看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の基準・内容・介護報酬【一問一答 ケアマネ試験対策】

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看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の基準・内容・介護報酬について、◯か×で答えなさい

Q1 看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスに含まれるが、地域密着型介護予防サービスには含まれない。
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A ◯
 設問のとおり。
 地域密着型介護予防サービスは、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護の3つ。

サービスの分類の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
サービスの種類について、◯か×で答えなさい Q1 介護予防サービスの種類には、介護予防訪問介護及び介護予防通所介護が含まれる。...
Q2 事業所には、介護支援専門員を配置する必要はない。
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A ×
 厚生労働大臣が定める研修の修了者である介護支援専門員を配置する必要がある(非常勤可。専従、支障がなければ兼務可)。
Q3 事業者の管理者は、必ずしも保健師又は看護師でなくてもよい。
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A ◯
 管理者は、「事業所などで3年以上認知症ケアに従事した経験を有する者であって、厚生労働大臣が定める研修の修了者、または保健師もしくは看護師」とされている。つまり、保健師・看護師でなくても可ということ。
Q4 事業所の登録定員は、29人以下である。
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A ◯
 設問のとおり。
Q5 事看護小規模多機能型居宅介護の運営推進会議は、利用者の家族や地域住民の代表者も構成員となる。
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A ◯
 設問のとおり(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
Q6 登録者の居宅サービス計画は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が作成する。
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A ×
 登録者の居宅サービス計画は、看護小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員が作成する。
Q7 利用者に対してターミナルケアを行うことができる。
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A ◯
 看護小規模多機能型居宅介護は訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組合せたサービスであり、この訪問看護においてターミナルケアを行うことができる。
Q8 介護保険の訪問看護費は、看護小規模多機能型居宅介護と併用して算定できる。
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A ×
 看護小規模多機能型居宅介護を利用している場合、同時に介護保険の訪問看護費は算定できない。看護小規模多機能型居宅介護を利用している場合、それによって看護サービスが提供されるので、内容が重なる介護保険の訪問看護を同時に利用する必要がなく、そのため費用は算定できないということ。
Q9 利用者が急性増悪などにより、主治医から一時的に頻回の訪問看護を行う必要がある旨の特別な指示があった場合、看護小規模多機能型居宅介護は減算となる。
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A ◯
 設問の場合、医療保険の訪問看護が提供される。その間は、看護小規模多機能型居宅介護の訪問での看護サービスは提供されないので、その分、介護報酬が減算される。
Q10 そのサービスを利用しない日に登録者が通所介護を利用した場合には、通所介護費を算定することができる。
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A ×
 まず、看護小規模多機能型居宅介護は月単位の定額報酬であり、「その月はずっと利用している」という状態となる。
 そして、看護小規模多機能型居宅介護を利用している間は、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与、福祉用具購入、住宅改修を除く他のサービスは同時に算定することはできない。


ポイント解説

看護小規模多機能型居宅介護の人員基準

 通常の事業所とサテライト事業所で、それぞれ次のように規定されています。

看護小規模多機能型居宅介護の人員基準(サテライト事業所を除く)
看護小規模多機能型居宅介護事業者
介護等に対する知識・経験を有する者。
次のうち常勤換算で2.5人以上は看護職員(1人以上は常勤の保健師または看護師)でなければならない。
通いサービスの提供にあたる者:常勤換算で、利用者3人またはその端数を増すごとに1人以上(1人以上は看護職員)。
訪問サービスの提供にあたる者:常勤換算で2人以上(1人以上は看護職員)。
夜間および深夜の勤務にあたる者:夜間および深夜の時間帯を通じて1人以上。
宿直勤務にあたる者:1人以上。
※宿泊サービスの利用者がいない場合で、夜間・深夜の時間帯を通じて利用者に対して訪問サービスを提供するために必要な連絡体制を整備しているときは、宿直や夜勤を行う従業者を置かないことができる。
介護支援専門員 厚生労働大臣が定める研修を修了している者。
専従。支障がなければ兼務可。
管理者 事業所などで3年以上認知症ケアに従事した経験がある者で、厚生労働大臣が定める研修を修了している者、または保健師か看護師。
常勤専従。支障がなければ兼務可。
代表者 事業所などで認知症ケアに従事した経験がある者、または保健医療サービス・福祉サービスの経営に携わった経験のある者で、厚生労働大臣が定める研修を修了している者、または保健師か看護師。
看護小規模多機能型居宅介護のサテライト事業所の人員基準(主なもの)
看護小規模多機能型居宅介護事業者
訪問サービスの提供にあたる者:2人以上。
看護職員:常勤換算で1人以上。
宿直勤務にあたる者:本体事業所と兼務する場合は置かないことができる。
介護支援専門員 本体事業所の介護支援専門員が居宅サービス計画を作成する場合は、介護支援専門員に代えて厚生労働大臣が定める研修を修了している者とすることができる。
管理者 本体事業所の管理者が兼務可。

