Q&A一覧

生活保護受給者の施設入所時の食費は介護扶助からで、日常生活費は生活扶助からと、別々なのはどうしてですか?

食費(介護扶助から給付)  「介護扶助」は、要介護者等に対する介護サービスについての扶助です。  また、「食費」というのは、食材料費+調理の手間の費用です。  そして、介護保険施設に入所した際の「食費」については、介護保険から特定入所者介護サービス費が給付され、負担限度額の分が<span class="bold">介護扶助</span>から給付されます。 <div class="indent3">※特定入所者介護サービス費は、居住費・食費について、負担限度額までを利用者が負担し、それを超えて基準費用額までが介護保険から給付されるものです。</div>  これについての考え方としては、「介護保険施設に入所した場合は『調理の手間(サービス)が長期にわたって続く』ということで、介護サービスについての扶助である介護扶助になる」と捉えると良いでしょう。 <div class="information"><span class="bold">介護保険施設に入所した際の「食費」について、短期入所サービスと比較で見てみると…</span>  介護保険の被保険者である生活保護受給者の場合、短期入所サービスと介護保険施設に入所した際の「食費」への給付は、次のように異なります。 <div class="indent2"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">短期入所サービスでの食費</span></div>  生活保護による新たな給付はありません。介護保険から特定入所者介護サービス費が給付されて、負担限度額の分を生活保護受給者が支払います。 <div class="indent3">※短期入所サービスを利用するというのは、生活保護受給者が自宅で生活しているということであり、生活費(食費を含む)として生活扶助が給付されています。そのため、負担限度額の分を既に給付されている生活扶助の中から支払うことになります。</div> <br> <div class="indent2"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">介護保険施設に入所した際の食費</span></div>  介護保険から特定入所者介護サービス費が給付されて、負担限度額の分が介護扶助から給付されます。  考え方は、前述のように、「介護保険施設に入所した場合は『調理の手間(サービス)が長期にわたって続く』ということで、介護サービスについての扶助である介護扶助になる」ということです。 </div>

後期高齢者医療制度が創設されたのには、どのような経緯があるのですか?

<h3>負担をみんなで分け合う仕組みに</h3>  老人保健から後期高齢者医療制度に移行した主な要因は、その財政面にあると言えます。後期高齢者医療制度の財源には「後期高齢者支援金(現役世代の保険料)」があり、後期高齢者の医療費の一部をもっと若くて現在働いている人(現役世代)も支払うことにして、負担をみんなで分け合う仕組みとなっています。これは老人保健にはなかった仕組みであり、このようにすることが後期高齢者医療制度の創設された大きな理由のひとつです &nbsp; <h3>保険料の負担主体を明確に</h3>  老人保健の対象者は国民健康保険や健康保険などに加入し(それらの保険料を支払い)、そのうえで老人保健に加入する(老人保健には保険料はなし)という構造だったため、国民健康保険や健康保険などから老人保健にお金が出されていました(前述の「医療保険者からの拠出金」です)。ただ、この仕組みだと、老人保健の対象者が支払っている国民健康保険や健康保険の保険料が、老人保健においてどのように位置づけになるのかがあいまいになってしまいます。  後期高齢者医療制度は独立した保険制度であるため、加入する場合は国民健康保険や健康保険などからは脱退することになります。そして、加入すると後期高齢者医療制度の保険料を支払うことになります。こうすることで、保険料の負担主体が明確になります。 &nbsp; <h3>後期高齢者により適切な給付</h3>  給付の内容も、より後期高齢者に適切となるよう、後期高齢者医療制度において改変されています。 &nbsp; <h3>運営主体は都道府県にある後期高齢者医療広域連合となり、運営における責任が明確に</h3>  その他の大きな違いとしては、運営主体の違いがあげられます。老人保健の運営主体は市町村でしたが、後期高齢者医療制度の運営主体は都道府県にある後期高齢者医療広域連合となりました。前述のように、老人保健には保険料はなく、したがって運営主体である市町村はその徴収もしませんでした。にもかかわらず、市町村は運営主体として給付を行っていました。この仕組みだと、給付についての市町村の責任が不明確であったと言えます。  後期高齢者医療制度では、運営主体を都道府県にある後期高齢者医療広域連合とし、後期高齢者医療広域連合が保険料を徴収し、給付を行うことで、運営における責任が明確になります。また、運営を都道府県単位とすることで、市町村単位の場合よりも広い範囲で保険料の設定ができることになり、高齢者の負担における公平性が増していると言えます。

禁治産・準禁治産制度とは、どういうものだったのですか?

