介護支援一覧

「居宅サービス」と「居宅介護支援」は、どう違うのですか?

「居宅サービス」は、12種類のサービスの総称  居宅サービスは、以下のサービスの総称です。 <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>訪問介護</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>訪問入浴介護</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>訪問看護</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>訪問リハビリテーション</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>居宅療養管理指導</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>短期入所生活介護</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>短期入所療養介護</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>通所介護</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>通所リハビリテーション</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>特定施設入居者生活介護</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>特定福祉用具販売</div> <div class="indentmaru2"><span class="maru">●</span>福祉用具貸与</div>  地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス、地域密着型介護予防サービスも、同様に総称です。 &nbsp; <h3>「居宅介護支援」は、在宅の要介護者に対する課題分析や計画作成などのサービス</h3>  居宅介護支援は、在宅の要介護者に対して、課題分析、事業者や関係機関などとの連絡調整、居宅サービス計画の作成、モニタリングなどを行うサービスです(2019ユーキャン速習レッスンP68、九訂基本テキスト上巻P90)。

特例サービス費の「特例」とは、どういうことですか?

この「特例」は、現物給付の要件を満たしていない場合のこと  特例サービス費(「特例◯◯介護サービス費」というように「特例」と付くもの)の「特例」は、「通常の場合があって、特例の場合もある」ということです。 &nbsp; <h3>通常は現物給付の要件を満たして、現物給付で利用する</h3>  たとえば、訪問介護を利用する場合、通常は「現物給付の要件」を満たして、現物給付での利用となります。 <span class="shikaku">■</span><span class="bold">現物給付の要件</span> <span class="maru">●</span>指定を受けた事業者・施設から指定サービスを受けること。 <span class="maru">●</span>認定の申請後にサービスを受けていること。 <span class="maru">●</span>サービスを受ける際に被保険者証を提示すること。 <span class="maru">●</span>区分支給限度基準が設定されているサービスについては、市町村に居宅介護支援・介護予防支援を受ける旨を届け出るか、利用者が自分で作成した居宅サービス計画・介護予防サービス計画を市町村に届け出ること。 <span class="maru">●</span>居宅介護サービス計画費・介護予防サービス計画費については、市町村に居宅介護支援・介護予防支援を受ける旨を届け出ること。 &nbsp; <h3>現物給付の要件を満たしていない場合は、特例サービス費が償還払いで給付される</h3>  上記の現物給付の要件を満たしていない場合は、「特例」ということで、利用した訪問介護について「特例居宅介護サービス費」が償還払いで給付されます。 <span class="shikaku">■</span><span class="bold">特例サービス費となる場合</span> ※「現物給付の要件」を満たしていない場合 <span class="maru">●</span>基準該当サービス・離島などでの相当サービスを受けた場合(指定を受けた事業者・施設ではない、ということ)。 <span class="maru">●</span>認定の申請前に、緊急的にサービスを受けた場合。 <span class="maru">●</span>緊急やむを得ない理由で、被保険者証を提示しないでサービスを受けた場合。 &nbsp; <h3>初めから償還払いとされているサービスには「特例サービス費」はない</h3>  上記のように、基本的に現物給付で利用するサービスには、(現物給付の要件を満たしていない場合のことも考えて)償還払いで給付される「特例サービス費」が設定されている、と言うことができます。  逆に言うと、初めから償還払いとされている福祉用具購入費、住宅改修費、高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費には、「特例サービス費」は設定されていない、ということです。

居宅介護支援と介護予防支援について、10割が保険給付されるのはなぜですか?

 居宅介護支援・介護予防支援のサービス内容は、利用者にアセスメントを実施し、ニーズを把握して、サービス計画を作成し、その後の経過をモニタリングする、というものです。これによって、サービスが総合的・一体的に提供されることになりますので、居宅介護支援と介護予防支援は介護保険制度において非常に重要なサービスと言えます。  サービス計画の作成は、利用者が自分で行うこともできます。しかし、上記のような居宅介護支援・介護予防支援の機能を活用するため、これらについては10割(全額)を給付し(利用者負担は0円とし)、その利用を促進しています。

おむつ代が保険給付されるサービス・自己負担になるサービスは、どう区別したらいいですか?

