(2021ユーキャン速習レッスンP74、八訂基本テキスト1巻P118)
A 支給限度基準額を超えた分は、高額介護サービス費の対象外
支給限度基準額を超えて全額が利用者負担となった分は、高額介護サービス費の対象外とされています。もし、その分が高額介護サービス費として償還払いで給付されたら、支給限度基準額の意味がなくなってしまいます。
高額介護サービス費は、支給限度基準額の範囲内の利用であっても給付されることがある
高額介護サービス費とは、利用者が支払った自己負担額(原則1割)が、定められた上限額(この記事の最後の表参照)を超えた場合に、超えた分が払い戻される、というものです。そして、支給限度基準額の範囲内の利用であっても、高額介護サービス費が給付されることはあります。簡単な例をあげてみます。
例)夫婦が2人で暮らしていて、2人とも利用者負担は1割で、要介護5(区分支給限度基準額は36,217単位)です。1単位あたりの単価は10円、高額介護サービス費の上限は世帯で44,400円です。
ある月に、夫は30,000単位分のサービスを利用して、サービス費用は30,000単位×10円=30万円、利用者負担額は3万円でした。
同月に、妻は20,000単位分のサービスを利用して、サービス費用は20,000単位×10円=20万円、利用者負担額は2万円でした。
夫婦ともに、区分支給限度基準額の範囲内の利用です。
すると、この月の世帯の負担額は、夫と妻の利用者負担額の合計5万円となります。この5万円は、高額介護サービス費の世帯の上限である44,400円を超えているので、超えた分の5,600円が高額介護サービス費として払い戻されます。
この例のように一つの世帯に要介護者が何人もいる場合は、世帯としての利用者負担が大きくなって、その世帯の家計が苦しくなってしまいます。それを軽減するために高額介護サービス費が給付されます。
高額介護サービス費・高額介護予防サービス費の所得区分ごとの負担上限額
これは、次のようになっています。
所得区分 | 上限額(月額) | |
現役並み所得者相当の人がいる世帯 | 世帯 44,400円 | |
一般 (世帯のいずれかの人が市町村民税課税) |
世帯 44,400円
※同じ世帯の全ての65歳以上の人(サービスを利用していない人を含む)の利用者負担割合が1割の世帯に、年間上限額として446,400 円(37,200円×12か月)が設定されている(2020年7月末までの時限措置)。
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・市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入と所得額の合計が80万円を超える人
・負担を24,600円に減額することにより被保護者とならない場合
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世帯 24,600円 | |
・市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入と所得額の合計が80万円以下の人
・市町村民税世帯非課税の、老齢福祉年金受給者
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世帯 24,600円 個人 15,000円 |
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・生活保護受給者
・負担を15,000円に減額することにより被保護者とならない場合
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世帯 15,000円 個人 15,000円 |
所得区分 | 上限額(月額) |
現役並み所得者相当の人がいる世帯 | 世帯 44,400円 |
世帯のいずれかの人が市町村民税課税 | 世帯 44,400円
※同じ世帯の全ての65歳以上の人(サービスを利用していない人を含む)の利用者負担割合が1割の世帯に、年間上限額として446,400 円(37,200円×12か月)が設定されている(2020年7月末までの時限措置)。
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・市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入と所得額の合計が80万円を超える人
・負担を24,600円に減額することにより被保護者とならない場合 |
世帯 24,600円 |
・市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入と所得額の合計が80万円以下の人
・市町村民税世帯非課税の、老齢福祉年金受給者 |
世帯 24,600円 個人 15,000円 |
・生活保護受給者
・負担を15,000円に減額することにより被保護者とならない場合 |
世帯 15,000円 個人 15,000円 |