介護支援一覧

財政安定化基金の詳しい仕組みは、どのようなものですか?

<h3>財源</h3>  財政安定化基金の財源は、国、都道府県、市町村が3分の1ずつ負担します。  市町村が負担する分は、<span class="bold">1号保険料</span>で賄われます。 &nbsp; <div class="information"><span class="bold">1号保険料で賄われるもの</span> ・市町村特別給付 ・保健福祉事業 ・支給限度基準額の上乗せ ・財政安定化基金拠出金 </div> &nbsp; <h3>交付・貸与</h3>  財政安定化基金は市町村に対して、次のように交付と貸与を行います。 <table> <col width="120"> <col width=""> <tr> <td class="t-style1">交付 (3年度目)</td> <td>市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)を通し、通常の努力を行ってもなお保険料収納率が悪化して財政不足が生じた場合に、3年度目に<span class="bold">不足額の2分の1</span>を基準として交付金を交付する(残りの2分の1は「貸付」)。</td> </tr> <tr> <td class="t-style1">貸与 (年度ごと)</td> <td>見込みを上回る給付費の増大等により介護保険財政に不足が見込まれる場合に、必要な額の貸与を行う。</td> </tr> </table>  この順番は「貸与」→「交付」です。市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)において、1年度目と2年度目には「貸与」され、最後の3年度目に「交付」されます。  たとえば、ある市で市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)の1年度目に財政不足になると財政安定化基金から不足額の全額が「貸与」され、2年度目にも財政不足になると財政安定化基金から不足額の全額が「貸与」されます。  そして、最後の3年度目にも財政不足になると、財政安定化基金から不足額の2分の1が「交付」されます(残りの2分の1は「貸付」)。 <div class="indent">※介護保険の計画期間は3年間で、3年間で保険料を設定します。ですので、3年度目の交付の際には「保険料の収納率の悪化」という要素が考慮されることになります。</div>  「貸与」の分については、1号保険料を財源として、その次の市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)において<span class="bold">分割返済</span>します(無利子)。

市町村相互財政安定化事業の詳しい仕組みは、どのようなものですか?

 市町村相互財政安定化事業は、複数の市町村で(より広い範囲で)保険料を設定して、その複数の市町村で財政を安定させましょう、というものです。  たとえば、A市、B市、C市の3市で市町村相互財政安定化事業を実施する場合、3市を1つのまとまりとして考えて、その全体で介護保険に必要な費用がどれくらいになるかを考えます。そして、そのために必要な保険料がどれくらいになるかを考えて、3市全体としての保険料率を設定します。この「複数の市町村全体としての保険料率」を<span class="bold">調整保険料率</span>といいます。  調整保険料率によって、3市すべてにおいて、所得の多い人は保険料が高くなり、所得の少ない人は保険料が低くなります。こうして設定した保険料を徴収して、3市全体として必要な金額を集めます。  ただし、徴収の事務はそれぞれの市が行います。そのため、それぞれの市で考えた場合は、黒字になるところと赤字になるところが出てきます。そして、黒字の市は、赤字の市に費用を交付します。これによって、赤字の市町村の財政不足が解消されることになります。  このような仕組みが、市町村相互財政安定化事業です。

国保連が行う「第三者行為求償事務」とは、どういうものですか?

