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国保連の苦情処理と介護保険審査会の不服審査は、どう違うのですか?

国保連が行う苦情処理 → サービスについての苦情処理  これは、“事業者・施設が提供したサービス”についての苦情に関する処理です。  たとえば、利用者が訪問介護を利用して、「事前の説明と、サービス内容が違う」、「利用していない分まで費用請求された」という場合は、その苦情を国保連に対して申し立てて、それを国保連が処理します。 &nbsp; <h3>介護保険審査会が行う不服審査 → 市町村の行政処分についての不服審査</h3>  これは、“市町村が行う行政処分”に対する不服についての審査です。  たとえば、被保険者が認定の申請を行い、市町村が出した結果が「自立(非該当)」で、それに納得できない場合は、介護保険審査会に対して不服申立てをして、それについて介護保険審査会が審査を行います。

国保連が行う「第三者行為求償事務」とは、どういうものですか?

<h3>第三者行為求償事務の仕組み</h3>  まず、介護保険では市町村が保険者であり、市町村が被保険者に保険給付を行います。  もし、第1号被保険者が交通事故など第三者(加害者)の行為によって介護が必要になり、市町村が第1号被保険者に保険給付をした場合は、市町村は第三者に対し「あなたの責任で保険給付をすることになったのだから、その分を負担してください」ということで、費用を請求します(<span class="bold">第三者行為への損害賠償請求権の取得</span>)。この費用の徴収・収納事務を<span class="bold">第三者行為求償事務</span>といいます。これは、委託を受けた<span class="bold">国保連</span>が行います。 <div class="information"><span class="bold">補足</span>  上記の場合、第1号被保険者は、給付事由が第三者の行為による旨を市町村に届け出ることとされています(介護保険法施行規則第33条の2 ただし、この届出は保険給付等の条件とはされていません)。  第三者行為求償事務の対象となるのは、症状が固定するまでにかかった費用とされています。それ以外については、加害者と被害者の示談になります。 </div> &nbsp;  保険給付の前に、第1号被保険者が第三者から損害賠償を受けた場合は、<span class="bold">市町村はその賠償額を限度として保険給付の責任を免れます</span>。 &nbsp; <h3>第三者行為求償事務の例</h3>  以下に、第1号被保険者と第三者(加害者)と市町村の関係について、簡単な例をあげてみます。 <span class="bold">例)</span>A市に第1号被保険者のアさんが住んでいました(アさんの保険者はA市ということです)。  ある日、アさんは、イさんの運転する車にはねられました。それによって、アさんは要介護状態となりました。 <div class="indent"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">パターン1</span></div> <div class="indent">・要介護者アさんに対して、A市が10万円の保険給付をしました。</div> <div class="indent">・A市は、加害者イさんに対して10万円を請求(損害賠償請求)し、加害者イさんはそれを支払いました。</div>  このように、要介護者アさんにA市が保険給付をしたら、その分をA市が加害者イさんに請求(損害賠償請求)します。これが「第三者行為への損害賠償請求権の取得」です。 <div class="indent"><span class="shikaku">■</span><span class="bold">パターン2</span></div> <div class="indent">・保険給付の前に、要介護者アさんに対して、加害者イさんが損害賠償として7万円を支払いました。</div> <div class="indent">・A市は、要介護者アさんに対して3万円の保険給付をしました。</div> <div class="indent">・A市は、加害者イさんに対して3万円を請求(損害賠償請求)し、加害者イさんはそれを支払いました。</div>  このように、保険給付の前に要介護者アさんに対して加害者イさんが支払った金額(7万円)の分は、保険給付されません。もし、A市が10万円を保険給付してしまったら、要介護者アさんが受け取る合計が17万円になり、必要以上となってしまうからです。  これが「保険給付の前に、第三者から損害賠償を受けた場合は、市町村はその賠償額を限度として保険給付の責任を免れる」ということです。

市町村相互財政安定化事業の詳しい仕組みは、どのようなものですか?

