(2024ユーキャン速習レッスンP138、十訂基本テキスト上巻P179)
A 第三者行為求償事務とは
第三者行為求償事務の仕組み
まず、介護保険では市町村が保険者であり、市町村が被保険者に保険給付を行います。
もし、第1号被保険者が交通事故など第三者(加害者)の行為によって介護が必要になり、市町村が第1号被保険者に保険給付をした場合は、市町村は第三者に対し「あなたの責任で保険給付をすることになったのだから、その分を負担してください」ということで、費用を請求します(第三者行為への損害賠償請求権の取得)。この費用の徴収・収納事務を第三者行為求償事務といいます。これは、委託を受けた国保連が行います。
上記の場合、第1号被保険者は、給付事由が第三者の行為による旨を市町村に届け出ることとされています(介護保険法施行規則第33条の2 ただし、この届出は保険給付等の条件とはされていません)。
第三者行為求償事務の対象となるのは、症状が固定するまでにかかった費用とされています。それ以外については、加害者と被害者の示談になります。
保険給付の前に、第1号被保険者が第三者から損害賠償を受けた場合は、市町村はその賠償額を限度として保険給付の責任を免れます。
第三者行為求償事務の例
以下に、第1号被保険者と第三者(加害者)と市町村の関係について、簡単な例をあげてみます。
例)A市に第1号被保険者のアさんが住んでいました(アさんの保険者はA市ということです)。
ある日、アさんは、イさんの運転する車にはねられました。それによって、アさんは要介護状態となりました。
このように、要介護者アさんにA市が保険給付をしたら、その分をA市が加害者イさんに請求(損害賠償請求)します。これが「第三者行為への損害賠償請求権の取得」です。
このように、保険給付の前に要介護者アさんに対して加害者イさんが支払った金額(7万円)の分は、保険給付されません。もし、A市が10万円を保険給付してしまったら、要介護者アさんが受け取る合計が17万円になり、必要以上となってしまうからです。
これが「保険給付の前に、第三者から損害賠償を受けた場合は、市町村はその賠償額を限度として保険給付の責任を免れる」ということです。