 おむつ代が保険給付の対象になるサービスのうち、施設サービスと地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、そこに“居住”して利用するサービスです。短期入所サービスは“滞在”して利用するサービスです。ですので「利用者がそこに居住または滞在する」ということがポイントと言えます。 <div class="information">泊まる日数が短い場合は「宿泊」、ある程度長く泊まる場合は「滞在」と言います。そこに住む場合は「居住」になります。 <div class="midashisanshyo"><span class="sanshyo">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/51">https://caremane.site/51</a> </div> &nbsp;  居住して利用するサービスには、(介護予防)特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護もありますが、これらの事業所は介護保険において「居宅」とされています。 <div class="information">有料老人ホームなどの特定施設は、高齢者が自ら費用を負担して選択した<span class="bold">居宅</span>という扱いです。(介護予防)認知症対応型共同生活介護の事業所は、民家やアパートなどの住居であり、やはり<span class="bold">居宅</span>とされています。</div> &nbsp;  また、(介護予防)小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護の宿泊サービスは、短い日数を想定しています。  こうしたことから、おむつ代が保険給付されるのは、「居宅ではなくて、利用者がそこに居住または滞在して利用するサービス」というように言えます。 。

居住費、滞在費、宿泊費は、どのように違うのですか?

 泊まる日数が短い場合は「宿泊」、ある程度長く泊まる場合は「滞在」と言います。そこに住む場合は「居住」になります。 看護小規模多機能型居宅介護と小規模多機能型居宅介護の宿泊サービス → 宿泊費  看護小規模多機能型居宅介護と小規模多機能型居宅介護の宿泊サービスは、泊まる日数が短いことを想定していて、その費用は「宿泊費」になります。 &nbsp; <h3>短期入所生活介護と短期入所療養介護 → 滞在費</h3>  短期入所生活介護と短期入所療養介護は、ある程度長く泊まることを想定していて、その費用は「滞在費」になります。 &nbsp; <h3>施設サービスと地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 → 居住費</h3>  施設サービスと地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、利用者がそこに住んで利用するサービスなので、「居住費」になります。

高額介護サービス費の対象に、特定福祉用具販売と住宅改修が含まれないのはなぜですか?

<span class="qa">A</span> 特定福祉用具販売と住宅改修では、利用者負担が継続して発生しない  特定福祉用具販売と住宅改修の利用者負担は、高額介護サービス費の対象外とされています。この理由を知るには、対象になっている他のサービスとの違いを理解すると良いでしょう。 &nbsp; <h3>高額介護サービス費の対象サービスは利用者負担が継続して発生する</h3>  たとえば、訪問介護や通所介護などは、「毎週月曜日に訪問介護を利用し、水曜日に通所介護を利用する」というように、継続・反復して利用します。ですので、利用者負担も継続して発生します。これらは、高額介護サービス費の対象です。 &nbsp; <h3>特定福祉用具販売と住宅改修は利用者負担が一時的</h3>  しかし、特定福祉用具販売は、利用者がいったん全額を負担して特定福祉用具を購入し、保険給付分の金額(原則9割)を償還払いで受け取って、それで終わります。  住宅改修費も同じで、利用者がいったん全額を負担して住宅改修を行い、保険給付分の金額(原則9割)を償還払いで受け取って、それで終わります。  つまり、これらは継続して利用するサービスではない(利用者負担が継続して発生するものではない。利用者の経済的な負担は一時的なもの)、ということです。  こうしたことを考慮して、高額介護サービス費の対象外とされているようです。

高額介護サービス費は、支給限度基準額を超えた分にも適用されますか?