 市町村相互財政安定化事業は、複数の市町村で(より広い範囲で)保険料を設定して、その複数の市町村で財政を安定させましょう、というものです。  たとえば、A市、B市、C市の3市で市町村相互財政安定化事業を実施する場合、3市を1つのまとまりとして考えて、その全体で介護保険に必要な費用がどれくらいになるかを考えます。そして、そのために必要な保険料がどれくらいになるかを考えて、3市全体としての保険料率を設定します。この「複数の市町村全体としての保険料率」を<span class="bold">調整保険料率</span>といいます。  調整保険料率によって、3市すべてにおいて、所得の多い人は保険料が高くなり、所得の少ない人は保険料が低くなります。こうして設定した保険料を徴収して、3市全体として必要な金額を集めます。  ただし、徴収の事務はそれぞれの市が行います。そのため、それぞれの市で考えた場合は、黒字になるところと赤字になるところが出てきます。そして、黒字の市は、赤字の市に費用を交付します。これによって、赤字の市町村の財政不足が解消されることになります。  このような仕組みが、市町村相互財政安定化事業です。

財政安定化基金の詳しい仕組みは、どのようなものですか?

<h3>財源</h3>  財政安定化基金の財源は、国、都道府県、市町村が3分の1ずつ負担します。  市町村が負担する分は、<span class="bold">1号保険料</span>で賄われます。 &nbsp; <div class="information"><span class="bold">1号保険料で賄われるもの</span> ・市町村特別給付 ・保健福祉事業 ・支給限度基準額の上乗せ ・財政安定化基金拠出金 </div> &nbsp; <h3>交付・貸与</h3>  財政安定化基金は市町村に対して、次のように交付と貸与を行います。 <table> <col width="120"> <col width=""> <tr> <td class="t-style1">交付 (3年度目)</td> <td>市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)を通し、通常の努力を行ってもなお保険料収納率が悪化して財政不足が生じた場合に、3年度目に<span class="bold">不足額の2分の1</span>を基準として交付金を交付する(残りの2分の1は「貸付」)。</td> </tr> <tr> <td class="t-style1">貸与 (年度ごと)</td> <td>見込みを上回る給付費の増大等により介護保険財政に不足が見込まれる場合に、必要な額の貸与を行う。</td> </tr> </table>  この順番は「貸与」→「交付」です。市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)において、1年度目と2年度目には「貸与」され、最後の3年度目に「交付」されます。  たとえば、ある市で市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)の1年度目に財政不足になると財政安定化基金から不足額の全額が「貸与」され、2年度目にも財政不足になると財政安定化基金から不足額の全額が「貸与」されます。  そして、最後の3年度目にも財政不足になると、財政安定化基金から不足額の2分の1が「交付」されます(残りの2分の1は「貸付」)。 <div class="indent">※介護保険の計画期間は3年間で、3年間で保険料を設定します。ですので、3年度目の交付の際には「保険料の収納率の悪化」という要素が考慮されることになります。</div>  「貸与」の分については、1号保険料を財源として、その次の市町村介護保険事業計画の計画期間(3年間)において<span class="bold">分割返済</span>します(無利子)。

特別介護保険料額とは、どういうものですか?

 健康保険の場合、第2号被保険者一人ひとりの保険料を算出する方法には、「標準報酬比例」と「所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)」があります。  「所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)」は、一定の要件を満たして厚生労働大臣の承認を受けた場合に採用することができます。  それぞれ次のようなものです。 &nbsp; <h3>標準報酬比例</h3>  個人の所得に応じ、たとえば所得の多い人は「基準額×1.5」、収入の低い人は「基準額×0.5」というように計算して、保険料額を算定する方法です。  健康保険では基本的に、こちらの方法が用いられます。 &nbsp; <h3>所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)</h3>  所得が◯◯万円~◯◯万円までは第1段階、△△万円~△△万円までは第2段階というように区分して、第1段階の人の保険料は定額でいくら、第2段階の人の保険料は定額でいくら、というように算出する方法です。  「標準報酬比例」よりも、「所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)」の方が、保険料額を容易に出すことができ、事務負担を軽減することができます。ですので、健康保険組合が事務負担を軽減したい場合に、要件を満たして厚生労働大臣の承認を受けて、「所得段階別の定額の保険料額(特別介護保険料額)」を採用する、ということになります。

第2号保険料についての「負担率」と「保険料率」は、どう違うのですか?

