事業者・施設一覧

事業者・施設の指定・監督について、都道府県知事と市町村長のどちらが行うかは、どう覚えたらいいですか?

市町村と“地域”を関連させて覚える  これについて、たとえば「市町村長が指定するのは『地域密着型』と、ケアマネジメントを行う事業者(居宅介護支援事業者、介護予防支援事業者)で、それ以外は都道府県知事」というように捉えると良いでしょう。  さらに「地域密着型」「居宅介護支援事業者」「介護予防支援事業者」と市町村・地域を関連させると、より理解が深まります。 &nbsp; <h4>「地域密着型」は地域に密着 → 住民に近い「市町村長」</h4>  「地域密着型」のサービスは、文字どおり、その地域に密着したものです。そのため、都道府県よりも住民に近い存在である市町村長が指定を行います。 &nbsp; <h4>居宅介護支援事業者と介護予防支援事業者はケアマネジメントを行って、地域のサービスを活用する → 住民に近い「市町村長」</h4>  居宅介護支援事業者と介護予防支援事業者は利用者に対してケアマネジメントを行い、利用者のニーズに応じた居宅サービス計画または介護予防サービス計画を作成します。この計画の作成においては、その地域のサービスを活用します。そのため、より住民に近い存在である市町村長が指定を行います。

介護老人保健施設と介護医療院だけが「許可」で、他は「指定」となっているのは、どうしてですか?

<h3>介護老人保健施設と介護医療院は、設置根拠の法律が介護保険法だから</h3>  介護保険制度において、サービスを行う事業者や施設は、都道府県知事・市町村長の指定または許可を受ける必要があります。「許可」とされているのは介護老人保健施設と介護医療院だけです。これは、介護老人保健施設と介護医療院は、設置根拠となる法律が介護保険法だからです。  このことについて、他の介護保険施設と比べる形で見てみます。 &nbsp; <h4>介護老人福祉施設 → 老人福祉法が設置根拠</h4>  老人福祉法を設置根拠とし、同法によって設置認可を得た定員30人以上の特別養護老人ホームが、介護保険法による指定を受けて介護老人福祉施設となります。 &nbsp; <h4>介護療養型医療施設 → 医療法が設置根拠</h4>  医療法を設置根拠とし、同法によって開設許可を得た療養病床をもつ病院・診療所、老人性認知症疾患療養病棟をもつ病院が、介護保険法による指定を受けて介護療養型医療施設となります。 &nbsp; <h4>介護老人保健施設と介護医療院 → 介護保険法が設置根拠</h4>  設置根拠は介護保険法です。介護保険法における開設許可を受けます。  このように、介護老人福祉施設と介護療養型医療施設は、元の形における設置根拠が他の法律にあり、それを介護保険法に基づいて指定しています。しかし、介護老人保健施設と介護医療院は設置根拠が介護保険法です。そのため他の施設とは扱いが異なり「許可」を受けるのみ、となっています。

介護療養型医療施設が廃止されるのは、どうしてですか?

 介護療養型医療施設は、介護とともに医療も必要な高齢者が利用するためのものです。そして介護療養型医療施設は、介護老人福祉施設や介護老人保健施設と比べて医師や看護師の数が多いため、その分、利用者1人あたりの費用が高くなります。 &nbsp; <h3>入所者の中には医療がほぼ必要ない人もいて、本来の目的が果たされていない</h3>  しかし、介護療養型医療施設の利用者の実態調査結果によると、医療の提供がほとんど必要ない人や、看護師の定時観察だけで済む人がたくさんいることがわかっています。つまり「介護とともに医療を提供する」という本来の目的が果たされておらず、費用だけが無駄に高くなっているということです。  また、医療保険から報酬が支払われる療養病床との違いがよくわからないという指摘もあります。 &nbsp; <h3>介護保険と医療保険の区別を明確に</h3>  上記のようなことから、介護が必要な人は介護保険適用の施設に入所してもらい、医療が必要な人は医療保険適用の病院に入院してもらう、という区別を明確にしようという意見が出ました。こうして、介護療養型医療施設を廃止する方針が固まりました。 &nbsp; <h2>介護老人保健施設・介護医療院へ転換</h2>  この廃止を受けて、介護療養型医療施設は他の施設へ転換することが促されています。そのために、介護療養型医療施設が転換した形態として「介護療養型老人保健施設」や「介護医療院」が創設されています(2021ユーキャン速習レッスンP324・P330、九訂基本テキスト上巻P142・P716・P726)。  ですので、介護療養型医療施設の廃止後は、介護療養型老人保健施設または介護医療院へと転換して、サービスを提供することが可能になります。

「事業者」と「事業所」は、どのように違うのですか?