 支給限度基準額を超えて全額が利用者負担となった分は、高額介護サービス費の対象外とされています。もし、その分が高額介護サービス費として償還払いで給付されたら、支給限度基準額の意味がなくなってしまいます。 &nbsp; <h2>高額介護サービス費は、支給限度基準額の範囲内の利用であっても給付されることがある</h2>  高額介護サービス費とは、利用者が支払った自己負担額(原則1割)が、定められた上限額(この記事の最後の表参照)を超えた場合に、超えた分が払い戻される、というものです。そして、支給限度基準額の範囲内の利用であっても、高額介護サービス費が給付されることはあります。簡単な例をあげてみます。 <span class="bold">例)</span>夫婦が2人で暮らしていて、2人とも利用者負担は1割で、要介護5(区分支給限度基準額は36,217単位)です。1単位あたりの単価は10円、高額介護サービス費の上限は世帯で44,400円です。  ある月に、夫は30,000単位分のサービスを利用して、サービス費用は30,000単位×10円=30万円、利用者負担額は3万円でした。  同月に、妻は20,000単位分のサービスを利用して、サービス費用は20,000単位×10円=20万円、利用者負担額は2万円でした。  夫婦ともに、区分支給限度基準額の範囲内の利用です。  すると、この月の世帯の負担額は、夫と妻の利用者負担額の合計5万円となります。この5万円は、高額介護サービス費の世帯の上限である44,400円を超えているので、超えた分の5,600円が高額介護サービス費として払い戻されます。  この例のように一つの世帯に要介護者が何人もいる場合は、世帯としての利用者負担が大きくなって、その世帯の家計が苦しくなってしまいます。それを軽減するために高額介護サービス費が給付されます。 &nbsp; <h2>高額介護サービス費・高額介護予防サービス費の所得区分ごとの負担上限額</h2>  これは、次のようになっています。 <table> <caption>高額介護サービス費・高額介護予防サービス費の所得区分ごとの上限額(2021〔令和3〕年8月1日~)</caption> <col width="5%"> <col width="25%"> <col width=""> <col width="25%"> <tr><td class="t-style2" colspan="3">所得区分</td> <td class="t-style2">上限額(月額)</td> </tr> <tr> <td colspan="2" rowspan="3">現役並みの所得(本人の課税所得が145万円〔年収約383万円、単身者の場合〕)がある場合</td> <td>課税所得約690万円(年収約1,160万円)以上</td> <td>世帯 140,100円</td> </tr> <tr> <td>課税所得約380万円(年収約770万円)以上~課税所得約690万円(年収約1,160万円)未満</td> <td>世帯 93,000円</td> </tr> <tr> <td>課税所得約145万円(年収約383万円)以上~課税所得約380万円(年収約770万円)未満</td> <td>世帯 44,400円</td> </tr> <tr> <td colspan="3">一般世帯</td> <td>世帯 44,400円</div> </td> </tr> <tr> <td colspan="3"><div class="indent">・市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入と所得額の合計が80万円を超える人</div> <div class="indent">・負担を24,600円に減額することにより被保護者とならない場合</div></td> <td>世帯 24,600円</td> </tr> <tr> <td style="border-style:hidden solid solid solid;"></td> <td colspan="2"><div class="indent">・市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入と所得額の合計が80万円以下の人</div> <div class="indent">・市町村民税世帯非課税の、老齢福祉年金受給者</div></td> <td>世帯 24,600円 個人 15,000円</td> </tr> <tr> <td colspan="3"><div class="indent">・生活保護受給者</div> <div class="indent">・負担を15,000円に減額することにより被保護者とならない場合</div></td> <td>世帯 15,000円 個人 15,000円</td> </tr> </table> <br> <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/2360">https://caremane.site/2360</a>

生活保護と高額介護サービス費との関係は、どのようになるのですか?