 介護給付費の50%は保険料で賄われます。この50%のうち「2号保険料は何%にする」というのが、第2号被保険者の「負担率」の設定です。現在は27%となっています。  これは、3年ごとに<span class="bold">国</span>の政令によって改定され、全国一律です。 <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/2315">https://caremane.site/2315</a> <div class="information"><span class="bold">補足:1号保険料の%は</span>  1号保険料の%は、市町村ごとに調整交付金の%によって変わってきます。したがって、こちらは全国一律ではありません。 <div class="sanshyo"><span class="sankaku">▼</span>関連Q&A</div> <a href="https://caremane.site/2289">https://caremane.site/2289</a> </div> &nbsp; <h3>2号保険料についての「保険料率」:医療保険者が設定</h3>  「保険料率」というのは、個人の保険料の額を算出する際に用いる率です。  保険料の額は、所得の多い人は多くなり、所得の少ない人は少なくなるようになっています。これは、たとえば所得の多い人は「基準額×1.5」、収入の低い人は「基準額×0.5」というように計算して、所得に応じて保険料額の多少が決まるということです。この「×1.5」や「×0.5」が保険料率です。  2号保険料についての保険料率は、<span class="bold">医療保険者</span>それぞれが、支払基金から課せられた介護給付費・地域支援事業支援納付金をもとに、それぞれのルールに沿って定めます。そして、個人の所得に応じた保険料率を掛け、個別の保険料を算出して、徴収します。

第2号保険料における「総報酬割」の意義・仕組みは、どういうものですか?

<span class="qa">A</span> 「総報酬割」は被用者保険(健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合など)での第2号被保険者個人の負担感を是正する仕組み <br> <h3>所得(報酬)に応じた負担感に</h3>  総報酬割について、以前の状況を踏まえながら以下に見てきます。 &nbsp; <h4>以前は個人の負担感に差があった</h4>  以前は、加入者の所得が多い医療保険者(主に大企業の健康保険組合など)や、加入者の所得が少ない医療保険者(中小企業の社員が加入する協会けんぽ)などに関係なく、各医療保険者は 「全国平均の第2号被保険者1人当たりの負担額×加入している第2号被保険者の人数」  という計算をして、<span class="bold">人数に比例</span>した金額を支払基金へ納めていました。  この仕組みだと、所得に対する保険料の割合が、大企業の健康保険組合などでは低く(個人の負担感が小さい)、協会けんぽでは高い(個人の負担感が大きい)、という状況となっていました。 &nbsp; <h4>総報酬割によって個人の負担感を是正</h4>  そこで導入されたのが、総報酬割です。これは健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合などの間で、それぞれの<span class="bold">標準報酬総額に比例</span>させて、それぞれが支払基金へ納める金額を決める、という仕組みです。  「標準報酬」とは、その医療保険の加入者の所得(報酬)の標準額です。これの加入者全員の合計が、「標準報酬総額」です。ですので、その医療保険の加入者の所得が多い場合は「標準報酬総額」も多くなり、所得が少ない場合は「標準報酬総額」も少なくなります。この「標準報酬総額」の多い・少ないに比例させて、健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合などそれぞれが支払基金へ納める金額を決めます。  たとえば、加入者の所得が多い健康保険組合では、支払基金へ納める金額が多くなります。逆に、加入者の所得が少ない健康保険組合では、支払基金へ納める金額も少なくなります。  このように、所得が多いところには多い金額を負担してもらい、所得が少ないところには少ない金額を負担してもらうことで、所得における保険料の割合を是正(個人の負担感を同じくらいに)しています。これが、総報酬割の仕組みです。 &nbsp; <h3>国民健康保険との関係</h3>  上記のように総報酬割は被用者保険(健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合など)の間での是正のために導入されたものであるため、国民健康保険は対象外とされています。  国民健康保険における2号保険料の場合は、所得階層や人数に応じて調整して算出されているので、前述の医療保険にあった収入における保険料の割合の格差は生まれません。  そして、第2号被保険者全員で負担する額を国民健康保険と被用者保険の間で人数に応じて分けたうえで、被用者保険に総報酬割が適用されて、国民健康保険も含めて第2号被保険者全員の負担感が同じくらいになるようになっています。

市町村特別給付など、財源を第1号保険料で賄うものがあるのは、どういうことですか?