 なお、サテライト事業所には、次のような要件があります。

サテライト事業所の要件
 本体事業所との密接な連携を確保しつつ運営するものであるため、次の要件のいずれも満たす必要がある。

本体事業所とサテライト事業所の距離は、自動車等でおおむね20分以内の近距離でなければならない。
1つの本体事業所にかかるサテライト事業所の数は2か所までとする。
関連Q&A
A 「常勤加算」とは  まず、「常勤」と「常勤換算」は、次のようなものです。 常勤  事業所における勤務時間が、事業所で定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していること(週32時間を下回る場合は週32時間を基本とする) 常勤換算  事業所の従業者の勤務延時間数(担当者全員の合計時間)を、事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(週32時間を下回る場合は週32時間を基本とする)で割って人数として換算する方法    以上を踏まえて、たとえば訪問看護ステーションの看護職員の「常勤換算で2.5人以上(うち1人は常勤)」について、簡単な例をあげて考えてみます。 例)事業所で定められている常勤の看護職員が勤務すべき時間数は、週32時間です。  そして、看護職員が3人いて、1人が週32時間勤務し、他の2人がそれぞれ週に30時間ずつ勤務しています。これを常勤換算の式に当てはめると次のようになります。 92(看護職員3人の合計勤務時間)÷32(常勤の看護職員が勤務すべき時間数)=2.875  この「2.875」は基準の「2.5人以上」を満たしており、1人が常勤(週32時間勤務)で「うち1人は常勤」も満たしているため、基準をクリアしていることになります。
A 「端数を増すごとに」とは  たとえば、居宅介護支援の人員基準では、介護支援専門員について「利用者35人またはその端数を増すごとに1人を基準」とされています。  この場合の「端数」とは、35をひとつのまとまりと考えて、それより小さい数のことです。たとえば、36なら「端数」は1、72なら「端数」は2です。別の言い方をすると「35で割った余り」となります。  そして、利用者数が35人またはその端数を増すごとに、介護支援専門員の基準の人数は1人追加になります。ですので、次のようになります。 ・利用者数が35人まで……1人以上 ・利用者数が36人……2人以上 ・利用者数が71人……3人以上 ・利用者数が106人……4人以上
A 夜勤と宿直の違いとは  看護小規模多機能型居宅介護と小規模多機能型居宅介護の人員基準では、夜勤従業者と宿直従業者が規定されています。  夜勤と宿直では、業務内容に次のような違いがあります。
夜勤 夜間・深夜の時間帯に介護等の業務を行う勤務。
宿直 防火・防災のための定期巡視などを行い、非常事態に備えるためのものであり、原則として、ほとんど労働を伴わない勤務形態。
 看護小規模多機能型居宅介護や小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護の人員基準では、管理者とは別に代表者が規定されています。
管理者 各事業所における責任者のこと。
代表者 その運営主体である法人の代表者であり、基本的には理事長や代表取締役が該当する。
 たとえば、A社が1丁目事業所と2丁目事業所を運営している場合、A社の代表取締役が「代表者」で、1丁目事業所と2丁目事業所にそれぞれ「管理者」がいる、というようになります。  なお、人員基準の解釈通知において、「たとえば、法人が1つの介護サービス事業所のみを運営している場合は、代表者と管理者が同一であることもあるものである」とされています。
「サテライト」という言葉には、「衛星、人工衛星」という意味があります。衛星や人工衛星は、母体となる惑星や恒星があり、その周囲を回りながらも、母体と一体的になって移動します。たとえば、月は地球の衛星で、月は地球という母体の周囲を回りながら、一体となって太陽の周囲を回っています。  

「サテライト型」の事業所・施設は、母体と一体的に運営される事業所・施設

 そして、「サテライト~」とつく言葉は、母体の周囲にあって、母体と一体的に運営されるもの、という意味をもっています。ですので、「サテライト事業所・施設」とは、母体となる事業所があり、それとは別の場所にあるが、一体的に運営される事業所・施設、ということになります。

看護小規模多機能型居宅介護の設備基準(主なもの)

登録定員
(その事業所に登録できる利用者数)
29人以下(サテライト型事業所の場合は18人以下)
利用者と従業者のなじみの関係を築きながらサービスを提供する観点から、利用者が登録できるのは1か所の事業所に限られる
利用定員
(1日あたり)
通いサービス
※登録定員が25人以下の事業所と、25人を超える事業所で、区別して捉える。
 