高額介護サービス費の現物給付化が行われる  生活保護受給者に対して、高額介護サービス費が直接的に給付されることはありません。高額介護サービス費との関係は、次のようになります。  生活保護受給者が介護サービスを利用して、その費用の1割が高額介護サービス費の上限額を超えた場合、その超えた分については、国保連において保険請求分への振り替え処理が行われます。簡単な例をあげて考えてみます。 <span class="bold">例)</span>生活保護受給者が、A事業者の介護サービスを20万円分利用しました。この場合、9割である18万円が介護保険から給付され、2万円が生活保護の介護扶助から給付されます。  これについて、A事業者は国保連に請求します。この請求書では、介護保険への請求(市町村への請求)は18万円、生活保護の介護扶助への請求(福祉事務所への請求)は2万円です。国保連は、A事業者に20万円を支払います。  そして、この2万円は、生活保護受給者の高額介護サービス費の上限額1万5,000円を超えています。超えた分である5,000円について、国保連は介護保険への請求に振り替えます。ですので、国保連は市町村に18万5,000円を請求して、福祉事務所へ1万5,000円を請求することになります。生活保護受給者への高額介護サービス費の支給はありません。  ただ、上記の振り替え処理によって、高額介護サービス費の上限額を超えた分は、生活保護受給者へのサービス費用になっていることになります。ですので、この処理を「高額介護サービス費の現物給付化」という言い方をします。 &nbsp; <table> <caption>高額介護サービス費・高額介護予防サービス費の所得区分ごとの上限額(2021〔令和3〕年8月1日~)</caption> <col width="5%"> <col width="25%"> <col width=""> <col width="25%"> <tr><td class="t-style2" colspan="3">所得区分</td> <td class="t-style2">上限額(月額)</td> </tr> <tr> <td colspan="2" rowspan="3">現役並みの所得(本人の課税所得が145万円〔年収約383万円、単身者の場合〕)がある場合</td> <td>課税所得約690万円(年収約1,160万円)以上</td> <td>世帯 140,100円</td> </tr> <tr> <td>課税所得約380万円(年収約770万円)以上~課税所得約690万円(年収約1,160万円)未満</td> <td>世帯 93,000円</td> </tr> <tr> <td>課税所得約145万円(年収約383万円)以上~課税所得約380万円(年収約770万円)未満</td> <td>世帯 44,400円</td> </tr> <tr> <td colspan="3">一般世帯</td> <td>世帯 44,400円</div> </td> </tr> <tr> <td colspan="3"><div class="indent">・市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入と所得額の合計が80万円を超える人</div> <div class="indent">・負担を24,600円に減額することにより被保護者とならない場合</div></td> <td>世帯 24,600円</td> </tr> <tr> <td style="border-style:hidden solid solid solid;"></td> <td colspan="2"><div class="indent">・市町村民税世帯非課税で、公的年金等収入と所得額の合計が80万円以下の人</div> <div class="indent">・市町村民税世帯非課税の、老齢福祉年金受給者</div></td> <td>世帯 24,600円 個人 15,000円</td> </tr> <tr> <td colspan="3"><div class="indent">・生活保護受給者</div> <div class="indent">・負担を15,000円に減額することにより被保護者とならない場合</div></td> <td>世帯 15,000円 個人 15,000円</td> </tr> </table> <br> <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/50">https://caremane.site/50</a> &nbsp; <div class="information"> <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>ケアマネ試験対策『一問一答』はこちら</div> <a href="https://caremane.site/2431">https://caremane.site/2431</a> </div>

高額医療合算介護サービス費の給付額は、どのように計算されるのですか?

A 高額医療合算介護サービス費の給付額の計算の仕方とは  まず、介護保険を利用して、その利用者負担の1か月の額が一定額を超えた場合、超えた分が介護保険から「高額介護サービス費」として払い戻されます(償還払いで給付されます)。  これと同じような仕組みとして、医療保険には「高額療養費」があります。ですので、医療保険を利用して、その利用者負担(患者負担)の額が一定額を超えた場合、超えた分が医療保険から「高額療養費」として払い戻されます。  これら介護保険の高額介護サービス費と医療保険の高額療養費の適用を受け、その払い戻された金額を除いて考えて、介護保険と医療保険の利用者負担の<span class="bold">1年間</span>の合計が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻されます。  このとき、介護保険から給付される分の名称が<span class="bold">高額医療合算介護サービス費</span>です。医療保険から給付される分の名称は「高額介護合算療養費」といいます。どちらからいくら給付されるかは、介護保険と医療保険の負担の割合に応じて決まります。  これについて、簡単な例をあげて考えてみます。 <span class="bold">例)</span>要介護者アさんは、介護保険の利用者負担の割合が1割、高額介護サービス費における1か月の上限額は24,600円です。そして、アさんは1か月に36万円分のサービスを利用しています。  この場合、アさん利用者負担の金額は1か月に36,000円です。これは、上限額24,600円を超えているので、超えた分の11,400円が高額介護サービス費として償還払いで給付されます。これによって、結果的にアさんが1か月に負担した金額は24,600円になります。  これが1年間(12か月)だと、24,600円×12か月=295,200円になります。  同じ考え方で、医療保険における1年間の利用者負担(患者負担)の額を算出します(前述のように、介護保険の高額介護サービス費と同じ仕組みとして、医療保険には高額療養費があります)。 &nbsp;  このようにして算出した、介護保険での1年間の利用者負担の額(上記の例の295,200円)と、医療保険における1年間の利用者負担の額を合計します。これが「要介護者が1年間に支払った介護サービスの利用者負担額と、各医療保険における利用者負担額の合計額(高額介護サービス費、医療保険の高額療養費等が受けられる場合は、それらの適用を受けたうえでの額)」になります。  この額が一定の上限額を超えた場合に、超えた分が介護保険から高額医療合算介護サービス費として払い戻されます(医療保険からは「高額介護合算療養費」が払い戻されます)。

