生活保護制度と介護保険制度の関係について、◯か×で答えなさい
Q1 生活保護受給者である介護保険の第1号被保険者の介護保険料は、年金から特別徴収される場合以外は、生活扶助の介護保険料加算の対象となる。
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A ◯
生活保護受給者である介護保険の第1号被保険者の介護保険料は、年額18万円(月額1万5,000円)以上の老齢基礎年金等受給者は特別徴収(年金から天引き)される。
生活保護受給者である介護保険の第1号被保険者の介護保険料は、年額18万円(月額1万5,000円)以上の老齢基礎年金等受給者は特別徴収(年金から天引き)される。
上記以外の場合は普通徴収(納入通知書による納付)となり、生活扶助に介護保険料加算がされる。
▼関連Q&A
介護保険料(介護保険の被保険者)
生活扶助での対応になります。詳細は、以下のとおりです。
■第1号被保険者
年額18万円(月額1万5,000円)以上の老齢基礎年金等受給者は特別徴収(年金から天引き)されます。この場合、介護保険料の分が年金収入から控除されます。
※「年金収入から控除」というのは、受け取る年金のうち、保険料の分は収入とはみなされず、その分を生活扶助として増やしてくれるということです。ですので、結果的には「生活扶助に上乗せして支給される」と言うことができます。
上記以外の場合は普通徴収(納入通知書による納付)になります。この場合は、生活扶助に介護保険料加算がされます。
■第2号被保険者
勤労(被用)収入から控除されます。
※生活保護受給者は、国民健康保険の適用除外になります(必要な医療は、生活保護の医療扶助から給付される)。そのため、国民健康保険に加入していた第2号被保険者が生活保護を受けるようになると、医療保険未加入となり、第2号被保険者の資格要件のうち「医療保険に加入していること」を満たさなくなって、介護保険の被保険者ではなくなります。
ただし、生活保護を受けていて、企業の健康保険に加入している人もわずかにいます(生活保護受給者が、企業の健康保険に加入することは可能)。この場合で、40歳以上65歳未満の人が第2号被保険者になります。つまり、生活保護受給者で第2号被保険者となるのは、企業の健康保険に加入している人であり、会社に勤務していて給与をもらっている、ということです。
この場合、給与から医療保険料と一緒に介護保険料が徴収されます。そのため、介護保険料の分は収入とはみなされず(「勤労(被用)収入から控除」)、その分を生活扶助として増やしてくれます。ですので、結果的には「生活扶助に上乗せして支給される」と言うことができます。
施設サービス(介護保険の被保険者)
■日常生活費
生活扶助での対応になります(介護施設入所者基本生活費)。
■食費
介護保険から特定入所者介護サービス費から給付されて、負担限度額の分が介護扶助の対応になります。
※特定入所者介護サービス費は、居住費・食費について、負担限度額までを利用者が負担し、それを超えて基準費用額までが介護保険から給付されるものです。
■居住費
生活保護受給者は、原則として多床室を利用することとされています。この場合の居住費は、全額が介護保険から特定入所者介護サービス費として給付されます。
※生活保護受給者が多床室を利用した場合は、特定入所者介護サービス費における負担限度額が0円とされているため、全額が特定入所者介護サービス費として給付されることになります。
ただし、居室の空き状況などによっては、例外的にユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室を利用することも認められます。この場合、介護保険から特定入所者介護サービス費が給付されて、負担限度額の分が介護扶助の対応になります。
短期入所サービス(介護保険の被保険者)
■食費
生活保護による新たな対応はありません。介護保険から特定入所者介護サービス費から給付されて、負担限度額の分を生活保護受給者が支払います。
※短期入所サービスを利用するというのは、生活保護受給者が自宅で生活しているということであり、生活費(食費を含む)として生活扶助が支給されています。そのため、負担限度額の分を既に支給されている中から支払うことになります。
■滞在費
生活保護受給者は、原則として多床室を利用することとされています。この場合の滞在費は、全額が介護保険から特定入所者介護サービス費として給付されます。
ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室を利用した場合は、生活保護による新たな対応はありません。介護保険から特定入所者介護サービス費が給付されて、負担限度額の分を生活保護受給者が支払います。
通所サービス(介護保険の被保険者)
■食費
生活保護による新たな対応はありません。食費の全額を生活保護受給者が支払います。
※通所サービスを利用するというのは、生活保護受給者が自宅で生活しているということであり、生活費(食費を含む)として生活扶助が支給されています。そのため、食費の全額を既に支給されている中から支払うことになります。
生活保護受給者(介護保険の被保険者でない場合)
介護保険料(介護保険の被保険者でない場合)
介護保険の被保険者でないので、そもそも介護保険料は発生しません。施設サービス(介護保険の被保険者でない場合)
■日常生活費
生活扶助での対応になります(介護施設入所者基本生活費)。
■食費
介護扶助での対応になります。
■居住費
介護扶助での対応になります。
短期入所サービス(介護保険の被保険者でない場合)
■食費
介護保険の特定入所者介護サービス費相当額が介護扶助の対応になり、負担限度額相当額を生活保護受給者が既に支給されている中から支払います。
■滞在費
生活保護受給者は、原則として多床室を利用することとされています。この場合の滞在費は、全額が介護扶助の対応になります。
ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室を利用した場合は、介護保険の特定入所者介護サービス費相当額が介護扶助の対応になり、負担限度額相当額を生活保護受給者が既に支給されている中から支払います。
通所サービス(介護保険の被保険者でない場合)
■食費
食費の全額を生活保護受給者が既に支給されている中から支払います。
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Q2 介護保険の第2号被保険者は、特定疾病による要介護又は要支援の状態にあっても、介護扶助の対象とはならない。
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A ×
生活保護受給者でも、介護保険の第2号被保険者で特定疾病によって要介護・要支援状態になったのであれば、通常どおり要介護・要支援認定を受けて、介護保険のサービスを利用することができる。
この場合のサービス費用については、9割が介護保険から給付されて、1割が介護扶助から支給される。
生活保護受給者でも、介護保険の第2号被保険者で特定疾病によって要介護・要支援状態になったのであれば、通常どおり要介護・要支援認定を受けて、介護保険のサービスを利用することができる。
この場合のサービス費用については、9割が介護保険から給付されて、1割が介護扶助から支給される。
▼関連Q&A
これについては「介護保険の被保険者が生活保護を受けるようになった場合」という観点から、以下に第1号被保険者と第2号被保険者をそれぞれ見ていきます。まず、分かりやすいように、第2号被保険者からです。
第2号被保険者が生活保護を受けるようになった場合
第2号被保険者の資格要件
「市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の者で、医療保険に加入している者」国民健康保険に加入していた第2号被保険者 → 介護保険の被保険者ではなくなる
生活保護を受けるようになると、国民健康保険の適用除外になります(必要な医療は、生活保護の医療扶助から給付されます)。そのため、国民健康保険に加入していた第2号被保険者が生活保護を受けるようになると、国民健康保険の適用除外となって医療保険未加入になり、上記の資格要件のうち「医療保険に加入している者」を満たさなくなって、介護保険の被保険者ではなくなります。したがって、「介護保険の被保険者でない生活保護受給者」になります。 この人が介護を必要とする場合、介護サービスの費用については、10割が生活保護の介護扶助から給付されます。 なお、生活保護を受けるようになるのは、自営業者(国民健康保険に加入)がほとんどです(企業に勤務している人で、生活保護を受けるようになるケースは、なかなかありません)。そのため、40歳以上65歳未満で生活保護を受けるようになった人のほとんどは、介護保険の被保険者ではなくなります。企業の健康保険に加入していた第2号被保険者 → 介護保険の被保険者であり続ける
生活保護を受けるようになっても、企業の健康保険に加入することは可能です。そのため、企業に勤務して健康保険に加入していた第2号被保険者が生活保護を受けるようになっても、健康保険に加入し続けて(上記の資格要件は満たしたままで)、第2号被保険者であり続けます。したがって、「第2号被保険者である生活保護受給者」になります。 この人が介護を必要とする場合、介護サービスの費用については、9割が介護保険から給付されて、残り1割が生活保護の介護扶助から給付されます。 なお、前述のように、健康保険に加入している会社員は企業で働いているので、生活保護を受けるようになるのは稀です。生活保護を受けるようになるのは、たとえばですが、会社員であって、その企業の健康保険に加入しているが、事情により勤務日数が少ないなどの理由で給与が少なく、それだけでは生活できないために生活保護を受ける、といったケースが考えられます。第1号被保険者が生活保護を受けるようになった場合
第1号被保険者の資格要件
「市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者」第1号被保険者 → 介護保険の被保険者であり続ける
第1号被保険者が生活保護を受けるようになっても、上記の資格要件には影響がありません。そのため、「第1号被保険者である生活保護受給者」になります。 この人が介護を必要とする場合、介護サービスの費用については、9割が介護保険から給付されて、残り1割が生活保護の介護扶助から給付されます。Q3 生活保護を受給する被保険者が居宅サービス計画の作成を依頼する場合には、その費用は介護扶助から支給される。
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A ×
生活保護法の「他法優先の原則」(保護の補足性)により、生活保護の介護扶助よりも介護保険の給付が優先する。したがって、設問の場合の費用は、介護保険から給付される。
生活保護法の「他法優先の原則」(保護の補足性)により、生活保護の介護扶助よりも介護保険の給付が優先する。したがって、設問の場合の費用は、介護保険から給付される。
▼他法との給付調整の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
介護保険と他の法令による給付との調整
これは、次のような関係になっています。
①.災害補償関係各法との調整
下表の法令により介護保険の給付に相当する給付が受けられるときは、下表の法令による給付が優先します。
これら以外でも、国・地方公共団体の負担で介護保険の給付に相当する給付が受けられるときは、国・地方公共団体の負担による給付が優先します。
②.老人福祉法の措置との調整
介護保険の給付(契約に基づくサービス利用)が優先します。
