保険財政一覧

財源の負担で、第1号保険料が23%、第2号保険料が27%なのは、どうしてですか?

<h3>1人当たりの平均的な保険料が同水準になるよう、人口比に応じて%を設定している</h3>  保険料の負担割合は、全国の第1号被保険者と第2号被保険者の人口比に応じて設定されています。こうすることで、1人当たりの平均的な保険料がほぼ同じ水準になるようになっています。  以下に簡単な例をあげて考えてみます。 例)日本の第1号被保険者が25人、第2号被保険者が25人、居宅給付費(上の表を参照)が100万円です。居宅給付費における保険料の負担割合は50%なので、第1号被保険者は25%、第2号被保険者も25%を負担することになります。  そして、第1号被保険者が25人で25%を負担するのですから、第1号被保険者1人当たり1%の負担となります。居給付費が100万円なので、つまり第1号被保険者1人当たり1万円の負担となります。同様に、第2号被保険者1人当たり1%で、1万円の負担となります。  では、上記の例において、日本の第1号被保険者が23人、第2号被保険者が27人の場合はどうでしょう。この場合、負担割合を第1号被保険者23%、第2号被保険者27%に設定すれば、1人当たり1万円の負担となります。  このように、第1号被保険者と第2号被保険者の人口比に応じて負担割合を変えて、1人当たりの負担額がほぼ同じ水準になるようにしています。

財源の負担割合(%)は全部が同じではありませんが、どう覚えたらいいですか?

<h3>居宅給付費:この%を基本として考える</h3>  「居宅給付費」の負担割合は、国25%(調整交付金5%相当を含む)、都道府県12.5%、市町村12.5%、1号保険料平均23%、2号保険料27%です。これを基本として考えます。 &nbsp; <h3>施設等給付費:国の5%が都道府県に移っている</h3>  「施設等給付費」の負担割合は、国20%(調整交付金5%相当を含む)、都道府県17.5%、市町村12.5%、1号保険料平均23%、2号保険料27%です。  これを「居宅給付費」と比較してみると、国の負担割合が5%減って、都道府県の負担割合が5%増えていると言うことができます。つまり、5%が国から都道府県に移っているということです。 &nbsp; <h3>総合事業:居宅給付費(基本)と同じ</h3>  「総合事業」の負担割合は、国25%(調整交付金5%相当を含む)、都道府県12.5%、市町村12.5%、1号保険料平均23%、2号保険料27%です。これは、基本として考えた「居宅給付費」と同じです。 &nbsp; <h3>総合事業以外:2号保険料の27%がない分を、国:都道府県:市町村=2:1:1で分担している</h3>  「総合事業以外」の負担割合は、国25%+13.5%、都道府県12.5%+6.75%、市町村12.5%+6.75%、1号保険料23%、2号保険料は“なし”です。  これは、2号保険料の27%がない分を、国・都道府県・市町村が2:1:1という比率で分担しているということです。

財源の負担割合で、「総合事業以外」に第2号保険料が含まれないのはなぜですか?

<span class="qa">A</span> 「総合事業以外」は、主に第1号被保険者が対象になるため  まず、「総合事業以外」というのは、包括的支援事業と任意事業についての財源です。  そして、「総合事業以外」(包括的支援事業、任意事業)の財源には、2号保険料が含まれません。「総合事業以外」は、その内容からして、主に第1号被保険者が対象になる(第2号被保険者が利用することは想定しにくい)と言えます。そのため、財源に2号保険料が含まれないということです。  なお、「総合事業以外」では「2号保険料:27%」がない分、それを国13.5%、都道府県6.75%、市町村6.75%というように分けて(比率としては、2:1:1)、それぞれプラスして負担します。  ですので、国の負担は25%+13.5%=38.5%、都道府県の負担は12.5%+6.75%=19.25%、市町村の負担は12.5%+6.75%=19.25%になります。

調整交付金の役割と仕組みは、どのようになっているのですか?

