<span class="qa">A</span> 一次判定・要介護認定等基準時間の算出方法とは
<br>
<h3>5分野の行為</h3>
一次判定では、認定調査の基本調査の①~⑤の項目を、下表の5分野の行為に区分し、コンピュータで分析して<span class="bold">要介護認定等基準時間</span>を算出します。
要介護認定等基準時間とは、<span class="bold">1日あたり</span>に必要となる介護時間の推計です。これは、実際の介護サービスや家庭での介護の時間を表すものではなく、介護の手間(介護の必要の程度)を判断する指標となるものです。
<table class="onecell">
<caption>認定調査の基本調査の項目</caption>
<tr>
<td><span class="bold">①</span> 身体機能・起居動作に関連する項目
<span class="bold">②</span> 生活機能に関連する項目
<span class="bold">③</span> 認知機能に関連する項目
<span class="bold">④</span> 精神・行動障害に関連する項目
<span class="bold">⑤</span> 社会生活への適応に関連する項目
<span class="bold">⑥</span> 特別な医療に関する項目
<span class="bold">⑦</span> 日常生活自立度に関連する項目</td>
</tr>
</table>
<div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>項目の詳細</div>
<a href="https://caremane.site/29">https://caremane.site/29</a>
<table>
<caption>5分野の行為</caption>
<col width="140">
<tr>
<td class="t-style1">直接生活援助</td>
<td>・食事
・排泄
・移動
・清潔保持</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">間接生活援助</td>
<td>洗濯、掃除等の家事援助など</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">認知症の行動・心理症状関連行為</td>
<td>徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末など</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">機能訓練関連行為</td>
<td>歩行訓練、日常生活訓練などの機能訓練</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">医療関連行為</td>
<td>輸液の管理、褥瘡の処置などの診療の補助</td>
</tr>
</table>
<h3>樹形モデル</h3>
<img src="https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/images/gaiyo2b.gif" alt="樹形モデルの簡単なイメージ" class="shadow" style="border: solid 10px #fff;">
図中の「〈食事摂取〉」が調査項目で、「(生活機能)」が中間評価項目
<a class="reference" href="https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo2.html" rel="nofollow">出典:www.mhlw.go.jp</a>
要介護認定等基準時間の算出は、行為ごとの<span class="bold">樹形モデル</span>によって行われます(上図の形からイメージして付けられた名称です)。
樹形モデルは8つあります。これは、行為が8種類あるためです(上表の「直接生活援助」には「食事」、「排泄」、「移動」、「清潔保持」の4種類の行為があり、残りの4種類と合計して8種類です)。
算出方法は、上図のように、基本調査の各項目と<span class="bold">中間評価項目</span>を選択肢として設定し、基本調査の結果に従って分岐させていって、<span class="bold">1分間タイムスタディ・データ</span>の中からその被保険者の心身状態が最も近い高齢者のデータを選び出す、というものです。
こうして算出された行為ごとの要介護認定等基準時間を合計し、さらに基本調査の「⑥ 特別な医療に関連する項目」がある場合は、そこから求められた時間も合計して、最終的な要介護認定等基準時間となります。
<div class="information"><span class="bold">1分間タイムスタディ・データ</span>
介護老人福祉施設などの入所者約3,500人に対して、48時間にわたり、どのような介護サービスがどれ位の時間にわたって行われたかを調べたデータです。
<span class="bold">基本調査の①~⑤の項目と5分野の行為</span>
1分間タイムスタディ・データの調査は、上表の5分野の行為ごとに実施されました。この項目を「同様の傾向をもつもの」という観点から並べ替えて、認定調査においてチェックしやすくしたのが基本調査の①~⑤の項目です(同じ項目で、区分の仕方が違っているだけ、ということ)。
そして、認定調査を実施し、基本調査の①~⑤の項目を5分野の行為の区分に戻して樹形モデルで分析し、要介護認定等基準時間を推計します。
<span class="bold">中間評価項目</span>
樹形モデルにある中間評価項目は、基本調査の①~⑤の項目になります。これは、特に問題がない場合は合計が100.0点で、介助が必要な場合には点数が減る、というものです。この点数によって、分岐していきます。
つまり、行為ごとに樹形モデルを作成し、その中で基本調査の各項目は細かいレベルでの条件となり、中間評価項目は別の観点(「同様の傾向をもつもの」という観点)による大きなレベルでの条件になる、ということです。このように、異なる観点・レベルの条件を組み合わせることによって、樹形モデルの精度を向上させています。
</div>
<h3>要介護認定等基準時間と要介護状態区分等</h3>
<table>
<col width="10">
<col width="70">
<tr>
<th rowspan="2">要支援</th>
<td class="t-style1">要支援1</td>
<td>要介護認定等基準時間が25分以上32分未満またはこれに相当する状態</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">要支援2</td>
<td>要支援状態の継続見込み期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減または悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、要介護認定等基準時間が32分以上50分未満またはこれに相当する状態</td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="5">要介護</th>
<td class="t-style1">要介護1</td>
<td>要介護認定等基準時間が32分以上50分未満またはこれに相当する状態(要支援2に該当するものを除く)</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">要介護2</td>
<td>要介護認定等基準時間が50分以上70分未満またはこれに相当する状態</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">要介護3</td>
<td>要介護認定等基準時間が70分以上90分未満またはこれに相当する状態</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">要介護4</td>
<td>要介護認定等基準時間が90分以上110分未満またはこれに相当する状態</td>
</tr>
<tr>
<td class="t-style1">要介護5</td>
<td>要介護認定等基準時間が110分以上またはこれに相当する状態</td>
</tr>
</table>