(2024ユーキャン速習レッスンP39・P40・P132、十訂基本テキスト上巻P58)
A 一般会計と特別会計の違いとは
「一般会計」と「特別会計」は、それぞれ次のようなものです。
一般会計と特別会計
一般会計
用途に特に制限のない、さまざまな事業を行うための会計です。たとえば、学校教育、道路などの整備、消防などの費用に用いられます。
特別会計
一般会計とは別に、その事業の経理を明確にするために設けられた会計です(経理の事務を、他のものとまとめないで、その事業だけで行えば、収入と支出が分かりやすくなります)。簡単に言うと「帳簿を別にして、それぞれ別に管理(計算)する」ということです。
介護保険については「特別会計」を設けることとされています。これによって、介護保険財政の支出と収支の経理を、より明確に分かりやすくすることができます。
なお、介護保険の特別会計は内容によって、以下の2勘定に区分されています。
保険事業勘定 | 保険料と公費を収納し、保険給付や地域支援事業などを行う勘定。 |
介護サービス事業勘定 | 市町村が保健福祉事業として、直営で指定居宅サービスなどの介護サービスを提供する場合に設けられる勘定。 |
一般会計から特別会計への繰入
市町村は、介護保険の財政において「介護給付費」と「地域支援事業」にある「12.5%」「19.25%」を負担します(後出の表参照)。これは「市町村が一般会計のお金を特別会計に移す」というようにして負担します。
つまり、市町村は「一般会計」から介護保険の「特別会計」にお金を移すことで費用を負担し、介護保険の「特別会計」の帳簿によって介護保険のお金の計算をする、ということです。
一般財源と特定財源
一般財源
使い道が決められていない財源のことです。たとえば、市町村民税などです。これは、上記の「一般会計」に用いられます。
介護保険事業にかかる事務費は、ここから出されます。
特定財源
逆に、使い道があらかじめ決まっている財源のことを「特定財源」といいます。たとえば、国民健康保険料は、国民健康保険に要する費用にのみ使用することができます。
介護保険料も特定財源であり、介護保険に要する費用にのみ使用することができます。
介護給付費 | |||
---|---|---|---|
居宅給付費 | 施設等給付費 | ||
公 費 |
国 | 25%★ | 20%★ |
都道府県 | 12.5% | 17.5% | |
市町村 | 12.5% | 12.5% | |
保 険 料 |
第1号保険料 | 23% | 23% |
第2号保険料 | 27% | 27% |
地域支援事業 | |||
---|---|---|---|
総合事業 | 総合事業以外 | ||
公 費 |
国 | 25%★ | 38.5% |
都道府県 | 12.5% | 19.25% | |
市町村 | 12.5% | 19.25% | |
保 険 料 |
第1号保険料 | 23% | 23% |
第2号保険料 | 27% | なし |
居宅給付費:この%を基本として考える
「居宅給付費」の負担割合は、国25%(調整交付金5%相当を含む)、都道府県12.5%、市町村12.5%、1号保険料平均23%、2号保険料27%です。これを基本として考えます。施設等給付費:国の5%が都道府県に移っている
「施設等給付費」の負担割合は、国20%(調整交付金5%相当を含む)、都道府県17.5%、市町村12.5%、1号保険料平均23%、2号保険料27%です。 これを「居宅給付費」と比較してみると、国の負担割合が5%減って、都道府県の負担割合が5%増えていると言うことができます。つまり、5%が国から都道府県に移っているということです。総合事業:居宅給付費(基本)と同じ
「総合事業」の負担割合は、国25%(調整交付金5%相当を含む)、都道府県12.5%、市町村12.5%、1号保険料平均23%、2号保険料27%です。これは、基本として考えた「居宅給付費」と同じです。総合事業以外:2号保険料の27%がない分を、国:都道府県:市町村=2:1:1で分担している
「総合事業以外」の負担割合は、国25%+13.5%、都道府県12.5%+6.75%、市町村12.5%+6.75%、1号保険料23%、2号保険料は“なし”です。 これは、2号保険料の27%がない分を、国・都道府県・市町村が2:1:1という比率で分担しているということです。調整交付金の内訳
普通調整交付金 | ①給付対象となる可能性の高い後期高齢者(75歳以上)の加入割合の違い。 ②第1号被保険者の所得(保険料負担能力)の格差。 |
特別調整交付金 | ③災害時の保険料減免など、保険者の責によらない事由。 |