登録定員が25人以下の事業所

登録定員の2分の1から15人まで(サテライト事業所の場合は、登録定員の2分の1から12人まで)。

例)登録定員が24人の場合、24人の「2分の1」は12人なので、12人から15人となる。

登録定員が25人を超える事業所

こちらの場合は、次のような具体的な人数が定められている(「登録定員の2分の1から15人まで」は関係しない)

登録定員 利用定員
26人または27人 16人
28人 17人
29人 18人
宿泊サービス
通いサービスの利用定員の3分の1から9人まで(サテライト事業所の場合は、通いサービスの利用定員の3分の1から6人まで)。

例)通いサービスの利用定員が12人の場合、「12」の3分の1は「4」なので、4人から9人となる。

宿泊室
個室が原則。ただし、利用者の処遇上必要と認められる場合は、2人とすることができる(夫婦で入居する場合など)。
個室以外に、利用者のプライバシーが確保された居間などでも可。
事業所が診療所の場合、サービス提供に支障がなければ、診療所の病床を宿泊室と兼用することができる。
事業所の立地 利用者に対して家庭的な雰囲気でサービスを提供すること、地域との交流を図ることなどのため、事業所は住宅地の中、または住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域の中にあること。

 なお、看護小規模多機能型居宅介護は通いサービスを中心として、訪問サービスと宿泊サービスを柔軟に組み合わせて提供するサービスです。こうしたことから、通いサービスの利用者が登録定員のおおむね3分の1を下回る状態を続けてはならないとされています。

運営推進会議の設置・運営

 利用者や利用者の家族、市町村職員、地域住民の代表者、地域包括支援センター職員、サービスについて知見を有する者などから構成される運営推進会議を設置することとされています。

 運営推進会議は、おおむね2月に1回以上、活動状況を報告して評価を受け、必要な要望や助言などを聴く機会を設けることとされています。

関連Q&A

介護・医療連携推進会議

 これを設置することとされているのは、次のサービスだけです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 → おおむね6か月に1回以上
 

運営推進会議

 これを設置することとされているのは、次のサービスです。
地域密着型通所介護 → おおむね6か月に1回以上(療養通所介護は、おおむね12か月に1回以上)
(介護予防)認知症対応型通所介護 → おおむね6か月に1回以上
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 → おおむね2か月に1回以上
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 → おおむね2か月に1回以上
地域密着型特定施設入居者生活介護 → おおむね2か月に1回以上
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 → おおむね2か月に1回以上
看護小規模多機能型居宅介護 → おおむね2か月に1回以上
開催頻度について  上記のような開催頻度の違いには、サービス内容や提供状況が関係しているものと思われます。  最も高い頻度の「おおむね2か月に1回以上」とされているサービスのうち、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、利用者がそこに住んで利用するサービスです。  また、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護には宿泊サービスがあります。  つまり、これらのサービスは“夜間”に事業所・施設内でサービスを提供する状況がある、ということです。夜間の事業所・施設では、従業者の目が届きにくくなったり、身体的拘束等の虐待が起こりやすくなります。こうしたことを考慮して、「おおむね2か月に1回以上」という高い頻度で開催している、ということのようです。  定期巡回・随時対応型訪問介護看護は居宅に訪問してもらって介護・看護サービスを受けるものであり、地域密着型通所介護と認知症対応型通所介護は昼間に通所して介護サービスを受けるというように、利用形態は比較的シンプルと言えます。そのため、「おおむね6か月に1回以上(療養通所介護は、おおむね12か月に1回以上)」という、さほど高くない頻度になっているようです。
 

設置が義務づけられていないサービス

 上記以外、つまり夜間対応型訪問介護には、運営推進会議も介護・医療連携推進会議も設置は義務づけられていません。

「複合型サービス」という名称について
 介護保険法において「複合型サービスとは、居宅サービスや地域密着型サービスのうち2種類以上を組み合わせて、効果的・効率的に提供するサービス」と規定されています。

 ただし、どのような組み合わせでもいいわけではなく、介護保険法施行規則において組み合わせが規定されています。具体的には「訪問看護及び小規模多機能型居宅介護の組合せにより提供されるサービス(以下「看護小規模多機能型居宅介護」という。)」と規定されています。

 つまり、「複合型サービス」は居宅サービスや地域密着型サービスのうち2種類以上を組み合わせたもので、現在においては看護小規模多機能型居宅介護(訪問看護+小規模多機能型居宅介護)のみ、ということです。そのため、「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」という表記がされます。

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