負担となる。
措置によってサービスが提供された場合、利用者負担は、利用者または扶養義務者の所得に応じた額を負担する応能負担となる。
Q2 老人福祉サービスの措置による利用は、「反射的利益」に過ぎないと解されていた。
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A ◯
措置(行政処分)の結果として生じた間接的な利益のことを「反射的利益」という。
措置(行政処分)の結果として生じた間接的な利益のことを「反射的利益」という。
Q3 特別養護老人ホームへの入所は措置であったため、著しい高所得者は入所資格がなかった。
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A ×
高所得者であっても、所得に応じた利用者負担額を支払えば、措置入所は可能。
高所得者であっても、所得に応じた利用者負担額を支払えば、措置入所は可能。
Q4 特別養護老人ホームの整備が進んだ結果、医療ニーズの高い高齢者が特別養護老人ホームに措置されてしまった。
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A ×
特別養護老人ホームなどの老人福祉施設よりも医療機関の整備の方が進んでいた。これは、社会的入院が増加する一因となっていた。
特別養護老人ホームなどの老人福祉施設よりも医療機関の整備の方が進んでいた。これは、社会的入院が増加する一因となっていた。
社会的入院とは、医学的には入院治療の必要がないにもかかわらず、「社会的事情」によって介護を必要とする高齢者が長期間、病院・診療所に入院すること。
▼社会的入院の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
老人保健制度(老人医療)について、◯か×で答えなさい
Q1 老人保健制度による訪問看護は、病院ではなく市町村の窓口に申請しなけ...
Q5 措置制度で行われていた老人福祉制度によるサービスでは、利用者が自由にサービスを選択できなかった。
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A ◯
措置では市町村がサービス種類を決定するため、利用者は自由にサービスを選択できない。
措置では市町村がサービス種類を決定するため、利用者は自由にサービスを選択できない。
ポイント解説
老人福祉制度の応能負担・問題点
介護保険以前は、老人福祉制度における措置(行政処分)によってサービスが提供されていました。この利用者負担は、利用者または扶養義務者が所得に応じた額を負担する応能負担となります。
▼関連Q&A
「応能負担」は、負担能力応じて費用を負担する
その人の負担能力(収入が多いか少ないか)に応じて、費用を負担する方式です。 老人福祉制度の利用者負担は、応能負担です。たとえば、10万円分のサービスを受けた場合の利用者負担の金額は、収入の多いAさんは1万円で、収入の少ないBさんは4,000円、というようになります。「応益負担」は、受けた利益に応じて費用を負担する
受けたサービスの量(受けた利益)に応じて、費用を負担する方式です。 介護保険制度の利用者負担は、応益負担です。たとえば、利用者負担割合が1割の人の場合、利用者負担の金額は、5万円分のサービスを利用したら5,000円で、10万円分のサービスを利用したら1万円になります。
老人福祉制度では、次のような問題点が指摘されていました。
① 利用者の権利保障が不十分……サービスの利用が、利用者の権利によってではなく、市町村の行政処分である措置によって生じる「反射的利益」であったため、利用者の権利保障が不十分。
② サービス選択の余地がない……市町村がサービス種類を決定するため、利用者がサービスを自由に選択しづらい。
③ サービス内容が画一的……市町村の直接または委託によるサービス提供のため、競争原理が働かず、サービス内容が画一的になりがち。
④ 中高所得者層ほど負担が重い……所得に応じて利用者負担額が決まる応能負担のため、中高所得者ほど負担が重くなる。
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▼関連Q&A
「措置」は市町村による行政処分
老人福祉制度では「措置」によってサービスが提供されます。これは、行政機関である市町村が必要性を判断して、申請した住民に対し「この事業者による、このサービスを利用しなさい」というように決定する行政処分です。「反射的利益」とは、行政処分の結果として生じた間接的な利益
措置により、申請した住民は介護サービスを受けることができます。ただし、これは「住民が介護サービスを受ける権利をもっている」ということではありません。あくまで「市町村が、行政における処分として介護サービスを提供している」というだけです。こうした、住民が権利によって得る利益ではなく、市町村の行政処分の結果として生じた間接的な利益のことを「反射的利益」といいます。「反利用者の権利保障が不十分」とは、サービス利用について主張する権利がないということ
またこの場合、住民は介護サービスを受ける権利をもっていないのですから、「こんな介護サービスを利用したい」と主張する権利もありません。あくまで市町村の主導であり、市町村が「この介護サービスを利用しなさい」と決定することになります。こうした状況が「利用者の権利保障が不十分」ということです。介護保険制度では、利用者の権利が保障されている
介護保険制度では、「住民は、市町村に申請して認定されると、介護サービスを受けることができる」とされています。これは「住民が介護サービスを受ける権利をもっている」ということです。そして、住民は「こんな介護サービスを利用したい」と主張することができます。ですので、介護保険制度では、利用者の権利が保障されていると言えます。A 老人福祉制度と老人保健制度の違いとは
老人福祉制度と老人保健制度は別の制度であり、それぞれ次のようなものです。
老人福祉制度
これは、老人福祉法に基づいて、高齢者福祉に関するさまざまな内容を実施する制度です。介護保険制度が始まる前は、老人福祉制度の「措置」によって介護サービスが提供されていました。
介護保険制度が始まってからは、介護保険制度によって高齢者に介護サービスが提供されるようになりました。
つまり、老人福祉制度は高齢者福祉について全般的にカバーしていて、高齢者への介護サービスに特化した制度として始まったのが介護保険制度、ということです。
ただし、介護保険制度が始まったからといって、老人福祉制度がなくなったわけではありません。現在においても、老人福祉制度によって様々な施策が実施されています。
そして、次のようなやむを得ない事情がある場合は、老人福祉制度の「措置」によってサービスが提供されます。
●家族などの虐待・無視を受けている場合
●認知症などで意志能力が乏しくかつ本人を代理する家族がいない場合
老人保健制度
これは、高齢者に対する“医療”についての制度で、現在はなくなっています(代わりに、後期高齢者医療制度が開始されています)。 以前は、75歳以上の高齢者と、障害の認定を受けた65歳以上74歳未満の高齢者は、病院での診察や治療などにかかる医療費について、老人保健制度おける「医療等」から給付されていました。 介護保険制度が開始された際には、老人保健制度の「医療等」における「介護サービス」の部分が介護保険制度に以降して、介護保険制度から提供されるようになりました。 ただし、このとき老人保健制度の「医療等」がなくなったわけではありません。「介護サービス」以外の部分は、従来どおり老人保健制度の「医療等」から給付されていました。 その後、「老人保健法」は「高齢者の医療の確保に関する法律」に全面改正され、老人保健制度はなくなって、その代わりに後期高齢者医療制度が始まり、これによって75歳以上の高齢者と、障害の認定を受けた65歳以上74歳未満の高齢者に対する医療の給付が行われています。▼関連Q&A
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