 「事業者」と「事業所」は、次のように観点が異なります。 <span class="maru">●</span><span class="bold">事業者</span>……「<span class="marker-under bold">サービスの提供主体はだれか</span>」という観点。 <span class="maru">●</span><span class="bold">事業所</span>……「<span class="marker-under bold">場所はどこか</span>」という観点。  これについて、以下に簡単な例をあげてみます。 例)訪問介護を行う会社のA社とB社があります。A社には1丁目支店と2丁目支店という、2つの支店があります。B社には、3丁目支店、4丁目支店、5丁目支店という、3つの支店があります。  要介護者アさんは、A社の1丁目支店による訪問介護を利用しました。  要介護者イさんは、B社の5丁目支店による訪問介護を利用しました。  この場合、A社とB社は、別の事業者です。  A社の1丁目支店と2丁目支店は、A社の別の事業所です。  B社の、3丁目支店、4丁目支店、5丁目支店は、B社の別の事業所です。  これについて、「要介護者アさんが利用した訪問介護の事業者は?(サービスの提供主体はだれか?)」と聞かれた場合、答えは「A社」になります。  「A社の、どこの事業所か?(場所はどこか?)」と聞かれたら、答えは「A社の1丁目支店」になります。  同様に「要介護者イさんが利用した訪問介護の事業者は?(サービスの提供主体はだれか?)」と聞かれた場合、答えは「B社」になります。  「B社の、どこの事業所か?(場所はどこか?)」と聞かれたら、答えは「B社の5丁目支店」になります。

「指定は、サービスの種類ごと、事業所ごとに行われる」とは、どういうことですか?

以下に簡単な例をあげてみます。 例)訪問介護を行う会社のA社があります。この場合、事業者はA社です。  A社には1丁目支店と、2丁目支店という、2つの支店があります。この場合、1丁目支店と2丁目支店は別の事業所です。  「事業所ごとに指定を受ける」というのは、1丁目支店、2丁目支店で、それぞれ訪問介護事業者としての指定を受ける必要があるということです。  さらに、1丁目支店では、訪問入浴介護も提供することになったとします。この場合、1丁目支店では、訪問介護の指定とは別に、訪問入浴介護の指定も受ける必要があります。これが「サービスの種類ごとに指定を受ける」ということです。

地域密着型サービス事業者の公募指定の目的や仕組みは、どのようなものですか?

公募して選ぶことで、サービスの見込み量を確保し、質の向上を目指す <br> <h3>公募指定の目的</h3>  原則としては、指定は申請に基づいて行われます。ただし、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護については、市町村長は期間を定めて、<span class="bold">公募</span>による指定を行うことができます。公募を行う意義は、次のようなものです。  定期巡回・随時対応型訪問看護介護などの公募指定は、たとえば市町村が「ひとつの区域で、1事業者」というように募集します。これに事業者が応募して、市町村が選考し、事業者を決定します。  このようにすることで、<span class="bold">見込み量を確保する</span>(事業者が増えすぎるのを防止して、事業者数を適正にする)ことができます。  また、応募してきたいくつかの事業者の中から選考しますので、より良い事業者が選ばれることになり、したがって<span class="bold">サービスの質が向上する</span>と言えます。  この「見込み量の確保」と「サービスの質が向上」が、公募による指定の目的です。 &nbsp; <h3>公募指定の仕組み</h3>  公募指定にあたっては、<span class="bold">厚生労働省令に定める基準</span>に従って、公正な方法で選考して事業者を決定することとされています。  公募指定の有効期間は、「指定の日から、<span class="bold">6年</span>を超えない範囲内で市町村長が定める期間」とされています。 <div class="information"><span class="bold">公募指定についての「厚生労働省令に定める基準」</span>  この基準の内容は、次のようなものです。 1.市町村長は、選考基準を設け、当該基準を公表するとともに、当該基準に基づいて選考をし、指定地域密着型サービス事業者を決定すること。 2.市町村長は、公募を行う旨を公報又は広報紙への掲載、インターネットの利用その他適切な方法により周知すること。 3.市町村長は、応募の受付期間を十分に確保すること。 4.市町村長は、選考の結果、指定地域密着型サービス事業者を決定しなかったときは、当該選考後一定期間内に再度公募を行うこと。  この内容は、地域によって変わる性質のものではないので、厚生労働省令で定めて、全国一律で適用されます。 </div>

指定を受けるためには「申請者が法人であること」とされていますが、「法人」とはどういうことですか?