 禁治産・準禁治産制度は、成年後見制度の以前にあった、古い(前時代的な)制度です。  「禁治産」という言葉には、「自分の財産を管理・処分することを禁じられること」という意味があります(「財産の管理(治めること)を禁止する」ということです)。  そして、禁治産制度とは、簡単に言うと「精神疾患などで心神喪失者となった人の権利を制限して、別の人に管理させる」という主旨の制度です。心神喪失者であるとされた場合、自由に買い物ができない、心神喪失者であると戸籍に記載される、といった問題がありました。  準禁治産制度は、心神耗弱者(心神喪失ほどではないが、正常な判断能力を欠く者)に対する同様の制度です。  つまり、これらは精神障害者の“権利を制限”する、ネガティブな制度ということです。  こうした問題を踏まえて、改善して始まったのが<span class="bold">成年後見制度</span>です。成年後見制度では、上記のような問題はなくなっており、「<span class="bold">判断能力に障害がある人の権利を守る</span>」という主旨で、ポジティブな制度となっています。

法定後見制度の後見類型、保佐類型、補助類型は、どのように分かれるのですか?

後見類型、保佐類型、補助類型は本人の判断能力によって分かれる  本人の判断能力(事理を弁識する能力)によって分かれており、判断能力を欠く人(=判断能力が全くない人)に対応するのが「後見類型」、判断能力が著しく不十分な人に対応するのが「保佐類型」、判断能力が不十分な人に対応するのが「補助類型」です。 <table> <caption>法定後見制度の3類型</caption> <tr> <th>類型</th> <th>対象者</th> <th>判断能力</th> </tr> <tr> <td class="t-style1">後見類型 (成年後見人の選任)</td> <td>判断能力を欠く人</td> <td rowspan="3" align="center">低い ↑ 判断能力 ↓ 高い</td> </tr> <tr> <td class="t-style1">保佐類型 (保佐人の選任)</td> <td>判断能力が著しく不十分な人</td> </tr> <tr> <td class="t-style1">補助類型 (補助人の選任)</td> <td>判断能力が不十分な人</td> </tr> </table> <div class="indent">※用語</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>代理権……本人に代わって行うことができる権利。</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>取消権……本人が行った行為でも、本人に不利益な場合には、取り消すことができる権利。</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>同意権……本人が行おうとしている行為について同意を与える権利。</div> <br> <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/3070">https://caremane.site/3070</a> &nbsp; <h3>後見類型</h3> <br> <h4>代理権</h4>  成年後見人に、本人の財産に関する法律行為(預金の管理、重要な財産の売買、入退院・施設入退所の手続きと費用の支払い、介護サービスの契約など)について包括的な代理権が与えられます。  ただし、本人の居住用の建物または敷地を処分(売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定など)するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。 &nbsp; <h4>取消権</h4>  成年後見人に、本人が行った行為について取消権が与えられます(日常生活に関する行為を除く)。  後見類型では、本人の判断能力が全くないので、成年後見人に与えられる代理権と取消権の及ぶ範囲が広くなっています。 <div class="indent">※成年後見人には、同意権は与えられません。後見類型の場合、本人の判断能力が全くなく、同意を与えたとしても、そのとおりに行為をする可能性が限りなく低いため、同意権は不要とされています。</div> &nbsp; <h3>保佐類型</h3> <br> <h4>代理権</h4>  本人の同意のもと、保佐人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、保佐人に特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられます。 &nbsp; <h4>取消権・同意権</h4>  保佐人に、民法第13条で規定された重要な法律行為(金銭の借り入れ、重要な財産の処分、訴訟など)についてのみ、取消権と同意権が与えられます。  保佐類型では、本人に少し判断能力が残っているので、後見類型よりも保佐人が代理権を持つことに対して厳しく、保佐人の取消権と同意権の及ぶ範囲が狭くなっています。 &nbsp; <h3>補助類型</h3> <br> <h4>代理権</h4>  本人の同意のもと、補助人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、補助人に特定の事項(預貯金の取引、社会保障給付の受領、家賃・公共料金の支払いなど)について代理権が与えられます。 &nbsp; <h4>取消権・同意権</h4>  本人の同意のもと、家庭裁判所の審判を経て、補助人に民法第13条で規定された重要な法律行為のうちの特定の行為についてのみ、取消権と同意権が与えられます(取消権と同意権の及ぶ範囲が、保佐人よりも限定されています)。  補助類型では、本人にある程度の判断能力が残っているので、本人の同意が必要とされ、補助人が代理権、取消権、同意権を持つことに対してより厳しく、補助人の取消権と同意権の及ぶ範囲がより限定されています。 &nbsp; <h3>まとめ</h3> <table> <caption>法定後見制度の3類型と与えられる権利</caption> <col width="120"> <tr> <th>類型</th> <th>与えられる権利</th> </tr> <tr> <td class="t-style1">後見類型 <span style="font-weight: normal;">成年後見人に対して</span></td> <td><div class="indent">・代理権(包括的なもの。ただし、本人の居住用の不動産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要)</div> <div class="indent">・取消権(日常生活に関する行為を除く)</div> <div class="indent">※同意権は与えられない。</div> </td> <tr> <td class="t-style1">保佐類型 <span style="font-weight: normal;">保佐人に対して</span></td> <td><div class="indent">・代理権(本人の同意のもと、保佐人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、特定の事項について)</div> <div class="indent">・取消権(重要な法律行為についてのみ)</div> <div class="indent">・同意権(同上)</div></td> </tr> <tr> <td class="t-style1">補助類型 <span style="font-weight: normal;">補助人に対して</span></td> <td><div class="indent">・代理権(本人の同意のもと、補助人などの請求により、家庭裁判所の審判を経て、特定の事項について)</div> <div class="indent">・取消権(本人の同意のもと、家庭裁判所の審判を経て、重要な法律行為のうちの特定のものについてのみ)</div> <div class="indent">・同意権(同上)</td> </tr> </table>

