後期高齢者医療制度の利用・内容【一問一答 ケアマネ試験対策】

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後期高齢者医療制度の利用・内容について、◯か×で答えなさい

Q1 後期高齢者医療制度の被保険者が給付を受ける際の一部負担金は、一律1割である。
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A ×
 後期高齢者医療制度の一部負担は、原則として1割。ただし、一定以上の所得者は2割現役並み所得者の場合は3割とされている。

一定以上の所得者
 現役並み所得者を除き、同一世帯内の被保険者のうちに、ひとりでも課税所得が28万円以上の者がいる世帯の被保険者(年金収入などが一定未満の場合を除く)。

現役並み所得者
 同一世帯の被保険者のうちに、ひとりでも課税所得が145万円以上の者がいる世帯の被保険者(収入額などが一定未満の場合を除く)。

Q2 後期高齢者医療制度の診療報酬点数表は、健康保険法に基づくものと同一である。
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A ◯
 設問のとおり。

 以前は、健康保険の診療報酬点数表とは別に、後期高齢者に対する診療報酬点数表があった。しかし、簡素化の観点から、高齢者の心身の特性を踏まえたものを残しつつ、一本化されている。
Q3 入院時食事療養費や移送費は、後期高齢者医療給付には含まれない。
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A ×
 「入院時食事療養費」や「移送費」も含まれる。
Q4 後期高齢者医療給付には、保険外併用療養の支給が含まれる。
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A ◯
 設問のとおり。
Q5 後期高齢者医療給付には、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給が含まれる。
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A ◯
 設問のとおり。


ポイント解説

後期高齢者医療制度の給付項目

療養の給付  診察、治療、薬や注射などの処置、入院・看護、在宅療養・看護についての給付。
入院時食事療養費  入院した場合の食費についての給付(次の項目にある「療養病床」以外の、主に急性期の疾患を対象とする「一般病床」の場合など)。
 患者は設定された標準負担額を支払い、それを超えた分が入院時食事療養費として給付される。
入院時生活療養費  療養病床(長期にわたり療養を必要とする方のための病床)に入院した場合の食費と居住費についての給付。
 患者は設定された標準負担額を支払い、それを超えた分が入院時生活療養費として給付される。
保険外併用療養費  原則としては、保険外療養を受けると、保険が適用される部分についても、全額が患者負担となってしまう。
 ただし、一部の保険外療養は、保険診療との併用が認められており、この場合は共通する部分(診察、治療、検査、投薬、入院料など)について給付される。この給付が、保険外併用療養費。
療養費  被保険者証を提示せずに診療を受けた場合などで、費用の全額を支払ったときに、後から申請して患者負担分以外の払い戻しを受けることができる。この払い戻しが、療養費。
訪問看護療養費  病院・診療所、訪問看護ステーションによる訪問看護についての給付。
特別療養費  保険料の悪質な滞納をしている場合、保険証の返還が求められて、その代わりに被保険者資格証明書が交付されることがある。
 被保険者資格証明書が交付された被保険者は、病院などで診療を受けた場合に、いったん費用の全額を負担し、後で申請することで、患者負担分以外の払い戻しを受けることができる。この払い戻しが、特別療養費。
移送費  医師の指示により、病気やケガなどで緊急的な必要性があって移送された場合の費用(タクシー料金など)についての給付。
※救急車はそもそも無料なので、対象外。
高額療養費  患者負担が一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される給付。
高額介護合算療養費  介護保険の利用者負担と後期高齢者医療制度の患者負担の合計で考えて、それが一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される給付。
条例で定める給付
※高額療養費と高額介護合算療養費は、役割としては、介護保険の高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費と同じ。

高額介護サービス費・高額医療合算介護サービス費の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
高額介護サービス費・高額医療合算介護サービス費について、◯か×で答えなさい Q1 高額介護サービス費は、所得段階別に負担上限額...

関連Q&A

負担をみんなで分け合う仕組みに

 老人保健から後期高齢者医療制度に移行した主な要因は、その財政面にあると言えます。後期高齢者医療制度の財源には「後期高齢者支援金(現役世代の保険料)」があり、後期高齢者の医療費の一部をもっと若くて現在働いている人(現役世代)も支払うことにして、負担をみんなで分け合う仕組みとなっています。これは老人保健にはなかった仕組みであり、このようにすることが後期高齢者医療制度の創設された大きな理由のひとつです  

保険料の負担主体を明確に

 老人保健の対象者は国民健康保険や健康保険などに加入し(それらの保険料を支払い)、そのうえで老人保健に加入する(老人保健には保険料はなし)という構造だったため、国民健康保険や健康保険などから老人保健にお金が出されていました(前述の「医療保険者からの拠出金」です)。ただ、この仕組みだと、老人保健の対象者が支払っている国民健康保険や健康保険の保険料が、老人保健においてどのように位置づけになるのかがあいまいになってしまいます。  後期高齢者医療制度は独立した保険制度であるため、加入する場合は国民健康保険や健康保険などからは脱退することになります。そして、加入すると後期高齢者医療制度の保険料を支払うことになります。こうすることで、保険料の負担主体が明確になります。  

後期高齢者により適切な給付

 給付の内容も、より後期高齢者に適切となるよう、後期高齢者医療制度において改変されています。  

運営主体は都道府県にある後期高齢者医療広域連合となり、運営における責任が明確に

 その他の大きな違いとしては、運営主体の違いがあげられます。老人保健の運営主体は市町村でしたが、後期高齢者医療制度の運営主体は都道府県にある後期高齢者医療広域連合となりました。前述のように、老人保健には保険料はなく、したがって運営主体である市町村はその徴収もしませんでした。にもかかわらず、市町村は運営主体として給付を行っていました。この仕組みだと、給付についての市町村の責任が不明確であったと言えます。  後期高齢者医療制度では、運営主体を都道府県にある後期高齢者医療広域連合とし、後期高齢者医療広域連合が保険料を徴収し、給付を行うことで、運営における責任が明確になります。また、運営を都道府県単位とすることで、市町村単位の場合よりも広い範囲で保険料の設定ができることになり、高齢者の負担における公平性が増していると言えます。
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