 国は調整交付金の%を調整して交付することにより、以下の①~③による市町村間の財政力の格差を是正しています。 <h5>調整交付金の内訳</h5> <table border="1" cellpadding="5"> <tr><td bgcolor="#fffaf0">普通調整交付金</td><td><span class="bold">①</span>給付対象となる可能性の高い後期高齢者(75歳以上)の加入割合の違い。 <span class="bold">②</span>第1号被保険者の所得(保険料負担能力)の格差。</tr> <tr><td bgcolor="#fffaf0">特別調整交付金</td><td><span class="bold">③</span>災害時の保険料減免など、保険者の責によらない事由。</td></tr> </table>  ①と②は予測可能なので、まずはこれらに応じて調整交付金が算出されます。そして、残額が生じた場合に、③に応じた調整が行われます。 &nbsp; <h3>調整交付金の仕組み:調整交付金の%と、1号保険料の%は連動する</h3>  調整交付金によって市町村間の財政力の格差を是正する仕組みは、次のようなものです。 &nbsp; <h4>後期高齢者(給付対象となる可能性の高い人)の比率が低く、第1号被保険者の所得水準の高い市町村</h4>  この場合、調整交付金を5%より少なくし(国の負担を少なくし)、1号保険料の負担割合を増やします。  たとえば、上記のように「居宅給付費」における国の負担(25%)には調整交付金(5%相当)が含まれています。そして、調整交付金が4%の場合、国の負担は24%となり、1号保険料の負担は23%に増えます。  つまり、後期高齢者の比率が低く、第1号被保険者の所得水準の高い市町村では、第1号被保険者により多く費用を負担してもらいましょう、ということです。 &nbsp; <h4>後期高齢者の比率が高く、第1号被保険者の所得水準の低い市町村</h4>  この場合、調整交付金を5%より多くし(国の負担を多くし)、1号保険料の負担割合を減らします。  たとえば「居宅給付費」において、調整交付金が6%の場合、国の負担は26%となり、1号保険料の負担は21%に減ります。  つまり、後期高齢者の比率が高く、所得水準の低い市町村では、第1号被保険者の費用負担を少なくしましょう、ということです。

生活保護受給者の第1号保険料を、福祉事務所等が代理で支払うというのは、どういうことですか?

<span class="qa">A</span> 目的外の使用を防止するため  生活保護受給者である第1号被保険者で、介護保険料が普通徴収される場合、生活扶助に介護保険料加算をプラスして給付されます。  支払いの流れは基本的に、福祉事務所等から本人に生活扶助(介護保険料加算を含む)が渡されて、本人が市町村に介護保険料を支払う、というようになります。  ただし、保護の目的を達成するために必要があるときは、福祉事務所等は生活扶助から介護保険料の分を差し引いたものを本人に渡して、福祉事務所等が介護保険料を市町村に直接支払うことができます。  これは、生活保護受給者である第1号被保険者の中には、福祉事務所等から介護保険料の分として渡されたお金も含めてギャンブルなどに使ってしまう人がいるので、それを防ぐため、ということです。

市町村特別給付など、財源を第1号保険料で賄うものがあるのは、どういうことですか?

<h2><span class="qa">A</span> 第1号被保険者(65歳以上)がメインの利用者となるから</h2> <br> <h3>介護保険制度の目的とメインとなる利用者</h3>  介護保険は、基本的に高齢者(65歳以上の人=第1号被保険者)が“加齢”によって介護が必要になった場合に、介護サービスを提供することが目的です。  ただし、40歳以上65歳未満の人(第2号被保険者)でも、心身の病的な“加齢現象”と医学的関係がある「特定疾病」の場合は、介護保険の基本的な目的に反しないということで、認定を受けて保険給付を受けることができます。  ですので、介護保険制度の介護サービスの利用者は、第1号被保険者(65歳以上)がメインになります。 &nbsp; <h3>第1号保険料で賄われるもの</h3>  第1号保険料によって賄われるのは、1.市町村特別給付による横出し、2.支給限度基準額の上乗せ、3.保健福祉事業の拠出金、4.財政安定化基金の拠出金になります。  これらは考え方が共通していて、「多くの介護サービスを利用する当事者である第1号被保険者(65歳以上)の保険料で賄うのが適当」ということです。

第2号保険料における「総報酬割」の意義・仕組みは、どういうものですか?