<h3>第三者行為求償事務の仕組み</h3>  まず、介護保険では市町村が保険者であり、市町村が被保険者に保険給付を行います。  もし、第1号被保険者が交通事故など第三者(加害者)の行為によって介護が必要になり、市町村が第1号被保険者に保険給付をした場合は、市町村は第三者に対し「あなたの責任で保険給付をすることになったのだから、その分を負担してください」ということで、費用を請求します(<span class="bold">第三者行為への損害賠償請求権の取得</span>)。この費用の徴収・収納事務を<span class="bold">第三者行為求償事務</span>といいます。これは、委託を受けた<span class="bold">国保連</span>が行います。 <div class="information"><span class="bold">補足</span>  上記の場合、第1号被保険者は、給付事由が第三者の行為による旨を市町村に届け出ることとされています(介護保険法施行規則第33条の2 ただし、この届出は保険給付等の条件とはされていません)。  第三者行為求償事務の対象となるのは、症状が固定するまでにかかった費用とされています。それ以外については、加害者と被害者の示談になります。 </div> &nbsp;  保険給付の前に、第1号被保険者が第三者から損害賠償を受けた場合は、<span class="bold">市町村はその賠償額を限度として保険給付の責任を免れます</span>。 &nbsp; <h3>第三者行為求償事務の例</h3>  以下に、第1号被保険者と第三者(加害者)と市町村の関係について、簡単な例をあげてみます。 <span class="bold">例)</span>A市に第1号被保険者のアさんが住んでいました(アさんの保険者はA市ということです)。  ある日、アさんは、イさんの運転する車にはねられました。それによって、アさんは要介護状態となりました。 <div class="indent"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">パターン1</span></div> <div class="indent">・要介護者アさんに対して、A市が10万円の保険給付をしました。</div> <div class="indent">・A市は、加害者イさんに対して10万円を請求(損害賠償請求)し、加害者イさんはそれを支払いました。</div>  このように、要介護者アさんにA市が保険給付をしたら、その分をA市が加害者イさんに請求(損害賠償請求)します。これが「第三者行為への損害賠償請求権の取得」です。 <div class="indent"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">パターン2</span></div> <div class="indent">・保険給付の前に、要介護者アさんに対して、加害者イさんが損害賠償として7万円を支払いました。</div> <div class="indent">・A市は、要介護者アさんに対して3万円の保険給付をしました。</div> <div class="indent">・A市は、加害者イさんに対して3万円を請求(損害賠償請求)し、加害者イさんはそれを支払いました。</div>  このように、保険給付の前に要介護者アさんに対して加害者イさんが支払った金額(7万円)の分は、保険給付されません。もし、A市が10万円を保険給付してしまったら、要介護者アさんが受け取る合計が17万円になり、必要以上となってしまうからです。  これが「保険給付の前に、第三者から損害賠償を受けた場合は、市町村はその賠償額を限度として保険給付の責任を免れる」ということです。

国保連の苦情処理と介護保険審査会の不服審査は、どう違うのですか?

国保連が行う苦情処理 → サービスについての苦情処理  これは、“事業者・施設が提供したサービス”についての苦情に関する処理です。  たとえば、利用者が訪問介護を利用して、「事前の説明と、サービス内容が違う」、「利用していない分まで費用請求された」という場合は、その苦情を国保連に対して申し立てて、それを国保連が処理します。 &nbsp; <h3>介護保険審査会が行う不服審査 → 市町村の行政処分についての不服審査</h3>  これは、“市町村が行う行政処分”に対する不服についての審査です。  たとえば、被保険者が認定の申請を行い、市町村が出した結果が「自立(非該当)」で、それに納得できない場合は、介護保険審査会に対して不服申立てをして、それについて介護保険審査会が審査を行います。

公益代表委員とは、どういう人ですか?

 介護保険審査会の委員については、厚生労働省の通知「介護保険審査会委員の選任等について」に、次のような内容があります。 &nbsp;  審査会委員の任命に当たっては以下の事項に留意する。 <div class="indent"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">被保険者代表委員</span></div> <div class="indent">・保険者の役員又は職員でない被保険者であること。</div> <div class="indent">・第二号被保険者のみで構成されないこと。</div> <div> なお、委員を選定するにあたっては必ずしも公募の必要はないこととする。</div> <div class="information">  被保険者代表委員の選定は、多くの介護保険審査会で、関係団体(たとえば老人クラブ連合会、民生委員児童委員協議会など)からの推薦を受けた人(その老人クラブ連合会、民生委員児童委員協議会などに所属する被保険者)を都道府県知事が任命する、というようにしているようです。 </div> <div class="indent"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">市町村代表委員</span></div> ・なるべく各市町村の長、広域連合の長等保険者の代表をもってこれに充てること。</div> <div class="information">  保険者の職員がなる場合もあり得ると言えます。 </div> <div class="indent"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">公益代表委員</span></div> <div class="indent">・専門調査員を置かない都道府県にあっては、要介護認定処分に関する合議体一つにつき最低1名は、保健医療福祉の学識経験者を置くことが望ましい。</div> <div class="indent">・法曹関係者、行政経験者等紛争解決について見識のある者を各合議体につき最低1名は置くこと。</div> <div class="information">  たとえば、福祉系の大学教授や弁護士などです。 </div> &nbsp;  なお「公益」とは、言い換えれば「おおやけの利益」あるいは「多数の人の利益」のことです。したがって、公益代表委員とは、お金のやり取りや何らかの権利義務関係とは縁のない人、取り扱う問題について自分の利益ぬきで考えることのできる人のことです。  ちなみに、「公益」の反対語は「私益」で、これは個人の利益のことです。