ただし、やむを得ない事由(家族による虐待などのために、介護保険での契約に基づくサービス利用ができないなど)がある場合は、例外的に、老人福祉法の措置によってサービスが提供されます。
③.医療保険との調整
重複するサービスについては、介護保険の給付が優先します。
ただし、歯科治療や介護保険施設の入所者に対する急性期治療など、一定の医療については医療保険から給付されます。
④.生活保護との調整
生活保護法の「他法優先の原則」(保護の補足性)により、介護保険の給付が優先します。
そのうえで、利用者負担の部分は生活保護の介護扶助から給付され、第1号被保険者の保険料は生活保護の生活扶助から給付されます。
⑤.障害者総合支援法の自立支援給付との調整
重複するサービスについては、介護保険の給付が優先します。
もちろん、重複しない障害者施策固有のサービスは、障害者総合支援法その他の障害者福祉制度から給付されます。
⑥.保険優先の公費負担医療との調整
重複するサービスについては、介護保険の給付が優先します。
そのうえで、利用者負担の部分について、公費から給付されます。
労働災害に対する補償(療養補償、介護補償など)の給付を行う法律 | ・労働者災害補償保険法 ・船員保険法 ・労働基準法 など |
公務災害に対する補償(療養補償、介護補償など)の給付を行う法律 | ・国家公務員災害補償法 ・地方公務員災害補償法 ・警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律 など |
国家補償的な給付(療養の給付など)を行う法律 | ・戦傷病者特別援護法 ・原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 など |
Q4 介護扶助による介護の給付は、介護保険法の指定を受け、かつ、生活保護法による指定を受けた事業者等に委託して行われる。
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A ◯
介護扶助によるサービスは、介護サービス提供の適正な実施を確保するため、介護保険法の指定を受け、かつ生活保護法による指定を受けた指定介護機関に委託して行われる。
介護扶助によるサービスは、介護サービス提供の適正な実施を確保するため、介護保険法の指定を受け、かつ生活保護法による指定を受けた指定介護機関に委託して行われる。
Q5 介護保険制度に基づく住宅改修は、住宅扶助の対象である。
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A ×
介護保険の住宅改修は、介護扶助の対象。
介護保険の住宅改修は、介護扶助の対象。
▼生活保護の各扶助の詳細は、以下の「ポイント解説」を参照
生活保護制度の仕組み・扶助について、◯か×で答えなさい
Q1 生活保護は、原則として、個人を単位として行われる。
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Q6 介護扶助には、介護予防に関する給付は含まれない。
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A ×
介護扶助には、介護予防に関する給付も含まれる(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
介護扶助には、介護予防に関する給付も含まれる(詳しくは、後述の「ポイント解説」を参照)。
Q7 介護保険施設に入所している生活保護受給者の日常生活費は、介護施設入所者基本生活費として、介護扶助から支給される。
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A ×
介護施設入所者基本生活費(介護保険施設での日常生活費)は、生活扶助から支給される。
介護施設入所者基本生活費(介護保険施設での日常生活費)は、生活扶助から支給される。
※Q1の解説にある「関連Q&A」も参照。
Q8 生活保護を受給する被保険者が通所サービスを利用した場合の昼食代は、介護扶助から支給される。
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A ×
設問の場合の食費については、生活保護による新たな対応はなく、生活保護受給者が既に受け取っている生活扶助の中から支払う。
設問の場合の食費については、生活保護による新たな対応はなく、生活保護受給者が既に受け取っている生活扶助の中から支払う。
※Q1の解説にある「関連Q&A」も参照。
ポイント解説
介護扶助の範囲
介護扶助は、介護保険法に規定する要介護者・要支援者に対する扶助です。
サービス内容は、基本的に、介護保険と同じです。ただし「移送」は、介護保険にはない内容になります。
居宅介護 | 介護保険の居宅サービス、地域密着型サービスと同じ。 居宅介護支援計画に基づいて提供される。 |
福祉用具 | 介護保険の特定福祉用具販売と同じ。 |
住宅改修 | 介護保険の住宅改修と同じ。 |
施設介護 | 介護保険の施設サービス、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護と同じ。 |
介護予防 | 介護保険の介護予防サービス、地域密着型介護予防サービスと同じ。 介護予防支援計画に基づいて提供される。 |
介護予防福祉用具 | 介護保険の介護予防特定福祉用具販売と同じ。 |
介護予防住宅改修 | 介護保険の介護予防住宅改修と同じ。 |
介護予防・日常生活支援 | 介護予防支援計画または第1号介護予防支援事業による援助(総合事業の介護予防ケアマネジメント)に相当する援助に基づき提供される。 |
移送 | 歩行が不能または著しく困難であり、保険給付による送迎が行われない場合の、入所・通所などのために必要な交通費。 |