<span class="qa">A</span> 「総報酬割」は被用者保険(健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合など)での第2号被保険者個人の負担感を是正する仕組み <br> <h3>所得(報酬)に応じた負担感に</h3>  総報酬割について、以前の状況を踏まえながら以下に見てきます。 &nbsp; <h4>以前は個人の負担感に差があった</h4>  以前は、加入者の所得が多い医療保険者(主に大企業の健康保険組合など)や、加入者の所得が少ない医療保険者(中小企業の社員が加入する協会けんぽ)などに関係なく、各医療保険者は 「全国平均の第2号被保険者1人当たりの負担額×加入している第2号被保険者の人数」  という計算をして、<span class="bold">人数に比例</span>した金額を支払基金へ納めていました。  この仕組みだと、所得に対する保険料の割合が、大企業の健康保険組合などでは低く(個人の負担感が小さい)、協会けんぽでは高い(個人の負担感が大きい)、という状況となっていました。 &nbsp; <h4>総報酬割によって個人の負担感を是正</h4>  そこで導入されたのが、総報酬割です。これは健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合などの間で、それぞれの<span class="bold">標準報酬総額に比例</span>させて、それぞれが支払基金へ納める金額を決める、という仕組みです。  「標準報酬」とは、その医療保険の加入者の所得(報酬)の標準額です。これの加入者全員の合計が、「標準報酬総額」です。ですので、その医療保険の加入者の所得が多い場合は「標準報酬総額」も多くなり、所得が少ない場合は「標準報酬総額」も少なくなります。この「標準報酬総額」の多い・少ないに比例させて、健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合などそれぞれが支払基金へ納める金額を決めます。  たとえば、加入者の所得が多い健康保険組合では、支払基金へ納める金額が多くなります。逆に、加入者の所得が少ない健康保険組合では、支払基金へ納める金額も少なくなります。  このように、所得が多いところには多い金額を負担してもらい、所得が少ないところには少ない金額を負担してもらうことで、所得における保険料の割合を是正(個人の負担感を同じくらいに)しています。これが、総報酬割の仕組みです。 &nbsp; <h3>国民健康保険との関係</h3>  上記のように総報酬割は被用者保険(健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合など)の間での是正のために導入されたものであるため、国民健康保険は対象外とされています。  国民健康保険における2号保険料の場合は、所得階層や人数に応じて調整して算出されているので、前述の医療保険にあった収入における保険料の割合の格差は生まれません。  そして、第2号被保険者全員で負担する額を国民健康保険と被用者保険の間で人数に応じて分けたうえで、被用者保険に総報酬割が適用されて、国民健康保険も含めて第2号被保険者全員の負担感が同じくらいになるようになっています。

第2号保険料についての「負担率」と「保険料率」は、どう違うのですか?