介護報酬の算定で「実際のサービス価格が介護報酬の額より低かった場合は、実際の値段に応じた額が支払われる」とは、どういうことですか?

 「実際のサービス価格が介護報酬の額より低かった場合」というのは、より具体的には「サービス料金の割引をして、通常よりも安く提供している」ということです。この場合、割引して安くした額の9割(または8割)が保険給付され、残り1割(または2割)が利用者負担になります。  これについて、通常の場合と比較して例をあげて考えてみます。 <span class="maru">●</span><span class="bold">例1)通常の場合</span>  アさんの利用者負担割合は1割で、9割が保険給付されます。そして、アさんに対して、A事業者が訪問介護を1,000単位分提供しました。1単位は10円です。  この場合、サービスの費用総額は、1,000単位×10円=1万円になります。  A事業者は1万円×90%=9,000円を国保連へ請求し、国保連から支払われます。  残りの1,000円が、利用者負担額になります。 <span class="maru">●</span><span class="bold">例2)割引をしている場合</span>  イさんの利用者負担は1割で、9割が保険給付されます。そして、B事業者では訪問介護を5%の割引料金で提供しています。ですので、通常なら1,000単位のところが、950単位になります。これを、イさんに提供しました。1単位は10円です。  この場合、サービスの費用総額は、950単位×10円=9,500円になります。  B事業者は9,500円×90%=8,550円を国保連へ請求し、国保連から支払われます。  残りの950円が利用者負担額になります。  この「例2」が「実際のサービス価格が介護報酬の額より低かった場合は、実際の値段に応じた額が支払われる」ということです。  なお、割引の設定は、事業所ごと・サービス種類ごとに「厚生労働大臣が定める基準」の単位数に対し、割引率(%)で設定することとされています。 &nbsp; <h2>割引は福祉系サービスで可能、医療系サービスでは不可</h2>  割引は、福祉系サービスに認められており、医療系サービスについては認められません。  これは、訪問看護などの医療系サービスは、全国統一単価である診療報酬と一般的に価格差を設けることはないものと考えられる、ということです。 &nbsp; <h2>割引の目的は、価格競争を可能にし、繁忙・閑散時の格差を少なくするため</h2>  割引が可能とされているのには、次のような目的があります。 <span class="maru">●</span>価格競争を可能にすることで、利用者の負担や、保険給付を行う市町村の負担を減らす。 <span class="maru">●</span>平日の昼間や夜間など利用の少ない時間帯に割引を設定することで、繁忙・閑散時の格差を少なくする。 &nbsp; <h2>割引をするかは、事業者が判断する</h2>  割引をするかどうかは、その事業者が自分で決めることができます。  たとえば「C事業者は、他の事業者との競争力をつけるために、サービスの料金を安くする」、「D事業者は平日の昼間が暇なので、その時間帯の料金を安くして、利用者の獲得を目指す」というようになります。 &nbsp; <h2>割引を実施するには要件がある</h2>  割引を実施する際には、次の要件を満たす必要があります。 <span class="maru">●</span>割引が合理的であること。 <span class="maru">●</span>特定の者に対し不当な差別的取扱いをしたり、利用者の二一ズに応じた選択を不当に歪めたりするものでないこと。 <span class="maru">●</span>居宅介護支援事業所における給付管理を過度に複雑にしないこと。 &nbsp; <h2>事前に都道府県への届け出が必要</h2>  サービスの費用額は、利用者や居宅介護支援事業者が居宅サービス計画を作成する際に必要で、大切な情報です。そのため、事業者が割引を実施する場合は、その旨を事前に都道府県へ届け出る必要があります。  届出を受けた都道府県は、割引の実施についてWAM NETへ掲載するなどして、周知を図る必要があることとされています。

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