成年後見制度と日常生活自立支援事業は、どのように違うのですか?

<h2>成年後見制度と日常生活自立支援事業は、対象者と実施する内容が異なる</h2>  次のように、対象者と実施する内容が異なります。 &nbsp; <h3>成年後見制度の対象者と実施内容</h3> <br> <h4>対象者は、判断能力の低下が一定以上の人</h4>  成年後見制度の対象となるのは、判断能力の低下が一定以上の人です。 &nbsp; <h4>実施する内容は、法律行為についての対象者の保護と権利擁護</h4>  成年後見制度では、身上監護や財産管理に関する法律行為について、成年後見人などに代理権、取消権、同意権が与えられ、対象者を保護し、その権利を守ります。これらの権利は、本人に代わって契約をしたり、本人が交わした契約を破棄できるなど、かなり強い権限であると言えます。 &nbsp; <h3>日常生活自立支援事業の対象者と実施内容</h3> <br> <h4>対象者は、断能力の低下が軽い人</h4>  成年後見制度の対象となる人より、判断能力の低下がもっと軽い人が日常生活自立支援事業の対象となります。 &nbsp; <h4>実施する内容は、日常生活に関する援助</h4>  日常生活自立支援事業では、日常生活に関する援助(福祉サービスの利用援助、日常的な金銭等の管理、書類などの預かりサービス)を行います。これは、あくまで日常生活を送るうえで必要な援助であり、生活支援員に成年後見制度のような権限は与えられません。 &nbsp; <h3>まとめ:成年後見制度は扱う事柄が重大で、日常生活自立支援事業は日常生活に密着している</h3>  こうして比較すると、成年後見制度の方が扱う事柄が重大で、日常生活自立支援事業の方は日常生活に密着している、と言えます。

「端数を増すごとに」とは、どういうことですか?

<span class="qa">A</span> 「端数を増すごとに」とは  たとえば、居宅介護支援の人員基準では、介護支援専門員について「利用者35人またはその端数を増すごとに1人を基準」とされています。  この場合の「端数」とは、35をひとつのまとまりと考えて、それより小さい数のことです。たとえば、36なら「端数」は1、72なら「端数」は2です。別の言い方をすると「35で割った余り」となります。  そして、利用者数が35人またはその端数を増すごとに、介護支援専門員の基準の人数は1人追加になります。ですので、次のようになります。 ・利用者数が35人まで……1人以上 ・利用者数が36人……2人以上 ・利用者数が71人……3人以上 ・利用者数が106人……4人以上

「常勤換算」とは、どういうものですか?