法人とは、法律に基づいて「権利・義務についての能力」(=人格)が与えられた団体  一定の目的のために結合した人の集団があって、その規模や活動などが大きくなってくると、財産所有や契約などの法律行為を個人の責任ではなく、団体としての責任で処理できるようにした方が便利で、実態に合うようになります。そのような場合には、法律に基づいた一定の手続きを取ることによって、団体に権利・義務についての能力が与えられます。  この、法律に基づいて団体に与えられる「権利・義務についての能力」(=人格)を、「法人格」といい、法人格が与えられた団体のことを「法人」といいます。  ちなみに、一般的な会社は法人であり、会社として何かを購入したり、契約を結んだりします。法人格がない場合は「個人経営」ということになります。

病院・診療所が指定を受ける際に、法人でなくてもよいサービスがありますが、それはなぜですか?

個人経営の病院・診療所・薬局には、介護保険の開始前からサービスを提供してきた実績があるため  介護保険の指定を受けるためには、基本的には「法人」である必要があります。  ただし、例外があります。病院・診療所が(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、(介護予防)通所リハビリテーション、(介護予防)居宅療養管理指導、(介護予防)短期入所療養介護を提供する場合、また薬局が(介護予防)居宅療養管理指導を提供する場合は、法人でなくても(個人経営でも)可とされています。  これは、個人経営の病院・診療所・薬局が、介護保険制度の開始前から、同様のサービスを提供してきた実績を踏まえたものです。

地域密着型通所介護の指定をしない場合とは、どういうことですか?

 「市町村長が、地域密着型通所介護の指定をしないことができる」という規定の主旨は「地域密着型通所介護よりも、<span class="bold">定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の普及を促す</span>」というものです。  この「定期巡回・随時対応型訪問介護看護等」というのは、具体的には、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護の3つのことです。これらのサービスは、看護と介護、訪問・通所・宿泊というように、いくつかのサービス内容が組み合わされたものです。近年では「こうした複合的なサービスが効果的」と考えられており、普及が促されています。  そして、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等のうち、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護には通所によるサービスがあり、地域密着型通所介護と内容が重なります。また、利用者が地域密着型通所介護を利用している間は(地域密着型通所介護の事業所に行っている間は)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は当然利用できません。ですので、地域密着型通所介護の事業所が増えすぎてしまうと、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の利用が進まなくなるおそれがあります。  こうしたことから、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の普及のために、市町村長は地域密着型通所介護の指定をしないことができる、とされています。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の指定について、市町村長は都道府県知事に必要な協議を求めることができるというのは、どういうことですか?

<span class="qa">A</span> 定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の普及を促すということ  市町村長は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護(以下、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等)の見込み量を確保するために、都道府県知事が訪問介護、通所介護、短期入所生活介護(以下、訪問介護等)を指定する場合に、必要な<span class="bold">協議</span>を求めることができます。  この規定の目的を簡単に言うと、都道府県知事による訪問介護等の指定よりも、<span class="bold">市町村長による定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の指定を優先する</span>ということです。  定期巡回・随時対応型訪問介護看護等は、看護と介護、訪問・通所・宿泊というように、いくつかのサービス内容が組み合わされたものです。近年では「こうした複合的なサービスが効果的」と考えられており、利用が促されています。  そして、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の内容は、訪問介護等と重なっています。そのため、都道府県知事が訪問介護等の指定をたくさんしてしまうと、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の利用の普及が進まない恐れが出てしまいます。  こうしたことから、市町村長は都道府県知事に協議を求めて、これにより都道府県知事は訪問介護等の<span class="bold">指定をしない</span>という対応か、または、都道府県知事が訪問介護等の指定をする際に<span class="bold">必要な条件</span>(たとえば「規模の小さい(=利用者の少ない)事業所だけ」など)を付けるという対応ができるとされています。

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