 介護給付費の50%は保険料で賄われます。この50%のうち「2号保険料は何%にする」というのが、第2号被保険者の「負担率」の設定です。現在は27%となっています。  これは、3年ごとに<span class="bold">国</span>の政令によって改定され、全国一律です。 <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/2315">https://caremane.site/2315</a> <div class="information"><span class="bold">補足:1号保険料の%は</span>  1号保険料の%は、市町村ごとに調整交付金の%によって変わってきます。したがって、こちらは全国一律ではありません。 <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/2289">https://caremane.site/2289</a> </div> &nbsp; <h3>2号保険料についての「保険料率」:医療保険者が設定</h3>  「保険料率」というのは、個人の保険料の額を算出する際に用いる率です。  保険料の額は、所得の多い人は多くなり、所得の少ない人は少なくなるようになっています。これは、たとえば所得の多い人は「基準額×1.5」、収入の低い人は「基準額×0.5」というように計算して、所得に応じて保険料額の多少が決まるということです。この「×1.5」や「×0.5」が保険料率です。  2号保険料についての保険料率は、<span class="bold">医療保険者</span>それぞれが、支払基金から課せられた介護給付費・地域支援事業支援納付金をもとに、それぞれのルールに沿って定めます。そして、個人の所得に応じた保険料率を掛け、個別の保険料を算出して、徴収します。

特別介護保険料額とは、どういうものですか?

 健康保険の場合、第2号被保険者一人ひとりの保険料を算出する方法には、「標準報酬比例」と「所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)」があります。  「所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)」は、一定の要件を満たして厚生労働大臣の承認を受けた場合に採用することができます。  それぞれ次のようなものです。 &nbsp; <h3>標準報酬比例</h3>  個人の所得に応じ、たとえば所得の多い人は「基準額×1.5」、収入の低い人は「基準額×0.5」というように計算して、保険料額を算定する方法です。  健康保険では基本的に、こちらの方法が用いられます。 &nbsp; <h3>所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)</h3>  所得が◯◯万円~◯◯万円までは第1段階、△△万円~△△万円までは第2段階というように区分して、第1段階の人の保険料は定額でいくら、第2段階の人の保険料は定額でいくら、というように算出する方法です。  「標準報酬比例」よりも、「所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)」の方が、保険料額を容易に出すことができ、事務負担を軽減することができます。ですので、健康保険組合が事務負担を軽減したい場合に、要件を満たして厚生労働大臣の承認を受けて、「所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)」を採用する、ということになります。

財政安定化基金の詳しい仕組みは、どのようなものですか?

<h3>財源</h3>  財政安定化基金の財源は、国、都道府県、市町村が3分の1ずつ負担します。  市町村が負担する分は、<span class="bold">1号保険料</span>で賄われます。 &nbsp; <div class="information"><span class="bold">1号保険料で賄われるもの</span> ・市町村特別給付 ・保健福祉事業 ・支給限度基準額の上乗せ ・財政安定化基金拠出金 </div> &nbsp; <h3>交付・貸与</h3>  財政安定化基金は市町村に対して、次のように交付と貸与を行います。 <table> <col width="120"> <col width=""> <tr> <td class="t-style1">交付 (3年度目)</td> <td>市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)を通し、通常の努力を行ってもなお保険料収納率が悪化して財政不足が生じた場合に、3年度目に<span class="bold">不足額の2分の1</span>を基準として交付金を交付する(残りの2分の1は「貸付」)。</td> </tr> <tr> <td class="t-style1">貸与 (年度ごと)</td> <td>見込みを上回る給付費の増大等により介護保険財政に不足が見込まれる場合に、必要な額の貸与を行う。</td> </tr> </table>  この順番は「貸与」→「交付」です。市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)において、1年度目と2年度目には「貸与」され、最後の3年度目に「交付」されます。  たとえば、ある市で市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)の1年度目に財政不足になると財政安定化基金から不足額の全額が「貸与」され、2年度目にも財政不足になると財政安定化基金から不足額の全額が「貸与」されます。  そして、最後の3年度目にも財政不足になると、財政安定化基金から不足額の2分の1が「交付」されます(残りの2分の1は「貸付」)。 <div class="indent">※介護保険の計画期間は3年間で、3年間で保険料を設定します。ですので、3年度目の交付の際には「保険料の収納率の悪化」という要素が考慮されることになります。</div>  「貸与」の分については、1号保険料を財源として、その次の市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)において<span class="bold">分割返済</span>します(無利子)。

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