<span class="qa">A</span> 「常勤加算」とは  まず、「常勤」と「常勤換算」は、次のようなものです。 <span class="shikaku">■</span><span class="bold">常勤</span>  事業所における勤務時間が、事業所で定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していること(週32時間を下回る場合は週32時間を基本とする) <span class="shikaku">■</span><span class="bold">常勤換算</span>  事業所の従業者の勤務延時間数(担当者全員の合計時間)を、事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(週32時間を下回る場合は週32時間を基本とする)で割って人数として換算する方法 &nbsp;  以上を踏まえて、たとえば訪問看護ステーションの看護職員の「常勤換算で2.5人以上(うち1人は常勤)」について、簡単な例をあげて考えてみます。 <span class="bold">例)</span>事業所で定められている常勤の看護職員が勤務すべき時間数は、週32時間です。  そして、看護職員が3人いて、1人が週32時間勤務し、他の2人がそれぞれ週に30時間ずつ勤務しています。これを常勤換算の式に当てはめると次のようになります。 92(看護職員3人の合計勤務時間)÷32(常勤の看護職員が勤務すべき時間数)=2.875  この「2.875」は基準の「2.5人以上」を満たしており、1人が常勤(週32時間勤務)で「うち1人は常勤」も満たしているため、基準をクリアしていることになります。

管理者と代表者は、どう違うのですか?

 看護小規模多機能型居宅介護や小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護の人員基準では、管理者とは別に代表者が規定されています。 <table> <col width="70"> <tr> <td class="t-style1">管理者</td> <td>各事業所における責任者のこと。</td> </tr> <tr> <td class="t-style1">代表者</td> <td>その運営主体である法人の代表者であり、基本的には理事長や代表取締役が該当する。</td> </tr> </table>  たとえば、A社が1丁目事業所と2丁目事業所を運営している場合、A社の代表取締役が「代表者」で、1丁目事業所と2丁目事業所にそれぞれ「管理者」がいる、というようになります。  なお、人員基準の解釈通知において、「たとえば、法人が1つの介護サービス事業所のみを運営している場合は、代表者と管理者が同一であることもあるものである」とされています。

夜勤と宿直は、どう違うのですか?

<span class="qa">A</span> 夜勤と宿直の違いとは  看護小規模多機能型居宅介護と小規模多機能型居宅介護の人員基準では、夜勤従業者と宿直従業者が規定されています。  夜勤と宿直では、業務内容に次のような違いがあります。 <table> <col width="60"> <tr> <td class="t-style1">夜勤</td> <td>夜間・深夜の時間帯に介護等の業務を行う勤務。</td> </tr> <tr> <td class="t-style1">宿直</td> <td>防火・防災のための定期巡視などを行い、非常事態に備えるためのものであり、原則として、ほとんど労働を伴わない勤務形態。</td> </tr> </table>

訪問介護や訪問看護などに、同居家族に対するサービス提供禁止の規定があるのは、どうしてですか?

<h3>仕事とプライベートの区別をつけるため</h3>  訪問介護のサービス内容には、入浴・排泄・食事などの介護が含まれます。これらは、家庭で行われる家族による介護と同じような内容です。そのため、訪問介護員が自分の同居家族へ訪問介護を行ってしまうと、仕事とプライベートの区別があいまいになって、支払われる介護報酬が何に対するものなのかが不明瞭になってしまいます。こうしたあいまいな状況を避けるため、サービス担当者の同居家族へサービス提供は禁止されています。  この規定があるのは訪問介護、(介護予防)訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(随時対応サービスを除く)、夜間対応型訪問介護です。 &nbsp; <h3>定期巡回・随時対応型訪問介護看護の「随時対応サービス」は同居家族への提供が可能</h3>  定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、「同居家族に対するサービス提供は禁止する。ただし、随時対応サービスを除く」となっています。これは、随時対応サービスの内容は通報の受付と訪問等の対応の要否の判断であり(訪問による看護や介護は含まれません)、家庭で行われる家族による介護とは異なるので、同居家族に対して提供しても問題ない、ということです。 &nbsp; <h3>他のサービスは、内容が家族による介護とは異なるので、同居家族への提供が可能</h3>  他のサービスには、同居家族に対するサービス提供の禁止の規定はありません。主旨は、上記の定期巡回・随時対応型訪問介護看護の「随時対応サービス」と同じで、家庭で行われる家族による介護とは内容が異なるサービスは同居家族に対して提供可、ということです。  たとえば、訪問リハビリテーションのサービス内容は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が行う理学療法、作業療法、言語聴覚療法といった専門的なリハビリテーションであり、家庭で行われる家族による介護とは内容が異なります。そのため、理学療法士などが自分の同居家族に訪問リハビリテーションを提供しても、仕事とプライベートがあいまいにはならず問題はない、ということです。

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