第2号保険料における「総報酬割」の意義・仕組みは、どういうものですか?

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(2024ユーキャン速習レッスンP135、十訂基本テキスト上巻P69・P70)

A 「総報酬割」は被用者保険(健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合など)での第2号被保険者個人の負担感を是正する仕組み

所得(報酬)に応じた負担感に

 総報酬割について、以前の状況を踏まえながら以下に見てきます。

以前は個人の負担感に差があった

 以前は、加入者の所得が多い医療保険者(主に大企業の健康保険組合など)や、加入者の所得が少ない医療保険者(中小企業の社員が加入する協会けんぽ)などに関係なく、各医療保険者は

「全国平均の第2号被保険者1人当たりの負担額×加入している第2号被保険者の人数」

 という計算をして、人数に比例した金額を支払基金へ納めていました。
 この仕組みだと、所得に対する保険料の割合が、大企業の健康保険組合などでは低く(個人の負担感が小さい)、協会けんぽでは高い(個人の負担感が大きい)、という状況となっていました。

総報酬割によって個人の負担感を是正

 そこで導入されたのが、総報酬割です。これは健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合などの間で、それぞれの標準報酬総額に比例させて、それぞれが支払基金へ納める金額を決める、という仕組みです。
 「標準報酬」とは、その医療保険の加入者の所得(報酬)の標準額です。これの加入者全員の合計が、「標準報酬総額」です。ですので、その医療保険の加入者の所得が多い場合は「標準報酬総額」も多くなり、所得が少ない場合は「標準報酬総額」も少なくなります。この「標準報酬総額」の多い・少ないに比例させて、健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合などそれぞれが支払基金へ納める金額を決めます。
 たとえば、加入者の所得が多い健康保険組合では、支払基金へ納める金額が多くなります。逆に、加入者の所得が少ない健康保険組合では、支払基金へ納める金額も少なくなります。
 このように、所得が多いところには多い金額を負担してもらい、所得が少ないところには少ない金額を負担してもらうことで、所得における保険料の割合を是正(個人の負担感を同じくらいに)しています。これが、総報酬割の仕組みです。

国民健康保険との関係

 上記のように総報酬割は被用者保険(健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合など)の間での是正のために導入されたものであるため、国民健康保険は対象外とされています。

 国民健康保険における第2号保険料の場合は、所得階層や人数に応じて調整して算出されているので、前述の医療保険にあった収入における保険料の割合の格差は生まれません。

 そして、第2号被保険者全員で負担する額を国民健康保険と被用者保険の間で人数に応じて分けたうえで、被用者保険に総報酬割が適用されて、国民健康保険も含めて第2号被保険者全員の負担感が同じくらいになるようになっています。

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