<h2><span class="qa">A</span> 第1号被保険者(65歳以上)がメインの利用者となるから</h2> <br> <h3>介護保険制度の目的とメインとなる利用者</h3>  介護保険は、基本的に高齢者(65歳以上の人=第1号被保険者)が“加齢”によって介護が必要になった場合に、介護サービスを提供することが目的です。  ただし、40歳以上65歳未満の人(第2号被保険者)でも、心身の病的な“加齢現象”と医学的関係がある「特定疾病」の場合は、介護保険の基本的な目的に反しないということで、認定を受けて保険給付を受けることができます。  ですので、介護保険制度の介護サービスの利用者は、第1号被保険者(65歳以上)がメインになります。 &nbsp; <h3>第1号保険料で賄われるもの</h3>  第1号保険料によって賄われるのは、1.市町村特別給付による横出し、2.支給限度基準額の上乗せ、3.保健福祉事業の拠出金、4.財政安定化基金の拠出金になります。  これらは考え方が共通していて、「多くの介護サービスを利用する当事者である第1号被保険者(65歳以上)の保険料で賄うのが適当」ということです。

生活保護受給者の第1号保険料を、福祉事務所等が代理で支払うというのは、どういうことですか?

<span class="qa">A</span> 目的外の使用を防止するため  生活保護受給者である第1号被保険者で、介護保険料が普通徴収される場合、生活扶助に介護保険料加算をプラスして給付されます。  支払いの流れは基本的に、福祉事務所等から本人に生活扶助(介護保険料加算を含む)が渡されて、本人が市町村に介護保険料を支払う、というようになります。  ただし、保護の目的を達成するために必要があるときは、福祉事務所等は生活扶助から介護保険料の分を差し引いたものを本人に渡して、福祉事務所等が介護保険料を市町村に直接支払うことができます。  これは、生活保護受給者である第1号被保険者の中には、福祉事務所等から介護保険料の分として渡されたお金も含めてギャンブルなどに使ってしまう人がいるので、それを防ぐため、ということです。

調整交付金の役割と仕組みは、どのようになっているのですか?

 国は調整交付金の%を調整して交付することにより、以下の①~③による市町村間の財政力の格差を是正しています。 <h5>調整交付金の内訳</h5> <table border="1" cellpadding="5"> <tr><td bgcolor="#fffaf0">普通調整交付金</td><td><span class="bold">①</span>給付対象となる可能性の高い後期高齢者(75歳以上)の加入割合の違い。 <span class="bold">②</span>第1号被保険者の所得(保険料負担能力)の格差。</tr> <tr><td bgcolor="#fffaf0">特別調整交付金</td><td><span class="bold">③</span>災害時の保険料減免など、保険者の責によらない事由。</td></tr> </table>  ①と②は予測可能なので、まずはこれらに応じて調整交付金が算出されます。そして、残額が生じた場合に、③に応じた調整が行われます。 &nbsp; <h3>調整交付金の仕組み:調整交付金の%と、1号保険料の%は連動する</h3>  調整交付金によって市町村間の財政力の格差を是正する仕組みは、次のようなものです。 &nbsp; <h4>後期高齢者(給付対象となる可能性の高い人)の比率が低く、第1号被保険者の所得水準の高い市町村</h4>  この場合、調整交付金を5%より少なくし(国の負担を少なくし)、1号保険料の負担割合を増やします。  たとえば、上記のように「居宅給付費」における国の負担(25%)には調整交付金(5%相当)が含まれています。そして、調整交付金が4%の場合、国の負担は24%となり、1号保険料の負担は23%に増えます。  つまり、後期高齢者の比率が低く、第1号被保険者の所得水準の高い市町村では、第1号被保険者により多く費用を負担してもらいましょう、ということです。 &nbsp; <h4>後期高齢者の比率が高く、第1号被保険者の所得水準の低い市町村</h4>  この場合、調整交付金を5%より多くし(国の負担を多くし)、1号保険料の負担割合を減らします。  たとえば「居宅給付費」において、調整交付金が6%の場合、国の負担は26%となり、1号保険料の負担は21%に減ります。  つまり、後期高齢者の比率が高く、所得水準の低い市町村では、第1号被保険者の費用負担を少なくしましょう、ということです。

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