居宅サービス計画に位置づける必要があるのは、どのサービスですか?

 居宅サービス計画に位置づける必要があるのは、居宅サービス・地域密着型サービスのうち、区分支給限度基準額が定められているサービスを現物給付で利用する場合です。 &nbsp; <h3>区分支給限度基準額の定められているサービスを現物給付で利用する場合に居宅サービス計画を作成する</h3>  居宅サービス計画を作成する大きな目的のひとつは、居宅の利用者が区分支給限度基準額の定められているサービスを組み合わせて現物給付で利用する際に、費用合計が上限を超えないよう管理することです。もし、区分支給限度基準額の定められているサービスを、計画しないまま現物給付で利用してしまうと、上限を超えてしまうことが容易に考えられるからです。つまり、区分支給限度基準額の定められているサービスを現物給付で利用する場合に、費用管理のために居宅サービス計画を作成して、そこに位置づける、ということです。 ※このことは、介護予防サービス計画でも同様です。  こうしたことから、区分支給限度基準額が設定されているサービスについては、居宅サービス計画・介護予防サービス計画に位置づけることが現物給付の要件のひとつとされています(2021ユーキャン速習レッスンP73、九訂基本テキスト上巻P102)。 &nbsp; <h3>区分支給限度基準額が設定されていないサービスは、居宅サービス計画に位置づけなくてもよい</h3>  上記のような居宅サービス計画の意義からして、区分支給限度基準額が設定されていないサービスについては、居宅サービス計画への位置づけは不要となります。具体的には、個別に支給限度基準額が設定されている特定福祉用具販売と住宅改修、支給限度基準額が設定されていないサービスです(2021ユーキャン速習レッスンP83・P84、九訂基本テキスト上巻P九訂基本テキスト上巻P98~P100)。 <div class="indent">※区分支給限度基準額の定められているサービスを現物給付で利用して居宅サービス計画を作成していて、特定福祉用具販売も利用する場合は、特定福祉用具販売についても居宅サービス計画に記入します(2021ユーキャン速習レッスンP157、九訂基本テキスト上巻P331)。</div> &nbsp; <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/48">https://caremane.site/48</a>

生活援助を位置づける場合に、居宅サービス計画を市町村に提出するのはなぜですか?

<span class="qa">A</span> 生活援助中心型の不必要な利用をなくすため  介護保険は基本的に、利用者に介護や機能訓練などのサービスを提供することが目的です。  ただし、訪問介護の生活援助中心型では、掃除、洗濯、買い物、調理などの家事を行います。もちろん、それが必要となるケースもありますが、そればかりになってしまうと介護保険の基本的な目的には沿いません。  こうしたことを考慮し、生活援助中心型の不必要な利用をなくすために、厚生労働大臣によって基準となる回数が設定されていて、それより多くなる場合には市町村長に届け出ることとされています。  また、生活援助中心型は、一人暮らしか、同居家族に疾病や障害がある場合、または同様のやむを得ない事情がある場合に限って提供されることになっています(2021ユーキャン速習レッスンP354、九訂基本テキスト上巻P430)。  この必要な理由を記入する欄として、「居宅サービス計画書(1)」の「生活援助中心型の算定理由」欄があります(2021ユーキャン速習レッスンP152、九訂基本テキスト上巻P283)。

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